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ティーペック健康ニュース

第137号 2004/4/6  
監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院小児外科
 矢内 俊裕

『足底腱膜炎』

朝、起き上がって歩き始めたとき、かかとの前あたりにひどい痛みがあるのに、短時間で痛みが無くなることが連日続く場合、それは足底腱膜炎かもしれません。聞き慣れない病気ではありますが、比較的多い病気なので、今回はこの病気について取り上げてみました。
 「足底腱膜炎」とは
足の土踏まずの部分は縦のアーチと横のアーチによって作られており、その2つのアーチがクッション役となって、体重を支えたり歩いたりしています。「足底腱膜」は、足の5本の指の付け根からかかとまで、足の裏に膜のように張っている腱組織であり、足の縦のアーチを支える重要な役割を果たしています。「足底腱膜炎」とは、その「足底腱膜」に炎症が起き、小さな断裂を起こして痛みをもたらす病気です。多くはかかとの骨の前あたりに痛みが起こります。なぜ、朝の起床時の、特に第一歩が痛いのでしょうか。立ったり歩いたりしているときには足のアーチはいつも緊張していますが、眠っている間は足のアーチの負担が無くなり、その間に断裂した部分が、少し修復されていきます。しかし、朝起きて立ち上がると、再び負担がかかって足底腱膜に小さな断裂が起こり、痛みを発するのです。また、断裂が起った後には、痛みが無くなります。同様に、長時間座った後、急に歩き出す際に痛みが出ることもありますが、理由は同じです。
何度も断裂と修復を繰り返していき、足底腱膜が伸びきってしまうと断裂しなくなり、痛みが自然に治まります。
 「原因」
年齢的な変化や足の使い過ぎ:
  40〜50歳代になると、老化に伴い、古いゴム管にひびが入るように、足底腱膜のかかとに付くあたりを中心に炎症が起こります。また、ジョギングや飛び跳ねる動作の多いスポーツで足を使い過ぎた結果、若い世代でも同じように炎症を起こすことがあります。
筋力の低下:
  足のアーチ構造は、足底腱膜のほか、足のいろいろな筋肉によって支えられています。ふくらはぎの筋肉なども足のアーチを支えるのに役立っていますが、それらの足のアーチを支える筋肉が弱まると足底腱膜への負担が増し、炎症を起こします。
体重の増加:
  体重の増加によって足にかかる負担が大きくなり、炎症を起こします。
 「受診のめどは」
様子をみてもいいとき:
  3週間以内に痛みが弱まるようなら、治療の必要はありません。
受診のタイミング:
  3週間以上も痛みが続くときや、痛みがますます強くなるときは、整形外科を受診し、適切な治療を受けましょう。また、朝より夕方に痛みが強くなる場合や、歩くほどに痛みがひどくなる場合は、別な病気の可能性もありますので受診しましょう。
 「診断と治療」
「診断」:
足底腱膜炎の場合、かかとの骨の前の部分に「骨棘(こつきょく)」というトゲのような骨ができることが多く、X線写真で確認されます。そのため、足底腱膜炎は踵骨棘(しょうこつきょく)とも呼ばれます。また、かかとの骨の前方内側を押すと激痛が走る部分があることでも判断され、軽度の腫れがみられることもあります。ただし、痛みの原因は足底腱膜の炎症なので、たとえ骨棘があっても無症状なことがあり、また、痛みが消えてもその後の骨棘の大きさに変化はありません。
「治療」:
 主に保存的な、痛みを和らげる治療になります。
非ステロイド系抗炎症剤の湿布薬や塗り薬を使用し、痛みを和らげます。また、症状が強くなると、消炎鎮痛剤の内服薬を処方されることもあります。
かかとのクッション材(ヒールカップ)やアーチサポート・足底板の使用:立ったり歩いたりするときのショックを吸収させるために、靴のかかとや土踏まずの部分に使用します。ヒールカップは市販されていますが、アーチサポートや足底板は、医師の処方により義肢装具士が足に合わせて作製する装具です。
アキレス腱を伸ばすストレッチ運動:
  立った姿勢でかかとを少し上げ、足先にゆっくり体重をかけていきます。この時、足の指を曲げて足首を反らし、足の裏が伸びるようにすると効果的です。
局所注射:
  痛みが強い場合に、ステロイド剤や局所麻酔剤を局所注入することもあります。
手術:
  まれに、内視鏡下で足底腱膜を切り離す手術を行うこともあります。これは、保存的な治療を受けてから数年経過しても、歩行に比例して痛みがひどくなり、日常生活に支障をきたす場合に行われます。
  多くは3ヶ月から3年以内に自然治癒するものなので、痛みが出ても慌てずに、毎日の足のストレッチ運動や足への負担を減らす工夫をして、痛みが落ち着くのをゆっくり待ちましょう。

◇   ◇   ◇
<参考文献>
標準整形外科学 医学書院
NHK 今日の健康 2002.7月号
日本醫事新報No4099 2002.11.16号
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