T-PEC

健康ニュース

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

花粉症を改善するには ~ティーペック健康ニュース

 毎年、花粉症でつらい思いをしている人はたくさんいることでしょう。年が改まり、春が近づいてくるこの時期は、昨春のつらい症状がよみがえり、憂うつな気分になってしまうこともあると思います。
 日本では花粉症を引き起こす植物は約50種類に及ぶといわれていますが、中でもスギの花粉症患者が最も多く、花粉症患者全体の約7割と推察されています。これは日本の国土に占めるスギ林の面積が大きく、全国の森林の18%、国土の12%を占めているためでもあります。
 気象庁による2016年12月の予測では、今春のスギ花粉の飛散量は例年並みで、九州北部・山口・高知・静岡では2月上旬から飛散開始と発表されました。とはいえ、スギ花粉は飛散開始と認められる前からわずかな量が飛んでいます。そのため、医療機関が勧める花粉症治療のスタート時期は、空気中に花粉が含まれない1月中がベストだそうです。
 昨年より少しでも症状を改善し、爽やかな春を心から楽しむために、シーズン前に必要な初期治療や各種治療法など、花粉症の人のための春支度をご紹介します。

花粉症の治療はタイミングが大切

 花粉症の治療は他のアレルギー疾患の治療と基本的には同じですが、花粉の飛散開始直後に急に強い症状が起こる、という特徴に注意しながら進められます。治療法は大きく分けて、症状を軽減する「対症療法」と、根本的に治す「根治療法」の2つに分類されます。

1.「対症療法」は飛散開始1~2週間前にスタートを
 一般的な治療の主流となるのは、症状に合わせて薬を服用する対症療法ですが、花粉の飛散シーズンに入って症状がひどくなってから医療機関へ行き、薬を飲み始める人が多いようです。しかし本来は、花粉が飛び始める前に医療機関を受診し、飛散開始の1~2週間ほど前から自分に合った薬を飲むようにすることが、症状を軽減させるために効果的です。これを「初期療法」といい、主に次のような薬が使われます。

【花粉症の主な内服薬】
・第一世代抗ヒスタミン薬

 抗ヒスタミン薬は、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状の原因になるヒスタミンの刺激を抑える薬です。薬が効き始めるのは数十分程度からと効果が表れるのが早いのですが、口が渇く、眠気が出やすいなどの副作用があります。
・抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)
 抗ヒスタミン薬は、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状の原因になるヒスタミンの刺激を抑える薬です。薬が効き始めるのは数十分程度からと 刺激物質のロイコトリエンやヒスタミンなどが放出されるのを防ぐ薬で、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりに効果があり、点鼻薬と点眼薬の他、飲み薬もあります。第一世代抗ヒスタミン薬と比べて副作用は起こりにくいですが、飲み始めてから薬の効果が表れるまで数日程度以上かかります。
・抗ロイコトリエン(LTs)薬
 ロイコトリエンは鼻の粘膜の血管に作用して鼻の粘膜に炎症を起こさせ、鼻詰まりを引き起こす原因となります。抗ロイコトリエン薬はそれを防ぎ、鼻詰まりや鼻水、くしゃみに効果があり、効果が表れるまで1週間ほどかかります。

【レーザー治療】
 対症療法には内服薬の他に、レーザーなどによる手術療法もあります。鼻の粘膜にレーザーを照射して症状を軽減させる方法で、日帰りで手術ができます。しかし、粘膜は数ヵ月~1年程度で再生されるため、長期的な効果は期待できません。
※服用の効果が表れるまでの期間等には個人差があります。

2. 重症の場合の「根治治療」はシーズン終了後に
 症状に合わせて薬を服用しても改善しない、あるいは生活の質(QOL)を維持できないほどの重症な場合は、対症療法と並行して、花粉症の原因に対してアプローチする根治療法が行われる場合があります。開始時期はスギ花粉の飛散が終わった5月以降がよいとされています。

【減感作療法(抗原特異的免疫療法)】
 花粉症を引き起こす原因となる花粉のエキスを、ごく少量ずつ濃度を上げながら定期的に皮下注射することによって抗原に体を慣れさせ、花粉症を起こしにくい体質に変えていく治療法です。約8割の患者に治療効果がみられるそうです。

保険適用となった最新の根治治療「舌下免疫療法」

 舌下免疫療法とは減感作療法の一つで、スギ花粉症の場合はスギ花粉のエキスが入った成分を舌の下に置き体に吸収させる治療法です。エキスが舌下の血管や口腔粘膜の血管網からダイレクトに吸収されるため、症状の改善率は約8割と高い効果を上げています。

 医師の指導の下で自分で行えることから、注射による減感作療法のような痛みや頻繁な通院の必要がなく、急性症状のアナフィラキシーショックが起こりにくいなどのメリットがあります。

 保険が適用され、年間約2万円の自己負担で舌下免疫療法を受けられるようになりました。ただし自分で行える分、投与方法を間違えると重大な副作用が起こる懸念もあり、慎重に行わねばならないという一面もあります。

治療と同時にセルフケアも忘れずに

【外出先】花粉を寄せ付けない対策を!
※マスク、めがね、帽子の着用、帰宅後は上着を玄関外で払い、手洗い・うがい・洗顔をする

【家で】花粉を家に入れない工夫を!
※飛散の多い日はなるべく窓を開けない、洗濯物は部屋干し、布団は外に干さない

【その他】免疫機能を向上させよう
※粘膜を傷つけるのでタバコは吸わない、規則正しい生活を送り、ストレスをためない

 近年、花粉症患者は増加の一途をたどってきましたが、完治が望める治療法も出てきた今、近い将来には患者数が減少に転じる日が来るかもしれません。一生付き合うかどうかは、患者の判断に委ねられる時代になっていくことでしょう。
 この半世紀で、花粉は多くの人から敬遠され、敵視されるようになってしまいました。でもいつの日か、植物が昔のように気兼ねなく花粉を飛散でき、また、誰もが春のお日様の下で快適に過ごせるようになることを願いたいものです。

<参考資料>
「早めの対策で花粉症に勝つ!」(制作/社会保険研究所)
『的確な花粉症の治療のために(第2版)』〔監修:大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科)/平成22年度厚生労働科学研究補助金 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業 公益財団法人日本アレルギー協会事業より〕 ほか

弊社サービスにご関心のある方は、
お気軽にご相談ください

お問い合わせフォームへ