健康ニュース
2021.07.20
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紫外線対策をしていますか~ティーペック健康ニュース
紫外線は、ご存じの通り太陽光線の一種です。カルシウムを代謝する際に重要な役割を果たすビタミンDを体内で合成するために必要ですが、浴び過ぎると日焼けによるシミ、シワの原因となるほか、白内障や皮膚がんを引き起こすこともあります。浴びることによる影響には個人差がありますが、正しい知識を持ち、浴び過ぎに注意しながら上手に紫外線と付き合っていくことが大切です。
浴び過ぎると皮膚がんのリスクも
紫外線は天候にも大きく影響されるため年によって多かったり少なかったりしますが、長期的に見ると、国内では観測を始めた1990年代初めから緩やかに増加している傾向が見られます。また、紫外線は1年中地表に届いていますが、やはり7月、8月の夏場に飛び抜けて多いことも分かっています。快晴の日と比べると、薄曇りの日は約90%、曇りの日でも約60%あり、雨の日は約30%の量になります。
紫外線には体内でビタミンDを生成するというよい面もありますが、強い紫外線を長年浴び続けることによって皮膚がんなどの病気のリスクが高まりますので注意が必要です。紫外線の皮膚への影響は、太陽に当たってすぐに見られる急性傷害と、長年にわたって当たり続けて現れる慢性傷害に、大きく二分されます。
<急性傷害>
紫外線を浴びると、皮膚に炎症が起こり、赤くなり痛みを感じる日焼け「サンバーン」と、その後に黒っぽくなる日焼け「サンタン」が現れます。
サンバーンは、紫外線に当たってから数時間後に赤くなり、ひりひりとした炎症が起こります。8時間から24時間でピークを迎え、2、3日で消えますが、水ぶくれになって皮がむけることもあります。
サンタンは、数日後に肌が黒っぽくなります。紫外線に色素細胞が刺激され、メラニンが増加するために起こります。数週間から数ヵ月間続きます。
<慢性傷害>
長年紫外線を浴びていると、皮膚のシミやシワが目立ってきます。顔や手、腕など露出している部分に見られるこうした変化は単に老化によるものと思われがちですが、実は加齢に加えて紫外線の影響による光老化でもあります。加齢による老化と異なり、光老化は適切な紫外線対策により防ぐことが可能です。
また、紫外線の影響でできる皮膚の腫瘍には良性のものと悪性のもの(皮膚がん)がありますが、悪性の場合、治療しないとより悪性化し、転移すれば生命に関わりますので注意が必要です。
紫外線の浴び過ぎを防ぐには
紫外線の影響は地域や個人によって異なりますが、紫外線の浴び過ぎを防ぐには次のような対策を行うとよいでしょう。
- 紫外線の強い時間帯の戸外活動を避ける
紫外線は時刻別に見ると正午前後に最も強くなります(各地域で太陽が最も高くなる南中時)。戸外で活動する場合はなるべくこの時間帯を避けるようにしましょう。
- 日陰を利用する
戸外では日なたを避け日陰にいるようにしましょう。ただし、紫外線は太陽から直接届く「直達光」だけではなく、空気中で散乱して届く「散乱光」や、地面や建物に反射して届く「反射光」があります。日陰でも紫外線は浴びているので、日差しの強い日は要注意です。
- 日傘や帽子を使う
日差しが強いときは日傘や帽子の利用も効果的。帽子の着用で眼の紫外線暴露は20%程度減少します。麦わら帽子などの幅広のつばのあるものが効果的です。いずれも太陽からの直接の紫外線は防げますが、大気中で散乱している紫外線までは防げませんので長時間の戸外活動は避けましょう。
- 衣服で覆う
袖が長い襟付きのシャツのように、体を覆う部分の多い衣服は、首や腕、肩を紫外線から守ってくれます。また、皮膚に到達する紫外線を減らすためには、織目・編目のしっかりした生地の衣服を選びましょう。生地を透かして太陽を見てみれば簡単に分かります。目の詰まっている衣類の方が防ぐ効果は高いのですが、通気性や吸収性が悪いと熱中症の危険性が。また、色の濃い衣服も紫外線の透過率は低くなりますが、熱の吸収率は高くなるので同様に無理のないように選びましょう。
- サングラスを使用
紫外線防止効果のあるサングラスは紫外線を最大で90%カットすることができます。ただし、眼に照射される太陽光は正面方向以外からも入ってきます。レンズサイズの小さなサングラスでは十分な防止効果を期待できません。顔にフィットした、ある程度大きいものが適しています。なお、色の濃いサングラスを掛けると、眼に入る光の量が少なくなるため瞳孔が普段より大きく開きます。紫外線カットの不十分なレンズでは、かえってたくさんの紫外線が眼の中へ侵入し、危険な場合がありますので注意しましょう。
- 日焼け止めを使う
日焼け止めは戸外に出る前に塗ります。顔に塗る場合は、大体スプーン1杯分、もしくは500円玉くらいの大きさが適量の目安です。太陽光を浴びやすい鼻の頭、首、肩、腕などは念入りに。商品や個々人によって適量は変わってきますので、使用する前に説明書をよく読みましょう。
最後に
紫外線対策としては、季節や時間を考えて活動すれば体へのダメージを少なくすることは可能です。紫外線を受ける量は、季節やライフスタイル、日中の戸外活動時間によって変わってきます。また、「直達光」以外に「散乱光」や「反射光」があり、常に注意して対策したいものです。
もし一時的に日差しを浴び過ぎたなと思ったら、なるべく早く水シャワーや濡れたタオルなどで体を冷やすこと。皮膚への傷害を少しでも緩和することにつながります。ただし、冷やし過ぎて低体温にならないよう気を付けます。
紫外線対策を万全にしたうえで、光り輝き、生命力あふれたこの季節を楽しみたいものです。
<参考文献>
『紫外線 環境保健マニュアル 2020』環境省