T-PEC

健保・共済

会社と健保組合との連携をさらに強め、実績を検証したうえで次の施策を考える

健保・共済

テルモ株式会社

企業名

テルモ株式会社

URL

https://www.terumo.co.jp/

業種

健保・共済

人事部長 健康管理担当/テルモ健康保険組合理事長
竹田 敬治 さん インタビュー

健康経営に率先して取り組み、健康経営銘柄は4年連続、ホワイト500(健康経営優良法人認定制度・大規模法人部門)には2年連続で認定されているテルモ株式会社。トップの強力なコミットメントの下で進められている取り組みについて、健保組合理事長も兼務する竹田人事部長に話を聞いた。

禁煙推進施策と社員喫煙率の変化
医学の進歩に合わせて多様な医療機器を開発・販売
まず、御社のプロフィールからお聞かせください。

主に医療機器の製造販売で、日本国内はもとより160を超える国で展開している当社ですが、その歴史は、1921年に北里柴三郎博士をはじめとした医学者たちが発起人となって設立した「赤線検温器株式会社」に遡ります。第一次世界大戦の影響で輸入が途絶えた体温計を国産化するために設立された会社であり、現社名の「テルモ」も、ドイツ語で体温計を意味するテルモメーター(Thermometer)に由来しています。
その後、医学の進歩に合わせて、使いきり注射筒・針、血液バッグなどの製品を世に送り出してきました。現在は、「心臓血管」「ホスピタル」「血液システム」の3つの社内カンパニー制で、売上高は年間6000億円弱です。
近年は、世界初の心不全治療用の再生医療製品も販売するなど、再生医療の普及にも寄与しています。

社員数や男女比、平均年齢について教えてください。

海外を含めたグループ総勢で2万3000人ほど、単体の国内では約5000人です。
女性社員の比率は約14%と低めですが、スタッフ、営業に限れば、女性が採用者の5割を占め、女性の比率は高まってきています。平均年齢は42歳です。

社員家族も巻き込んだ対策で喫煙率は34%から25%へ
御社では、2014年と早い時期に、健康経営の取り組みを本格化させていますが、現在、どのような健康施策を進めているのですか。
禁煙推進施策と社員喫煙率の変化
禁煙推進施策と社員喫煙率の変化

健康経営方針として、①喫煙率、メタボ率の低減・②がんの早期発見、早期治療、職場復帰・③ウィメンズヘルス・④自発的取り組みの推奨の4つを掲げ、施策を進めているところです①の喫煙率については、取り組み前の13年の時点で34%でした。工場勤務の男性社員が多いことから高めの数字でしたが、これを少しでも減らしていこうということで、さまざまな施策を打ち、直近では25%にまで減っています(図)。

どのような施策ですか。

一つは禁煙セミナーの開催です。社員の家族を職場に招くファミリーデーで家族向けの健康・禁煙教室を実施し、喫煙による健康への影響を説明します。その後、社員のお子さん、お孫さんから社員宛てに「たばこはやめたほうがいい」という手紙を書いてもらいます。これはかなり効果があって、数年前には当時の専務がお孫さんからの手紙をもらい、40年近く吸い続けたたばこをきっぱりやめたということもありました。禁煙外来受診や禁煙補助薬購入の補助として、治療終了後に健保組合から最大2万円の補助も行っています。事業所内の産業医による「社内禁煙外来」も開設しています。そのほか、「禁煙QUEST」という禁煙ツールも配付しました。双六のようなマス目が書かれた紙を自席に貼り、1日禁煙できたら1マスずつシールを貼っていくというものです。周りの人からも見えるので、応援してもらえるというメリットがあります。08年度から、休憩時間を除く就業時間内禁煙としており、16年3月、工場などの自社敷地内は全面禁煙に踏み切りました。

