健康ニュース
2026.05.20
健康ニュース
目に映る黒い影の正体 飛蚊症の見分け方と注意点 ~ティーペック健康ニュース
視界に蚊が飛んで見えたり糸くずなどが浮かんで見える——そんな経験をしたことはありませんか。目を動かすとふわふわと動き、止まるとまた視界に漂ってくる。これが「飛蚊症(ひぶんしょう)」です。多くの場合は加齢による自然な現象ですぐに心配する必要はありませんが、中には失明につながる病気のサインのこともあります。本記事では、飛蚊症が起こる仕組みと、見逃してはいけない危険なサインについて解説します。
その「影」の正体は?目の中で起きていること
目の中には「硝子体(しょうしたい)」という、透明なゼリーのような組織が詰まっています。眼球のほとんどを占めるこの組織は、目の形を保ちながら、入ってきた光を目の奥の網膜(光を感じるスクリーンのような膜)へ届ける役割を果たしています。
ところが、加齢や強い近視などの影響で、この硝子体はだんだんと縮んで水っぽくなっていきます。すると、もともとゼリーの中に均一に広がっていた細かな線維が寄り集まって、小さな塊や束になってしまいます。目に光が入ると、この塊が網膜に影を落とし、それが「黒い点」や「糸くず」「輪っか」のように見えるのが飛蚊症の正体です。ちょうど、スマートフォンのカメラレンズにほこりが付いたとき、撮影した映像にそのほこりの影が映り込んでしまうのと似たイメージです。
飛蚊症は、白い壁や青空など明るい背景を見たときに特に目立ちやすく、目を動かすとふわっと一緒に動き、止めるとゆっくり漂い続けるのが特徴です。年齢を重ねるほど起こりやすくなりますが、近視が強い人は若い年代でも現れやすい傾向があります。近視の目は眼球が前後に細長くなるため、硝子体に変化が生じやすいのです。
「様子を見ていい」か「すぐ受診すべき」か 見逃せないサインを知る
飛蚊症には、大きく分けて「生理的飛蚊症」と「病的飛蚊症」の2種類があります。生理的飛蚊症は、加齢や近視による硝子体の変化が原因で起こるもので、基本的に治療の必要はありません。以前から同じような影が見えていて、数や大きさにほとんど変化がなく、視力や視野に支障が出ていない場合は、生理的飛蚊症の可能性が高いといえます。
一方、注意が必要なのが病的飛蚊症です。原因となる主な病気には以下のものがあります。
| 病気 | 特徴的な症状や放置した場合のリスクなど |
|---|---|
| 網膜裂孔・網膜剝離 | 硝子体が網膜から剝がれる際に、網膜が引っ張られて裂け目や穴が開くことがあります(網膜裂孔)。そこから液体が入り込んで網膜が剝れると網膜剝離に進行します。飛蚊症のある網膜裂孔は未治療だと約半数が網膜剝離に進展するという報告があり、早期発見・早期治療が視力を守る上で非常に重要です。 |
| 硝子体出血 | 糖尿病や高血圧などの生活習慣病が進行すると、網膜の血管が傷んで出血し、血液が硝子体に広がることがあります。墨が流れるような黒い影や急激な視力低下が起こる場合は、この硝子体出血が疑われます。 |
| ぶどう膜炎 | 目の内部に炎症が起きる病気で、飛蚊症のほかに目の充血、痛み、視力低下などを伴います。放置すると白内障や緑内障を発症する危険性があります。 |
これらはいずれも放置すると視力が大きく低下し、最悪の場合失明に至ることもある病気です。次のような症状が現れたときは、できるだけ早く眼科を受診してください。
- 黒い点や影が急に増えた、または大きくなった
- 視野の一部が暗くなる、カーテンがかかったように見える
- 視界の端に光が走るように見える(光視症)
- 目の充血や痛みがある
- 視力が急激に低下した
- スポーツや打撲などで、目や頭に強い衝撃を受けた後に症状が現れた
ただし、このような危険なサインがなくても、飛蚊症に気付いたときは自己判断せず、一度眼科で検査を受けることが大切です。自分では生理的なものと思っていても、眼科での眼底検査を受けなければ病的なものを確実に除外することはできません。「以前からあるから大丈夫」と放置せず、原因をきちんと確かめることが、目の健康を守る第一歩となります。
今日からできる!目を守るための習慣と定期受診の勧め
生理的飛蚊症は、残念ながら自然に消えることはほとんどなく、症状と上手に付き合っていくことが基本となります。大切なのは、日頃から自分の飛蚊症の状態を把握しておき、「変化がないか」を意識することです。特に近視の強い方や40歳以上の方は、症状がない時期でも定期的に眼科を受診して目の状態を確認することをお勧めします。近視が強いほど網膜が引き伸ばされて薄くなりやすく、網膜裂孔や網膜剝離のリスクが高まることが知られています。また加齢とともに硝子体の変化が進むため、自覚症状が出る前に網膜に異常が生じている場合があります。年に1回程度の眼底検査を習慣にしておくと、万一異常が見つかった際にも早期に対処できます。かかりつけの眼科をつくっておくことも、目の変化にいち早く気付くための備えになります。
日常生活でできるセルフケアとして、まず取り組みやすいのがデジタル機器との付き合い方の見直しです。スマートフォンやパソコンの画面を長時間見続けると目の疲れが蓄積し、飛蚊症の症状を感じやすくなります。1時間に1回は画面から目を離し、窓の外の遠くの景色をぼんやり眺めるだけでも目の緊張がほぐれます。
質の良い睡眠をとることも大切です。眠っている間、目の筋肉や細胞は日中のダメージを修復し、疲労を回復させています。睡眠不足が続くと目の調節機能が低下して眼精疲労やドライアイが起こりやすくなるだけでなく、目全体が疲弊した状態では飛蚊症の症状をより強く感じやすくなることがあります。また、スマートフォンやパソコンを就寝直前まで使い続けると睡眠の質が落ち、目の疲れを十分に回復させられなくなります。毎晩できるだけ同じ時間に床に就く習慣を付け、寝る1時間前からは画面を遠ざけることを心掛けてみてください。
また、5月は紫外線が急激に強くなる季節です。紫外線は目の老化を進める要因の一つとされており、外出時にはUVカット機能のあるサングラスや帽子を活用して、目への紫外線ダメージをできるだけ減らすよう心掛けましょう。色の薄いサングラスは瞳孔が開きやすく、かえって紫外線を取り込みやすくなることがあるため、UVカット機能の有無をきちんと確認することが大切です。
最後に
飛蚊症は、多くの場合は加齢による自然な現象であり、過度に心配する必要はありません。しかし、見え方に急な変化があったときや、初めて症状に気付いたときは、自己判断で様子を見ることは避けてください。目の病気は早期発見・早期治療が視力を守る上で非常に重要です。「いつもと何か違う」と感じたら、ためらわずに眼科へ。目が発するサインを見逃さない習慣が、大切な視力を長く保つことにつながります。

