健康ニュース
2023.08.18
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突然腕が上がらなくなる… 四十肩・五十肩の症状と対処法 ~ティーペック健康ニュース
加齢などの要因で、ある日、腕や肩の痛みが生じ、長期にわたって続くのが四十肩・五十肩の代表的な症状です。対処を誤り、無理なストレッチなどを続けるとかえって痛みが長引いてしまいます。四十肩・五十肩の代表的な症状と経過について解説します。
40歳~50歳ごろに起こることが多い肩の痛み
四十肩・五十肩とは40歳~50歳代前後に起こることが多い、肩の関節周辺に炎症が起こり痛みやこわばりが生じる症状のことをいいます。四十肩・五十肩は俗称で、医学的には「肩関節周囲炎」といいます。最初のうちは軽い肩の痛みや違和感だったものが徐々に症状が強まり、やがて肩の周囲や腕に鈍い痛みを感じるようになり、痛みで肩を上げたり腕を後ろに回したりする動作が難しくなっていきます。着替えや物を持ち上げる動作が困難になるだけでなく、夜寝ているときに痛みが強くなるため、寝返りをうつときに目が覚めてしまい、睡眠不足に悩まされる人もいます。
四十肩・五十肩の詳しい原因や発症のきっかけははっきりしていませんが、加齢で肩の筋肉が硬くなったり、関節液の減少などで肩関節の滑りが悪くなることが影響しています。運動不足で体を動かす機会が少ない場合は、肩の筋力低下と関節の柔軟性が失われやすく、発症につながりやすくなります。また、日常的に重い荷物を持ち上げるなど肩に強く負荷がかかる仕事をしていたり、スポーツや事故などで肩を痛めたり、けがをしたことがあったりすると肩関節にダメージが生じて発症しやすいとされています。
症状は1~2年続くことも
症状は長く続くことが多く、1~2年続くことも珍しくありません。次のような症状が続く期間がそれぞれ3~6ヵ月程度続き、時間の経過とともに少しずつ症状が治まっていきます。通常は日常動作に困らない状態まで回復しますが、動かせる範囲が狭くなるなど症状が残る場合もあります。
名称 | 具体的な症状 |
---|---|
急性期(疼痛期) | ●ちょっとした肩のけが、日常の無理な動作が発症の誘引になり、痛みや違和感が表われ始める ●痛みが強くなっていき、肩や腕を動かすときに鋭い痛みを感じて動かすのが困難になってくる ●痛む側を下にして寝たときなどに強い痛みを感じるため、睡眠不足に悩まされる |
慢性期(拘縮期) | ●腕が目の高さまで上がらなくなる、肩が動かせず着替えが困難になるといった症状が出る ●痛みは多少緩和されるが、肩関節が縮こまって硬くこわばる状態(拘縮)になり、動かしづらい状態が続く |
回復期(寛解期) | ●痛みや拘縮が緩和して徐々に腕や肩が動くようになり、日常生活への支障もほぼなくなる ●ただし、痛みのない方の肩と比較すると肩の関節の動きが硬くなり、動かし方によっては痛みが残るケースが多い |
整形外科を受診して治療とリハビリを
四十肩・五十肩だと感じたら、症状がよく似た別の病気の可能性もありますので、まずは整形外科を受診しましょう。レントゲンや超音波検査などで「腱板断裂」や「石灰性腱炎」などの別の病気でないかを確認した上で、治療が行われます。
急性期で痛みが強い場合は、安静にして患部を冷やすことで炎症を抑え、痛みを軽減させます。消炎鎮痛剤の飲み薬や湿布が処方されるほか、関節内の炎症を抑えるために何回かにわたってステロイド注射が行われます。この時期は無理に肩を動かして炎症を悪化させないことが大事です。自己流のストレッチやマッサージで炎症が悪化すると、回復が遅くなってしまいます。
痛みがある程度治まる慢性期に入ったら、筋力や関節の柔軟性の改善を目指して、理学療法士の指導の下でエクササイズやストレッチなどのリハビリを行っていきます。理学療法士から自分でできるリハビリ方法を指示されますので、自宅でも継続します。無理に動かすと痛みが強くなる場合があるため、指示を守って適切なやり方で行っていきましょう。この時期は血行を良くして患部の治癒を促すために、今度は温湿布などで温めるようにします。
回復期に入っても引き続きリハビリを継続してください。何もしないまま放置すると関節の動く範囲が狭くなってしまいます。再発を防ぐためにも体を動かすようにしましょう。
症状が重度で他の治療法が効果的でない場合は、内視鏡(関節鏡)を用いた手術が検討される場合もあります。
最後に
一度四十肩・五十肩を発症すると長期に渡わたって症状と付き合うことになります。改善には時間がかかりますが、必ず症状は治まりますので痛みを緩和させつつ、じっくりと治療とリハビリに取り組みましょう。
良い姿勢を保つことは肩の負担を軽減して予防につながりますので、デスクワークや長時間の座り仕事をする場合はイスやデスクの高さ、モニターの位置などを調整し、正しい姿勢を保つように心掛けましょう。また、定期的にストレッチを行って筋肉と関節の柔軟性を維持することが大切です。