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しなやかな心の回復力・レジリエンスを鍛えよう~ティーペック健康ニュース

 コロナ禍で社会不安が続く中、昨年より、感染に対する不安や急激な生活様式の変容へのストレスなどから、「コロナうつ」と呼ばれる抑うつ状態となる人が増加しています。自殺者数も、昨年はリーマンショック直後の2009年以来、11年ぶりの増加が報告されました。人との交流の減少や行動制限の長期化などから、少なからず何らかの精神的な不調を感じている人も多いものと思われます。

 しかし、こうした心へダメージを負う人が多い一方で、いったんは気持ちが落ち込んだものの、自分なりに新しい生活様式に順応して、前向きに軌道修正ができている人もいます。その違いは何なのでしょうか。

 困難や逆境にあってもすぐ立ち直れる人は「レジリエンスが高い」と評されています。誰も経験したことのないウィズコロナの時代、「レジリエンス」を知り、鍛え、自ら高めていく意識を持つことは、健やかに生きるための鍵を握るものとして注目を集めています。

レジリエンスとは「しなやかな心の回復力」

 「レジリエンス(resilience)」は、日本語で「弾力性」「復元力」「回復力」を指す言葉です。もとは物理学の用語で、「外力によるゆがみをはね返す力」という意味からきています。心理学においては、「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。強い力がかかりいったん曲がったとしても、折れずにしなやかに元の姿へ戻る、竹のようなイメージでしょうか。困難な状況に陥っても、それを乗り越え立ち直ろうとする心の回復力として使われています。

 レジリエンスは人それぞれ程度の差はあれ、誰にでも生まれつき備わっています。日常で意識することがないものの、生活の中でささいなストレスをやり過ごすときにも、このレジリエンスが発揮されているのです。

ストレスで落ち込むのは、人として当然のこと

 よく「メンタルが強い・弱い」「ストレス耐性がある・ない」あるいは「心が折れにくい・やすい」「打たれ強い・弱い」などと言われますが、これらの言葉はレジリエンスとまったく同じ意味ではありません。

 レジリエンスは、ストレスを感じない、寄せ付けない、というのではなく、一度は受け止め、精神的に落ち込むものの、その後自ら回復する力を指すからです。気持ちが落ち込んだり傷ついたりすることは、人として当たり前のことです。そこから立ち直る力こそがレジリエンスです。

今からでも遅くない! レジリエンスを築くには
 レジリエンスは誰にでも備わっていますが、その人の性格や考え方、育った環境や生活など、さまざまな要因によって程度の差が生じてしまいます。しかし、最新の心理学の研究では、後天的にレジリエンスを高めることが可能であることが分かっています。アメリカ心理学会(American Psychological Association:APA)では、レジリエンスを鍛え、築くための10の方法を提唱しています。ぜひ参考にして、できることを実践してみましょう。

<レジリエンスを築く10の方法>
① 家族や友人との良好な関係をつくる
② 危機を耐え難い問題とせず、克服できると思う
③ 変えられない状況を受け入れる
④ 現実的なゴールをつくり、それに向けて動く
⑤ きっぱりと決断してアクションを起こす
⑥ 喪失の苦しみの後に、自己発見のチャンスを探す
⑦ 自分自身をポジティブに見る
⑧ストレスの多い出来事を、長い目、大きな視点で見てみる
⑨ 希望に満ちた見解を持ち続ける
⑩心と体をケアし、自分自身を癒やす

最後に

 厚生労働省が昨年9月に行った1万人規模の「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」によると、昨年2月以降、コロナ禍の影響で何らかの不安等を感じた人の割合は半数程度、「気分が落ち込んで何が起こっても気が晴れないように感じた」という人は15.5%にも達していました。

 一方、不安やストレスの解消方法として、7割以上の人が「手洗いやマスク着用等の予防行動」を挙げ、「スマートフォンやインターネットを使って情報を検索」「家族や友人に話をする」「運動などで体を動かす」なども2~3割の人が行っていました。そして、これらをはじめ何らかの解消方法を行った人の約半数が、「不安やストレスをうまく解消できている」と回答していたのです。 逆境をはねのけるには、自身に備わるレジリエンスを最大限に発揮させることです。予防や情報収集、発散など、コロナ禍で模索されるストレス解消方法は、レジリエンスを機能させるための大きなヒントになるかもしれません。

原稿・社会保険研究所ⓒ

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