健康ニュース
2018.07.10
健康ニュース
夏場の紫外線対策と熱中症対策は万全ですか ~ティーペック健康ニュース
夏はアウトドアの季節です。梅雨が明ければ、屋外でスポーツや行楽を楽しむ機会が増えることでしょう。しかし、紫外線量の増加や、ヒートアイランド現象と地球温暖化などによる気温の上昇で熱中症患者が増加するなど、近年は環境の変化から夏場の健康管理が重要視されるようになってきました。紫外線や暑さへの正しい知識と対策を身に付けて、元気に夏を乗り切りたいものです。
紫外線の浴び過ぎは、皮膚がんだけでなく白内障のリスクも
空から降り注ぐ紫外線の量は、ゴールデンウイークを過ぎた頃から7~8月がピークです。紫外線による日焼けはシミやシワの原因となるだけでなく、皮膚がんのリスクも上げることが分かっています。WHO(世界保健機関)の発がん性リスク分類では、紫外線は、危険性が最も高いグループ1に分類されています。これは、タバコやその他の発がん性物質と同じグループで、それほど危険性が高いということです。また、皮膚だけでなく目の水晶体にも害を及ぼすことから、白内障の原因にもなるといわれています。
こうしたリスクを避けるためには、この時期どこに出掛けるにも紫外線対策が必須になります。外出の際は必ず日焼け止めを塗り、さらに日差しの強い日はサングラスを着用しましょう。また、屋外で運動するときに半袖でプレーする人も多いようですが、暑くても長袖のウエアが理想的です。最近では、長袖でも涼しいUVカットの素材の物がありますので上手に利用するとよいでしょう。
しかし、一方で紫外線は悪影響ばかりではなく、ビタミンDを体内で生成することを促進し、カルシウムの吸収を助ける、骨を強くするなどのメリットもあります。日常生活を送る上で過度に神経質になる必要はなく、浴び過ぎないよう注意する心掛けが重要です。
【日常の紫外線対策を万全に】
1.午前10時から午後2時までの時間帯を意識する
正午を挟んで前後2時間は紫外線の量がピークです。この間に屋外で活動する場合は、特に紫外線を浴び過ぎないよう意識しましょう。
2.帽子、サングラス、日傘などの対策グッズを活用
帽子、サングラス、日傘は紫外線対策の“三種の神器”です。なるべくUVカットの物を使用し、さらに長袖、長ズボンを着用すれば理想的です。
3.小まめに日焼け止めを塗って肌を守る
紫外線は地面からの照り返しがあるため、全方位から対策しなければ完全には防げません。そのため、直接肌に塗る日焼け止めが対策として最も効果的です。しかし、時間とともに効果が薄れたり、汗で流れやすいため、まめに塗り直すことが対策のポイントです。
熱中症対策には、小まめな水分・塩分補給がカギ
紫外線対策もさることながら、夏の活動で特に気を付けたいのは熱中症です。気温の高さだけでなく、高い湿度に脱水症状が重なると、体温が異常に上がってくることがあります。突然目の前が真っ暗になったり、気分が悪くなって頭痛がしたり、こむらがえりや強い疲れが出たりするのは、かなり危険なサインです。症状がひどくなったときには多臓器不全から死に至ることもあるので、熱中症は決して油断できません。
対策としては、意識的に小まめに水分補給をするだけでなく、塩分の補給もとても大事ですので、塩飴をなめたり、飲むなら電解質の含まれたスポーツドリンクがお薦めです。
また、運動時や屋外での活動中だけでなく、屋内でじっとしているだけの人にも熱中症は多発しています。特に高齢者や子供は熱中症にかかりやすいものと考えて十分に気を付けてあげてください。
【屋内での熱中症にも要注意】
1.高齢者の倹約・冷房嫌い
高齢者は、電気代の節約や健康のためにと冷房を我慢しがちです。熱中症の危険性を理解してもらい、水分・塩分の補給とともに、室内の温度は28℃以下を徹底するよう伝えましょう。
2.子供だけの留守番
夏休みなどで子供を家で留守番させる場合は、ちょっとした外出のときでも室内が暑くなり過ぎていないか出掛ける前にチェックをするようにしましょう。
3.職場での省エネのし過ぎ
環境省は「クールビズ」で「室温28℃」を推奨していますが、エアコンで設定しても必ずしも室温が28℃になるわけではありません。実際の室温の方が高くなることがありますので、そんなときは設定温度を下げることも考えましょう。また、オフィスではパソコンやサーバー、窓ガラスに近い場所などは温度が高くなりますので、暑くなり過ぎていないか注意が必要です。
紫外線や熱中症は、最近は身近な話題として耳にすることも多いため、対策を知っているつもりの人もいるかもしれません。しかし、中には次のように誤解しているケースもあるようです。
まず、紫外線対策が必要なのは、晴れた日に直射日光を浴びるときだけと思っていませんか。紫外線は目に見えず曇りの日でも、雲を通過して降り注いでいます。また、室内にいてもガラスを通しますから、窓際にいるときは要注意なのです。
さらに熱中症の対策として、汗で失われる水分を補うためにアイスコーヒーやビールなどを飲む人もいます。しかし、これは逆効果です。カフェインやアルコールには利尿作用があるため、脱水症状を促進しかねないのです。
夏場は、毎日紫外線対策をしつつ、コーヒー、お酒以外で十分な水分補給を。そう覚えておいていただければと思います。
<参考資料>
『さわやか』2016年夏号「ドクターズヘルスケア」(制作/社会保険研究所) ほか