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がん検診の目的を理解する 早期発見が命を守る理由~ティーペック健康ニュース

 がん検診の目的は、がんによる死亡率を下げることです。早期発見により治療の選択肢が広がり、治癒率が大きく向上します。今回は、がん検診がなぜ必要なのか、科学的根拠に基づいて推奨されている5つのがん検診(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)の内容と受診方法などについて解説します。

なぜ、がん検診が必要なのか

 厚生労働省が令和6年に実施した「人口動態調査」によると、がんは日本人の死亡原因の第1位となっており、年間37万人以上ががんによって命を落としています。生活習慣に気を付けることで、がんのリスクをある程度下げることはできますが、完全になくすことはできません。また、発症初期のがんは自覚症状がほとんどない場合が多く、がんになったかどうかを自分で判断することは困難です。自分の命と未来を守るためにも、がん検診を定期的に受けることが必要なのです。

がん検診のメリットと注意点

 私たちの命と健康を守るために重要な役割を果たすがん検診ですが、むやみに受診すればよいというわけではありません。がん検診には、メリットと注意点の2つの側面があります。

●がん検診のメリット

 国立がん研究センターによると、早期の段階で診断された場合、5つのがん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)は5年後の生存率が80%以上となるとされています。がん検診を通してがんを早期に発見し、治療を始めることで、がんで死亡するリスクを減らすことができます。また、がんを発症しても、早期の段階であれば比較的軽度の治療で済むケースが多く、治療による身体的・経済的な負担を軽減できます。

がん検診の注意点

 がん検診では、必ずしもがんを発見できるとは限りません。がんは発生してから一定の大きさにならないと見つけることが難しいため、1回の検診ではがんを見落としてしまうことがあります。

次に、不必要な検査や治療を招く可能性があるということです。実際にはがんがないのに、がんの疑いあり(精密検査が必要)と判定されてしまったり、生命に影響しないがんが発見され、不必要な治療が行われたりすることがあります。

 最後が、検査によって体に負担がかかる場合があるということです。検診や精密検査での医療行為により、胃カメラによる出血や薬の副作用などが起こることがあります。

国が推奨している5つのがん検診

 下記の表は、科学的根拠に基づき、国が推奨しているがん検診の一覧です。これらは、がんによる死亡率を下げる効果が科学的に確認されている検診です。定められた検査項目、対象年齢、受診間隔に従って受診してください。検診判定が「要精密検査(がんの疑いあり)」だった場合は、必ず精密検査を受けましょう。

種類検査項目(問診含む)受診間隔対象年齢
胃がん胃部X線検査
または胃内視鏡検査
2年に1回50歳以上
大腸がん便潜血検査1年に1回40歳以上
肺がん胸部X線検査1年に1回40歳以上
乳がんマンモグラフィ2年に1回40歳以上
子宮頸がんHPV検査単独法5年に1回30歳以上
細胞診2年に1回20歳以上

胃がん検診

 50歳を迎えたら、2年に1度、問診と胃部X線検査または、胃内視鏡検査を受診しましょう。胃部X線検査については当分の間、40歳以上の人に対して1年に1回実施することも可能とされています。

 胃部X線検査は、バリウム(造影剤)と胃を膨らませる発泡剤を飲んで、胃の粘膜を観察します。胃内視鏡検査では、口あるいは鼻から内視鏡を挿入し直接、胃の内部を覗きます。胃部X線検査と胃内視鏡検査を毎年交互に行うことはデメリットが大きくなるため、どちらか片方のみを受診しましょう。

 食欲不振、体重減少、食べた物がつかえる感じ、胃の痛みなどの症状が続く場合は、次回の検診を待たずに、消化器専門の医療機関を受診してください。

大腸がん検診

 40歳を迎えたら1年に1度、問診と便潜血検査を受診しましょう。

 便潜血検査では、事前に送付される専用の容器に2日分の便を採取して、便に血液が混じっていないかを調べます。腸内にがんやポリープなどの疾患があると出血することがあるため、その出血を検出することが目的です。

 血便が出る、便が細くなる、残便感がある、腹が張る、下痢と便秘を繰り返すなど、排便に関する症状があるときは、次回の検診を待たずに、消化器専門の医療機関を受診してください。

肺がん検診

 40歳を迎えたら1年に1度、問診と胸部X線検査を受診しましょう。肺がん検診では、自記式の質問用紙に記入することで問診の代わりとしてよいことになっています。

 胸部X線検査は、胸部全体にX線を照射して、肺にがんがないかを調べます。なお、X線による放射線被ばくで健康被害が生じる可能性は、ほとんどないとされています。

 なかなか治らないせきや胸の痛み、呼吸をするときゼーゼー音が出る、息切れ、痰に血が混じるなどの症状があるときは、次回の検診を待たずに、呼吸器専門の医療機関を受診してください。

乳がん検診

 女性の方で40歳を迎えたら2年に1度、問診とマンモグラフィを受診しましょう。乳がん検診では、自記式の質問用紙に記入することで問診の代わりとしてよいことになっています。

 マンモグラフィは、乳房を片方ずつプラスチックの板で挟んで撮影するため、少し痛みを感じる場合がありますが、圧迫される時間は数十秒程度です。

 乳房にしこりがある、えくぼのようなくぼみがある、皮膚が赤く腫れている、皮膚がオレンジの皮のように赤味を帯びている、痛みや熱感がある、乳首から血性の分泌物があるなどの症状がある場合は、次回の検診を待たずに、乳腺外科または乳腺外来がある医療機関を受診してください。

子宮頸がん検診

 女性の方で20歳を迎えたら2年に1回、問診と細胞診を受診しましょう。30歳以上の方は、5年に1回のHPV検査単独法を選択することもできます。しかし、厚生労働省の要件を満たす一部の自治体に限り実施されるため、お住まいの自治体のホームページなどで確認することをお勧めします。

 それぞれの検査では、医師が子宮の入り口をブラシの付いた専用の器具でこすって細胞を採取し、がん細胞の有無などを調べます。

 月経以外の出血、月経の量の増加、月経が長引く、性交時の出血、普段と違うおりものなどがあるときは、次回の検診を待たずに、子宮頸がんの精密検査ができる婦人科のある医療機関を受診してください。

がん検診の受け方

主ながん検診の種類としては、市区町村による住民検診と、職場で受ける職域検診の2つがあります。

 全国の市区町村では、健康増進法に基づいて住民検診を実施しています。ほとんどの市区町村では、がん検診の費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担でがん検診を受けることができます。お住まいの市区町村のホームページなどで、住民検診の内容を確認しておくとよいでしょう。

職域検診の場合、職場から健康診断の案内が届いたら、まず検査項目に国が推奨する指針に沿ったがん検診が含まれているかを確認します。確認できなかった場合は、住民検診を受診するようにしましょう。

最後に

 がんにより、毎年多くの人が亡くなっています。その一方で、治療技術の進歩により、がんは早期発見できれば治る可能性が十分にある病気です。がん検診のメリット・注意点を正しく理解して、適切な方法でがん検診を受診することが、あなたの命を守ることにつながります。

原稿・社会保険研究所ⓒ

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