健康ニュース
2023.05.20
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大切な人に禁煙してもらうためのテクニック ~ティーペック健康ニュース
家族など大切な人に禁煙してもらいたいのに、禁煙を勧めてもなかなか取り組んでもらえない…。そうした経験をされている方も多いかもしれません。禁煙は「ニコチン依存症」という病気との闘いです。大切な人にうまく禁煙を始めてもらうためのテクニックについて考えてみましょう。
禁煙を難しくさせるニコチン依存症
タバコには有害物質であるニコチンが含まれており、喫煙することで体内に取り込まれます。ニコチンは脳に作用して神経伝達物質のドーパミンを放出させ、快感やリラックス効果をもたらす一方で、逆にニコチンが体内からなくなるとイライラや焦燥感、不安、集中力の低下などの離脱症状を生じさせます。その結果、喫煙をする人はやがてニコチンなしでは我慢できなくなるニコチン依存症となり、ニコチンを求めて喫煙せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。やがて喫煙が長期になると生活に喫煙が組み込まれて習慣化し、タバコへの執着を正当化したり、喫煙の健康への害を軽視するなど偏った考え方に支配される心の依存が生じます。
禁煙が難しいのは、このようにニコチンによって依存症の脳につくり変えられてしまっているからです。いわばタバコに洗脳されている状態ですから、思うように禁煙できません。
禁煙を勧めるときは
まずは禁煙を始めてもらう必要があるわけですが、本人が禁煙に無関心なときに強引に禁煙を勧めても反発されるだけです。日頃からタバコの害や禁煙の効果などを繰り返し伝えつつ、辛抱強くチャンスを待ちましょう。禁煙を勧める最大のチャンスは環境が変化したときです。体の調子の悪さを自覚したときや生活に変化が生じたときは本人も禁煙に関心が向きます。そのチャンスを逃さず禁煙を勧めてみましょう。禁煙を勧めるときは次の点を意識することがポイントです。
●本人に決めてもらう:「やらされる」ではなく、禁煙に取り組むことを自分から決めてもらうことが大事です。「禁煙させられる」という意識を持たせないように、考えを押し付けないようにするとともに、自分で「禁煙宣言」をしてもらいましょう。
●禁煙する理由を明確にする:理由が明確であるほど禁煙に成功しやすくなります。子供のため、健康のためなど、禁煙の先のことを意識してもらいましょう。自分のためよりも誰か他の大切な人のためだと考えると、それが強い動機になって禁煙に取り組むことができます。
●責めずに褒めて支える:禁煙は簡単なことではありません。習慣性のある喫煙との孤独な闘いに挑むわけですから、自分が変われると自信がつくようにできるだけ褒めて応援してあげましょう。自信がつくほど「自分が変われる」と思えるため、禁煙に成功しやすくなります。
禁煙の障害になる3つの敵を回避する
禁煙しようとすると、それを邪魔する“敵”が現れてきます。これらに負けないようにすることが重要です。禁煙する人が負けないように、これらの敵をあらかじめ意識しておいてもらいましょう。
●1本だけオバケ:ニコチンの禁断症状が弱まるタイミングで現れて、「1本だけなら大丈夫」と喫煙に誘います。1本でも吸ってしまうと、再び禁断症状が始まり、依存状態に逆戻りしてしまいます。タバコを吸いたい気持ちが現れたらガム、アメなど別の物を口に入れたり、深呼吸をして落ち着きましょう。周囲の人にタバコを勧められてもキッパリ断ることが大事です。
●喫煙トリガー:喫煙のきっかけになるものを「喫煙トリガー」といいます。ライターや灰皿などの喫煙具だけでなく、喫煙とセットになっていたコーヒーやお酒、喫煙所などでタバコを意識してしまうと、そこから喫煙につながってしまいます。喫煙具をすべて処分することに加えて、喫煙する人や喫煙所には近づかないようにしましょう。コーヒーや飲酒を控えることも大事です。
●もうどうにでもなれ!:小さな失敗で禁煙に向けた自制心が崩壊してしまう状態のことです。たった1本吸っただけで自己嫌悪から「どうせ禁煙できないからもう禁煙なんてどうでもいい!」と禁煙に取り組むことを放棄してしまいます。禁煙の目的など長期的な目標を意識し、たとえ一度禁煙に失敗しても自己嫌悪に陥らずに、前向きな気持ちで何度でも再チャレンジすることが大切です。
禁煙成功までのスケジュール
禁煙成功までのスケジュールを考えたとき、節目になるのは「3日」「3週間」「3ヵ月」です。
まず、3日目あたりでニコチンの禁断症状がピークになり、タバコを吸いたくてたまらなくなります。イライラや憂うつが最もつらいタイミングです。そこを乗り切ると禁断症状はほぼ克服できますが、それまでのタバコを吸う習慣が消えていないので3週間目あたりまではタバコを吸いたい気分が続きます。それを過ぎたら今度は3ヵ月をかけて新しい「タバコを吸わない習慣」を定着させましょう。新しい習慣が定着するまでは、ふとした瞬間に喫煙してしまわないように十分にご注意を。
禁煙を6ヵ月継続できると1年後も禁煙している可能性が高いとされています。まずは禁煙成功の目安である6ヵ月の禁煙継続を目指して頑張ってもらいましょう。
禁煙の成功率が高い禁煙治療の利用 |
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禁煙に当たって最もお勧めなのは、医療機関で禁煙治療を受けることです。禁煙治療では医師から必要に応じて禁煙補助薬の処方を受けながら禁煙に取り組みます。禁煙補助薬と医師や看護師などのカウンセリングがセットになっており、ニコチン依存症への対策が取られているため、禁煙の成功率が高いのです。 健康保険が適用される場合が多く、費用が軽減されることで大きな自己負担なしで禁煙治療を受けられます。禁煙に取り組んでもらう際はぜひ利用を勧めてみてください。 |
最後に
ずっと続けてきたタバコを吸う習慣を断ち切るのは、もちろん大変なことです。しかし、高い山を1歩ずつ登るように、「今日だけは吸わない」「この1本を吸わない」と小さな目標を設定してそれを確実にこなしていけば、それだけ禁煙成功に近づきます。
タバコは寿命を奪い、タバコ代として金銭を奪い、自分で考えられる心を奪います。タバコのマインドコントロールから解放されて、大切な人に自分の人生を取り戻してもらいましょう!