健康ニュース
2024.03.20
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PMS(月経前症候群)に上手に対処するために~ティーペック健康ニュース
頭痛や下腹部の張り、乳房の痛み、イライラや不安など、月経(生理)前にこのような心身の症状に悩まされることが多い場合、それはPMS(月経前症候群)かもしれません。しかし、これらのような不快な症状を感じていても、一体どんな対処をすればいいのか分からないという方も少なくないようです。PMSによる主な症状や対処方法について確認していきましょう。
PMSとは
PMSはPremenstrual Syndromeの略で、月経の3~10日くらい前からさまざまな身体的・精神的な不調が継続して表れることを指します。
その原因は明確には分かっていませんが、生理周期(排卵から月経までの期間)に多く分泌される女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が急激に低下することで、脳内の心を安定させるホルモンの減少や神経伝達物質の異常を引き起こしているのではないかと考えられています。
PMSの発症時期と主な症状
PMSの症状は、多くの女性が初めて月経を迎える10代ごろから閉経を迎える50歳前後までの幅広い年代にわたって表れます。その症状には身体的なものと精神的なものの両方があり、表れる症状の種類や程度には個人差があります。同じ人でもその月によっても症状はさまざまです。日本人では約70~80%の女性が月経前に何らかの症状があり、そのうち約5%以上の人は生活に困難を来すほどの症状が出るといわれています。
- 主な身体的症状
乳房の痛み・張り、腹痛・下腹部の張り、関節痛・筋肉痛、頭痛、腰痛、手足のむくみ、体重増加、眠気・不眠、疲労感、倦怠感、肌荒れ、食欲不振・過食 など
- 主な精神的症状
情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、集中力低下 など
PMSの対処法
PMSの症状は人によってさまざまです。自分に合った上手な対処法を見つけましょう。
●症状の記録を取って自分の月経前のリズムを把握する
PMSのつらい症状に対処するための第一歩として、まずは自分がPMSであるということに気が付くことが大切です。体や心の不調に意識を向けて「この症状は、もしかしたらPMSかもしれない」と思ったら、日々の症状を記録するようにしましょう。
その症状がPMSによるものである場合には、毎月の月経前に症状が表れて月経開始後に和らぐ特徴を持っています。その特徴と一致するパターンが2回以上確認できた場合には、PMSである可能性が高いです。
生活に支障が出るほど症状が重い場合には、婦人科を受診するのがよいでしょう。薬による治療なども検討されます。もし月経周期に関係なく体調の不良が続く場合には、症状に応じた診療科への受診を検討してみましょう。
●月経のリズムに合わせて心の休息をとる
症状を記録することで症状が表れるリズムをある程度予測することができるようになったら、症状が表れそうな時期に合わせて、気分転換をしたり心がリラックスできる時間を前もって確保しておくことができると良いでしょう。好きな音楽や映画などを楽しんだり、マッサージなどのリラクゼーションに通ったりと、自分なりのリラックス方法を見つけておきましょう。
特に症状がつらいときは、普段よりも自分のことを少しだけ甘やかしてもよいでしょう。「この1週間はいつものように頑張れなくても仕方がない」「しっかり自分をいたわろう」とあらかじめ割り切って考えることで、気持ちが楽になります。月経周期に合わせて可能な範囲で仕事量を制限し、メリハリをつけることができれば理想的です。
●生活習慣を改善する
偏った食生活、アルコールやカフェインの摂取、喫煙や運動不足などはPMSの症状が悪化する原因になります。毎日の生活習慣を改善することで症状の安定につなげましょう。
- バランスの良い食事
偏った食生活は、体重の増加だけでなく手足のむくみ、乳房の痛みといったPMSの症状の悪化につながる可能性があるため注意が必要です。特に塩分摂取を控えるとともに、利尿作用のあるビタミンEを多く含む食品(ブロッコリー、アーモンドなど)を摂取することで代謝を促しましょう。
イライラや情緒不安定を和らげるビタミンB6(まぐろやにんにく、さけ・豚肉・レバーなど)や、カルシウム(牛乳、チーズ、小松菜など)、マグネシウム(そばや大豆、玄米、ナッツ類など)の摂取も大切です。
- アルコールやカフェイン、タバコの制限
アルコールやカフェインの摂取は、イライラや手足のむくみを強めてしまい、PMSの症状を悪化させる恐れがあるので摂取を控えるようにしましょう。また、喫煙は全身の血行を悪くし、ホルモンバランスが崩れる原因になるためPMSの症状悪化につながります。自分自身が喫煙者でなくても、受動喫煙も避けるように心掛けましょう。
- 適度な運動
ストレッチやヨガ、散歩など、適度に身体を動かすことで気分転換になり、軽い有酸素運動はPMSの症状を和らげるともいわれています。もちろん、症状が重くてとても運動する気になれない場合は無理をする必要はありません。
最後に
PMSは心身ともに多岐にわたるさまざまな症状をもたらし、その種類や程度には大きく個人差があります。まずは自分自身の月経前の不調が「PMSではないか?」と意識して記録を取ることから始めて、上記のような対処をしても症状がつらかったり、日常生活や仕事に支障があるような場合には我慢せずになるべく早く婦人科を受診しましょう。