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いざというときの救急車利用法~ティーペック健康ニュース

 突然の重篤な傷病者を緊急に医療機関に搬送するのが救急車の役割です。救急車の利用法を知り、いざというときに慌てずに対応できるように備えておきましょう。また、一刻も早く救急車を呼ぶべき状態、症状についても説明します。

救急車を呼ぶ際は119番に通報

 救急車を呼ぶための電話番号は「119」です。救急車は地方自治体の消防署が管轄しているため、119番に通報すると最初に「火事ですか、救急ですか」と尋ねられます。「救急車の出動をお願いします」と、まず救急であることを伝えましょう。電話口ではとにかく落ち着いて、慌てずにゆっくりと伝えることが大切です。救急車を呼んでも到着までには時間がかかりますので、可能であれば応急手当てを継続して救急車の到着を待つことになります。応急手当てを行う人以外の人がいる場合には、誘導のために救急車が通ると思われる道まで案内に出るとよいでしょう。

 近年は「050」で始まるIP電話が普及していますが、IP電話からは119番には通報できない場合が多く、注意が必要です。通常の固定電話、携帯電話から通報するか、IP電話しかない場合には居住地の市区町村の消防本部の固定電話の番号を調べて通報してください。

119番に通報した際に伝える内容
①「救急」であること119番は救急だけでなく火事の場合の通報も受け付ける番号ですので、まずは「救急です」と伝えてください。
②救急車に来てほしい場所の住所救急車に来てほしい場所の住所を市町村名から伝えます。具体的な住所が不明な場合は、目印になる近くの建物や交差点などを伝えます。
③具合の悪い人の症状・状態誰が、どうして、どのような症状・状態なのかを簡潔に伝えます。意識や呼吸などの状態、出血の有無などについても分かる範囲で伝えます。
④具合の悪い人の年齢・性別具合が悪い人の年齢と性別を伝えます。年齢がはっきり分からない場合はだいたいで構いません。
⑤通報した人の名前と連絡先場所が不明な場合などに折り返し連絡があることもありますので、連絡可能な電話番号を伝えます。

※必要に応じて詳しい状況、持病の有無、かかりつけの医療機関等について尋ねられる場合もあります。
救急車を要請すべき状態、症状とは

 緊急性が高い症状では素早い処置が命を救うため、一刻も早く救急車で医療機関に搬送する必要があります。このため、救急車を呼ぶべき状態、重大な病気やけがが疑われる症状を知っておきましょう。下記以外でもいつもと違う、様子がおかしい場合は救急車を呼ぶことを検討してください。

救急車を呼ぶべき状態
意識の障害意識がない(返事がない)・おかしい(もうろうとしている)、ぐったりしている
けいれんけいれんが収まらない、けいれんが収まっても意識が戻らない
けが・やけど大量の出血を伴うけが、広範囲のやけど
飲み込みものを喉に詰まらせた
吐き気冷や汗を伴うような強い吐き気
じんましん全身にじんましんが出て顔色が悪くなった
事故交通事故、転倒などで強い衝撃を受けた、水に溺れた、高い所から落ちた
重大な病気やけがが疑われる症状
症状の
部位
具体的な症状
突然の激しい頭痛、突然の高熱、急にふらついて立っていられない
顔の片側が動きにくい・しびれる、笑うと顔の片側がゆがむ、うまく話せない、ろれつが回らない、見える範囲が狭くなる、ものが二重に見える、唇が紫色になる、顔色が明らかに悪い
胸や
背中
突然の激痛、急な息切れ、呼吸するのが苦しい、胸を圧迫されるような痛みが続く、痛む場所が移動する
おなか突然の激しい腹痛、血を吐く、便に血が混ざる(真っ黒い便)、嘔吐が止まらない
手足突然のしびれ、片側の腕や足に力が入らない、手足が硬直している
緊急性が低い場合は安易な救急車の利用は避ける

 総務省の取りまとめによれば全国の救急車の出動件数は年々増加傾向にあり、コロナ禍で一時的に減少したものの、令和4年は過去最多の約723万件に達しました。出動件数の増加が影響し、救急車の現場への到着時間が長くかかるようになっています。また不要・不急の通報が増加し119番がつながりにくくなる状況が生じていることが報道されています。東京消防庁では「不要・不急の通報の場合は最後まで話を聞かずに通話を終了する場合もある」とX(旧:Twitter)で発表し、話題になりました。

 緊急性が高い場合はためらわずに救急車を呼ぶ必要がある一方で、緊急性が低い場合の安易な出動要請が増えると、本当に必要な人の元に救急車が到着するのが遅れてしまう事態を招いてしまいます。救急車の数には限りがあり、緊急性が高い場合に限って救急車を利用することが重要です。本当に救急車が必要なのか、救急車の本来の役割を考えて利用しましょう。

緊急性の判断に迷ったときに利用できる電話相談
 救急車を呼ぶべきかの判断に迷う場合に利用できる電話相談が全国で運用されています。緊急性の判断に迷ったときはぜひ利用しましょう。
 また、消防庁では症状から緊急度を判定することができるWEBサービスとして、全国版救急受診アプリ「Q助」を公開しています。スマホアプリもありますので、スマートフォンに入れておきましょう。
 
●救急安心センター事業(#7119)
 短縮番号7119番に電話をして病気やけがの状態を相談することができます。救急車を呼んだ方がいいか、急いで医療機関を受診した方がいいかについてアドバイスが受けられ、受診可能な医療機関を案内してもらえます。一部の都道府県、市区町村でのみ実施されている電話相談事業です。
●子ども医療電話相談事業(#8000)
 休日や夜間の子供の急な病気やけがのときに、全国共通の短縮番号8000番に電話をすることで、小児科医や看護師に相談できます。子供の症状に応じた適切な対処法や受診する医療機関についてアドバイスが受けられます。
●全国版救急受診アプリ「Q助」
 症状を画面上で選択していくと、緊急度を判定して必要な対応が表示されます。下記のアドレスから詳細をご確認いただけます。
総務省消防庁 全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」) | 救急車の適時・適切な利用(適正利用)
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate03.html
最後に

 いざというときに救える命を救うためには、救急車の利用法を身に付けておくことに加えて、応急手当てに関する知識があるとベストです。消防署などで応急手当てに関する講習が行われていますので、機会を見つけて受けてみてはいかがでしょうか。知識があれば、緊急事態でもパニックにならずに対応でき、大事な人の命を救うことができるかもしれません。

原稿・社会保険研究所ⓒ

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