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がん予防のための5つの健康習慣~ティーペック健康ニュース

 がんは、長年日本人の死因の第1位を占めており、「国民病」ともいわれるほど身近な病気です。
 実は、がんは日々の生活習慣を改善することで予防につながることが分かっています。がんに関する現状や基本的な知識を確認するとともに、実践できるがん予防のポイントを見ていきましょう。

日本のがんの現状

 一生のうち、2人に1人ががんと診断されるともいわれており、また4人に1人はがんが原因で亡くなっています。2022年には、がんで亡くなった方の数は約39万5,000人にも上っており、男女ともに特に肺がん・大腸がん・胃がんなどが死因の上位を占めます。

がんの発生と進行の仕組み

 がんは、遺伝子が変異する(傷つく)ことによって起こる病気です。正常な組織の中で遺伝子が変異することによって、がん細胞という異常な細胞が発生します。多くの場合、複数の遺伝子が変異して時間をかけて蓄積し、腫瘍(かたまり)になって周囲の組織に浸潤し、血管に入り込み血流にのって全身に転移していくため、高齢になるにつれてがんになりやすくなると考えられています。

がんのリスクを減らす5つの健康習慣と感染症への対応

 がんになる要因としては、生活習慣や感染などさまざまなものが考えられますが、その中で特にがんのリスクを高める生活習慣として、主に喫煙、過度な飲酒、食事の偏り、肥満・痩せ過ぎ、運動不足の5つが挙げられます。がんを完全に防ぎ切ることはできませんが、これらを見直して後述の5つの健康習慣を実践することで、がんのリスクを減らせることが分かっています。

 以下、5つの健康習慣について解説します。

●禁煙

 がん予防では、第一に禁煙することが重要です。喫煙は、肺がんだけでなく食道がん、すい臓がん、胃がん、大腸がん、肝細胞がん、子宮頸がん、頭頸部がん、膀胱ぼうこうがんなど多くのがんに関連しており、喫煙者は非喫煙者に比べてがんリスクが1.5倍に高まることが分かっています。

 また、受動喫煙でもがんのリスクは高まります。非喫煙者の方もタバコの煙をなるべく避けるようにしましょう。

●節酒

 過度な飲酒は、大腸がんや肝臓がん、食道がんをはじめとした多くのがんのリスクになります。また、女性の場合は乳がんのリスクも高まることが分かっています。
 お酒を飲むときは、適量を守ることが大切です。日本酒なら1日1合、ビールなら中瓶1本、焼酎なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度の量にとどめましょう。普段お酒を飲まない方や飲めない方は無理に飲まないことが一番です。

●食生活の見直し

 いくらや塩辛などの塩分濃度の高い食べ物を多く取る人は、胃がんになりやすいことが報告されています。日々の食事で塩分を取り過ぎないように意識しましょう。減塩することで、胃がんの予防に加えて高血圧、循環器疾患のリスク低下にもつながります。
 また、野菜・果物をしっかり取ることで食道がんのリスクが低くなることが期待できます。野菜と果物が不足しないよう毎日積極的に取ることで、食道がんだけでなく脳卒中や心筋梗塞をはじめとした生活習慣病の予防にもつながります。
 そして、熱過ぎる飲み物や食べ物は、食道がんのリスクを高めます。熱い物は少し冷ましてから取るようにしましょう。

●適正体重の維持

 肥満や痩せ過ぎによって、さまざまな病気のリスクが高まることは想像に難くないですが、がんも例外ではありません。適正体重を保つことでがんの予防につながります。
 適正体重は、BMI(Body Mass Index)という体格指数で判断することができます。男性は21~27、女性は21~25の範囲内に収まることを目安にしましょう。

BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)

●運動習慣

 仕事や運動などで体を動かす機会が多い人ほど、がん全般の発症リスクが低くなることが報告されています。特に男性では大腸がん、女性では乳がんにおいて身体活動量が高いほどリスクが低下します。
 スポーツをしたり、ジムに通ったりと定期的に運動ができれば理想的ですが、なかなかその時間や機会をつくるのが難しい場合には、犬の散歩や掃除機がけなど、日常の行動の中で体を動かすようにするのも有効です。歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分(約8,000歩相当)以上、毎日実践することを目標にしましょう。外出時の短い距離の移動であれば、エレベーター等を使わずに階段を上り下りしたり、車や電車を使わずに歩いたり、体を動かす時間や機会を意識的につくり習慣化しましょう。

感染症への対応

 また、先述の5つの健康習慣に加えて、ウイルスや細菌の感染への対応も大切です。がんの原因の約20%はウイルスや細菌の感染が占めています(図表)。がんの原因となる感染症の検査や治療など必要な対応を行うことで、がんの発症を減らすことにつながります。

図表:がんの発生に関係するウイルス・細菌

原因となるウイルス・細菌がんの種類
ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)胃がん
B型・C型肝炎ウイルス(HBV、HCV)肝臓がん
ヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸がん、陰茎がん、外陰部がん、膣がん、肛門がん、口腔がん、中咽頭がん
エプスタイン・バーウイルス(EBV)上咽頭がん、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)成人T細胞白血病/リンパ腫

出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「『がん情報サービス』がんの発生要因」より

https://www.ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html

早期発見のために定期的にがん検診を受けましょう

 がんの進行は種類や年齢によって度合いが異なりますが、進行するまで自覚症状がほとんどないことが大半です。早期発見のために定期的にがん検診を受けましょう。早期治療で根治の可能性が高くなります。

最後に

 禁煙、節酒、食生活の見直し、適正体重の維持、運動習慣。この5つの健康習慣は、がん予防だけでなく生活習慣病全般の予防にもつながります。普段の生活の中でできそうなことから取り組んで、1つでも多く習慣化して自身の健康につなげましょう。また、定期的ながん検診で早期発見につなげて、根治の可能性を高めることも重要です。

原稿・社会保険研究所ⓒ

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