禁煙QUEST。
禁煙QUEST。成功すると「勇者の剣」(ボールペン)がもらえる
敷地内全面禁煙により、新卒学生の応募が減るなどマイナスの影響は出ていませんか。

新卒採用のサイトに、「就業時間は完全禁煙、喫煙しないことに賛同する人を歓迎」と明記していますが、医療関連企業として理解いただき、「社員に健康に配慮した会社」ととらえてもらっていると思います。

ウォーキングを推進保健指導とセットの施策も
では、メタボ対策は?
WEBウォーキング大会
テルモ健保組合ホームページ内に設けられた「WEBウォーキング大会」のサイト

ウォーキングの推進です。健保組合主催で、毎年度累計4カ月間、WEBウォーキング大会というキャンペーンを実施しています。参加者は専用サイトに「マイページ」をつくり、毎日の歩数を入力するほか、「健康クイズ」に解答したりすることで、バーチャルの果物を育てていきます。
そして、目標を達成した方には、本物の果物を自宅に届けるという仕組みです。17年度からは、弊社製品の「HRジョイント」を用いた「体組成・活動量レコーディングダイエット」も行っています。これは測定器をリーダーにタッチするだけで血糖、血圧、活動量、体重などのデータをパソコン上にグラフ表示し“見える化”する製品で、そのデータを産業保健スタッフも共有、保健指導につなげていくという試みです。参加者には、体重が減ったり、健診の結果数値が良くなったりするなど良い傾向が見られています。

参加者は、どのように募っているのですか。

特定保健指導対象者だけでは、どうしても参加率が伸びません。また40歳未満の社員も対象外となってしまいます。そこでまず、産業保健スタッフが、健診データなどを参照しつつ対象となりそうな社員に声がけし、本人の了承を得たうえで、人事部主導で取り組みを進めています。

多様なメタボ対策対策「健康オフィス化」

テルモが行っているメタボ対策は、ほかにもある。
東京・新宿のオフィスでは、よりカロリーを消費するための理想歩幅を示すピッチサークルが床に描かれ、歩幅が広がるよう社員に意識させている。また、社内自販機では、当分の高いジュースなどが減らされ、代わりにトクホ指定品を含む、無糖の茶飲料が用意される。
こうしたきめ細かな取り組みが積み重なり、健康経営へとつながっていく。

がん検診を受けやすくする工夫治療の実態に着目した就労支援
次に、がんの早期発見について教えてください。

早期発見については、ウィメンズヘルスとも関係するのですが、乳がん検診の受診率向上が課題でした。受診率低迷の原因としては、マンモグラフィによる検査は痛みが伴うという声が聞かれました。
またマンモグラフィ検査には、高濃度乳腺では、初期の小さな腫瘍が見つかりにくいケースもあります。そこで15年度から、健保組合による乳がんMRI検査の補助を開始しました。
25歳から5歳ごとに2万円の補助が出ます。ウィメンズヘルスに関してはそのほか、子宮頸がん予防ワクチンへの補助、女性限定のセミナー開催といった対策を進めているところです。

その他のがんについては、いかがですか。

任意受診のがん検診ではありますが、基本的に、法定健診とセットで受けられるようにしました。その結果、胃がん、大腸がん検診の受診率は80%前後と高い水準になっています。ちなみに法定健診の受診率はほぼ100%です。二次検診も、検査費用を全額補助するなどして受診を勧奨し、がんをはじめとする生活習慣病の早期発見につなげています。

がんの治療、職場復帰支援についてはいかがですか。

がんに罹患した社員に、退院後も退職することなく働き続けてもらうために、治療や検査を受けやすいよう、「がん就労支援制度」として、多様な勤務形態を用意しています。具体的には、まず失効有給休暇の1日単位利用が挙げられます。がんはポイント的に検査、治療することもあるため、それまで1週間単位だった失効有給の利用を、1日単位でも可能にしました。
無給休暇は、上限なく付与しています。治療のため、有給休暇の年間付与日数を消化し超過した場合、超過分は欠勤扱いとなり、翌年の有給休暇発生に影響を与えてしまいます。そこで、治療のための休みであれば欠勤とならない無給休暇を認めました。そのほか、無給短時間勤務(最大2時間の短縮可)、時差勤務(最大2時間の後ろ倒し/前倒し可)があります。
以前から、個別には対応していましたが、制度として明文化することで、会社としてがんに罹患した社員を応援する──という姿勢をしっかり示しました。この施策に対しては、厚生労働省および東京都から表彰いただいています。

