お知らせ
2025.01.21
お知らせ
第32回日本産業ストレス学会研究成果発表のご報告とお礼
2024年12月14 日に開催された第32回日本産業ストレス学会において、当社が東京大学デジタルメンタルヘルス講座と共同研究した成果を発表しました。
まずは本研究にあたりアンケートの回答をしてくださった当社サービスのご利用者様に厚く御礼申し上げます。
そして、共同研究機関の東京大学デジタルメンタルヘルス講座/川上憲人先生をはじめとした多くの方々によって研究結果をまとめて、報告することができました。お礼申し上げます。
当社は年間約100万件の電話相談を受けるにあたり、日々データを分析して、ご利用者様へのサービス向上のために研鑽に努めております。今回その中の一部を学会を通して、社会に公表いたしました。
EAPサービスにおける電話相談の質を評価する際に、「共通の物差し」があることで、企業・団体様がEAP業者を選定する際にサービス内容・体制、価格などに加えて、参考となる指標になると考えます。本研究結果は、「共通の物差し」になりえるものを日本で初めて作成・公表いたしました。まだまだ妥当性を上げていく必要はあり、かつ、多くの団体が使用する必要があります。しかし、これが端緒となり、社会に貢献できるものに発展しましたら幸いに存じます。
「日本の新しい健康インフラになる」ことをビジョンに掲げる当社の一員として、質の高いインフラになるように実践と研究を行い、ご契約先、ご利用者様、そして社会の福利に資するよう精進してまいります。
【発表内容要約】
EAPプロバイダーが提供しているメンタルヘルスサービス評価尺度の開発
【目的】
EAPプロバイダーが提供するメンタルヘルスサービスの質を評価するための尺度を新たに開発し、信頼性・妥当性を検証することを目的とした。
【方法】
メンタルヘルスサービスの評価に関する文献レビューおよび、メンタルヘルスサービスを提供しているカウンセラー(6名)へのインタビューから得た情報をもとに、13項目のメンタルヘルスサービス評価尺度(Mental Health Service Rating Scale:MHSRS)を新たに作成し、メンタルヘルスサービス利用者を対象とした質問紙調査により信頼性・妥当性を検証した。
内的信頼性の指標としてCronbach のαを計算し、因子構造を確認するために探索的因子分析を実施した。因子数の抽出基準は固有値1以上とした。探索的因子分析の結果抽出された因子構造について、モデルの適合度を検証するため確認的因子分析を実施した。また、収束的妥当性を検証するために日本語版WHO-5精神健康状態表(WHO-5)との相関係数を算出した。
【結果】
2023年2月~8月に当社が提供する電話および対面カウンセリングを利用した557名に対して携帯端末にアンケートを送信し、回答を得た70名(回答率12.6%)を分析対象とした。回答者の平均年齢は47.3歳(標準偏差=11.6)で、女性が57.1%であった。
探索的因子分析の結果、第1因子の固有値が10.486、第2因子の固有値が0.631となり、1因子構造を採用した。各項目の因子負荷量は0.614~0.953、Cronbachのα=0.978であった。1因子構造を想定した確認的因子分析の結果、SRMR=0.030、TLI=0.913、CFI=0.928、RMSEA=0.147、GFI=0.746、AGFI=0.645であった。MHSRSとWHO-5との相関係数はr=0.63(p<0.01)であった。
【結論】
本研究で新たに開発されたMHSRS は十分な内的信頼性を示し、回答者の精神健康状態とも正の関連性を示した。MHSRSは共分散構造モデルに検討の余地があるものの、メンタルヘルスサービスの質を評価するために有効であると考えられる。
【謝辞】
本研究は、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座と当社の共同研究として実施された。
>>関連プレスリリースはこちら
【東京大学デジタルメンタルヘルス講座と共同研究】メンタルヘルスサービス評価尺度の開発
メンタルヘルスサービス評価尺度(MHSRS)
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