プレスリリース
2024.05.08
プレスリリース
【東京大学デジタルメンタルヘルス講座と共同研究】メンタルヘルスサービス評価尺度の開発
ティーペック株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:鼠家 和彦)は、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座と共同でメンタルヘルスサービス評価尺度の開発に取り組み、利用者評価を数値化できる13項目で構成されたアンケートを開発しました。
信頼性・妥当性検証調査では、全体の「安心感、感情の安定」「問題の整理、振り返り、言語化」「問題解決」「受容」に関する項目の肯定的回答が75%以上とメンタルヘルスサービスに好印象をもっていること、また性別や年代別の回答傾向がわかりました。本アンケートの開発により、定量化が難しいとされている心理カウンセリング分野での客観的な効果測定が可能となります。
研究目的
当社のメンタルヘルスサービスである心理カウンセリングサービス(電話、対面面談、オンライン)について、サービスを評価するための独自の質問票を開発する。
開発手順について
1. メンタルヘルスサービスの効果測定に関する先行研究のレビューを実施し、参考となる項目を収取した
2. ティーペックの心理カウンセラー6名を対象にグループインタビューを実施し、得られた情報をKJ法により「安心感、感情の安定」、「気分の改善」、「問題の整理、振り返り、言語化」、「問題解決、考えや行動の柔軟性向上」、「成⻑、自⼰効⼒感」、「受容」、「リファー」、「満足度」、の8つに分類
3. 得られた情報をもとに46項目の尺度項目プールを作成し、研究班での議論を経て13項目の「メンタルヘルスサービス評価尺度」を作成
メンタルヘルスサービス評価尺度
• 13項目で構成され、「安心感、感情の安定」、「問題の整理、振り返り、言語化」、「問題解決、考えや行動の柔軟性向上」、「受容」、「リファー」、「満足度」に関する項目を含む。
• 各項目は4件法(そうだ[3点]〜ちがう[0点])で質問され、得点範囲は0〜39点となる。
• 得点が高いほどメンタルヘルスサービスへの評価が高いことを示す。
<13項目内容>
1 . このサービスを利用して落ち着くことができた
2 . このサービスを利用して気持ちが楽になった
3. このサービスを利用して気持ちに折り合いをつけることができた
4 . このサービスは困りごとや問題を整理する役に立った
5 . このサービスは他の人に話しにくい個人的な悩みや困りごとを話すことに役立った
6 . このサービスは自分の悩みや問題解決の役に立った
7 . このサービスを利用して考え方のバリエーションが増えた(視野が広がった)
8. このサービスを受けてストレスや困りごとに自分なりに対処できるようになった
9 . このサービスを利用して、カウンセラーは自分自身を受け止めてくれたと感じた
10. このサービスは適切な相談先(医療機関など)を見つける役に立った
11. このサービスは困ったときにまた利用したい
12 . このサービスを利用して良かった
13. このサービスに満足した
調査実施とその結果について
当社のサービス利用者(N=70)へアンケートを依頼。評価尺度(13項目)、日本語版WHO-5精神健康状態表(5項目/信頼性・妥当性検証のため)、基本属性(3項目)の回答を得て、アンケート調査を実施した。
結果
- 全体では、「安心感、感情の安定」「問題の整理、振り返り、言語化」「問題解決」「受容」に関する項目の肯定的回答75%以上だった(図1)。
- 女性はすべての項目で肯定的回答が多く、男性は「安心感、感情の安定」および「問題の整理、振り返り、言語化」に関する項目と「満足度」のうち「また利用したい」「利用してよかった」で肯定的な回答の割合が高いなど評価に男女差があることがわかった(図2)。
- 30代においてすべての項目で肯定的な回答の割合が75%以上であった。20代は肯定的な回答の割合が高い項目は「落ち着くことができた」「他人に話しにくい個人的な悩みや困りごとを話すのに役立った」のみで、肯定的な回答の割合はほかの世代より低く、特に「ストレスや困りごとを自分なりに対処できるようになった」は回答が16.7%と最も低い結果だった(図3)。
(図1)メンタルヘルスサービス評価尺度 全体の回答結果(N=70)
(図2)メンタルヘルスサービス評価尺度 性別比較(N=70)
(図3)メンタルヘルスサービス評価尺度 年代別比較(N=70)
本調査結果は、今後、当社サービスの改善に活用していきたいと考えています。
2022年6月1日、東京大学大学院医学系研究科と民間企業15社が共同で設置した社会連携講座。
デジタル技術を応用して精神健康を測定し、それを保持・増進する介入プログラムを提供する「デジタルメンタルヘルス」技術と、これを用いたサービスについて基礎および応用研究を実施し、人々の心の健康の向上に役立つ研究成果を発信することを通じて社会に貢献します。また、デジタル社会、Society 5.0社会における心の健康についても幅広く研究。