「健康経営推進チーム」で組織横断的に話し合う
健康経営を進めるうえでのポイントを教えてください。

何より、経営トップが語り、経営テーマとして動くことです。当社の場合、事業内容から、率先して社員の健康増進に取り組むという組織風土は以前からありました。そうしたなかで14年に当時の社長が健康経営の推進を明言し、経営交代後も新社長がメッセージを発信し続けています。健康経営の実践は、社員の健康増進を通じ企業活力の向上と健保財政健全化を実現します。さらには、健康寿命延伸による1億総活躍社会の実現や国家財政健全化にまでつながります。こうした観点から、医療にかかわる企業として率先して健康経営を行っていく──というのが、その趣旨です。こうしたトップメッセージは、前述した新卒採用サイトのほか、アニュアルレポートや社員向けの健康経営専用サイトなどで広く周知され、われわれ健康施策担当にとって、非常に心強い追い風になっています。

そのほかに、重要なことはありますか。

組織的に活動することですね。当社では、子会社、健保組合を含めた組織横断的な「テルモ健康経営推進チーム」をつくっています。国内各事業所の人事担当や営業の責任者、産業医と産業保健スタッフなど総勢60人ほどが、定期的にウェブ会議や顔を合わせてのミーティングを行っています。メンバーは人事発令で指名し、「業務として」取り組んでもらっていますが、これも重要なポイントですね。チームのリーダーは、本社人事部長と健保組合理事長ですが、双方を兼務している私が務めています。

それは、コラボヘルスの推進という点で、非常に有効ですね。

当社には、会社と健保組合が密接に協力するという、コラボヘルスそのものの組織風土が伝統的にあります。会社と健保組合がデータに基づいて一緒に施策を立案し、予算の裏づけも考える。それでこそ真に実効性のある健康施策になると思います。

改めて社員の健康を見つめ、会社と健保組合との連携を強める
ところで、T─PECのサービスは、「ハロー健康相談24」「こころのサポートシステム」「セカンドオピニオンサービス」を今年の3月からご利用いただいていますが、感想をお聞かせください。

社員からは、「病院を受診する前に電話相談することで、『今、受診すべきか、しなくてもいいか』という判断材料になった」という声が寄せられています。これは過剰な受診の減少につながり、社員個人のメリットとなることはもちろん、健保財政にも寄与していくものと考えます。セカンドオピニオンサービスは、必要ならば、専門医のネットワーク(ドクターオブドクターズネットワーク)の医師に相談できるため、相談者に大きな安心感をもたらすと思います。一方、メンタル面の相談については、件数が増えているとの報告を受けています。これは不調者の増加もあるかもしれませんが、外部の相談員に気兼ねなく相談できるようになったことも影響しているかもしれません。T─PECさんには、社員に対して相談窓口を案内する配付資料もご用意いただいたことで、「身体面でもメンタル面でも、不調があったら相談できる」といったように認識されたと思います。もともとあった相談ニーズが堀り起こされたともいえるでしょう。

最後に、健康経営について今後の展望をお聞かせください。

会社の成長とともに、社員の健康を、従来にも増してしっかり見据えていきたいですね。そのためには、会社と健保組合との連携をさらに強め、データに基づき施策の実績をしっかり検証したうえで次の施策を考えること、そしてこのサイクルを絶えず繰り返していくことが重要だと考えています。

本日はありがとうございました。

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