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知っておきたいストレス発生のメカニズム ~ティーペック健康ニュース

 ストレスという単語は、もともとは物理学で使われていた言葉で、「外からの圧力で物体に歪みが生じた状態に対する抵抗力(応力)」のことでした。カナダ人の生理学者であるセリエは、これを生物にもあてはめ、生物が外部から刺激を受けたときにそれに応えようとする体の反応をストレス反応と定義しました。セリエは、ストレスを「どんな質問に対しても答えようとする身体の反応」としています。ストレスがあるとき、体の中ではどのような反応が起こっているのでしょうか。

ストレス反応のメカニズム

 ストレス理論では、ストレスの原因を「ストレッサー」、それによって引き起こされる体の反応を「ストレス反応」と定義します。一般的に使われるストレスという言葉では、精神面のことを中心に考えられていますが、暑さや寒さ、騒音、化学物質などさまざまなものがストレッサーとなります。ストレスを風船で考えてみると、膨らんだ風船を指で押す力がストレッサー、大きさを戻そうとする圧力がストレス反応です。もしも、指で風船を押す力が大きすぎるとどうなるでしょうか。風船は破裂して元に戻れなくなってしまいます。ストレスによる症状が現れたとき、体は過剰な刺激に反応しきれなくなっているということです。
 具体的に体内でストレス反応を制御しているのは、コルチゾールやアドレナリンという副腎皮質ホルモンです。それらのホルモンが血液中に分泌されると、心拍数や血圧が上昇し、血糖値が高まるため、体全体にエネルギーが供給されることで活動的になります。一方で、胃腸の働きが悪くなり、免疫細胞の働きを低下させます。ストレス反応では、消化機能や免疫力などを犠牲に一時的に体の活動力を限界まで高めていると考えることができます。しかし、体には強い負荷がかかっていますから、ストレス過剰の状態が続けば、疲弊した体は力を出せなくなってしまいます。

ストレスが原因で起こる病気

 ストレス反応が長時間続くとさまざまな病気にかかりやすくなります。代表的なものとしては生活習慣病です。血圧の上昇は高血圧症や動脈硬化に、血糖値の上昇は糖尿病の原因となります。ストレスの影響を受けやすい胃腸は調子が悪くなり、便秘や下痢をしやすくなります。免疫力の低下が続けばかぜなどの感染症にもかかりやすくなります。過剰なストレスは万病のもとなのです。
 もちろん体の病気だけでなく、心の病気のリスクも高まります。過剰なストレスによって起こる精神的な病気の例としては、次のようなものがあります。

①うつ病
長く気分が落ち込んだ状態が続く病気。“心のかぜ”と呼ばれるように珍しい病気ではなく、人口の5~10%がかかると考えられています。生真面目で責任感の強い人に起こりやすいとされていますが、誰にでも起こる可能性があります。症状としては、精神面の気分の落ち込み・意欲の低下・思考力や集中力の低下のほかに、睡眠・食欲の異常、頭痛・腰痛など原因不明の痛みのような、身体面の症状が現れることがあります。治療は十分な休養に加えて、抗うつ薬などの薬物療法が行われます。
②適応障害
特定の状況や出来事が、その人にとてもつらく耐えがたく感じられ、ふだんの生活に支障をきたすほどの不安や抑うつ、緊張などが起こります。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因がなくなれば症状は改善します。個人のストレス耐性も発症のしやすさと関係があるため、本人の適応力を高めるために物事の受け止め方を変える認知行動療法が行われます。
③過換気症候群
精神的な不安をきっかけに異常に呼吸が浅く速くなる過呼吸になると、体内から二酸化炭素が過剰に排出され、血液がアルカリ性となることで呼吸困難や動悸、胸の圧迫感、手や口のしびれなど症状が起こります。「過呼吸症候群」とも呼ばれます。息苦しいため不安がつのり、さらに呼吸が速くなるという悪循環に陥る場合もあります。若い女性に多く、何度も繰り返す人も少なくありません。
④パニック障害
突然不安にかられて、動悸、胸の圧迫感、めまい、頻脈、手足のしびれなどの発作(パニック発作)に襲われます。生命にかかわる病気ではなく、多くの場合、発作は数分で治まります。一度発作を起こすと、また同じことが起こるのではと不安で、以前に発作を起こした場所や場面、人が集まる場所などを避けるようになり、生活や仕事に支障が出ることがあります。

ストレスへの効果的な対処法(コーピング)を身につける

 ストレスに対してどんな対処をするかを「ストレスコーピング」といいます。ストレスコーピングには大きく分けて2つのやり方があります。ストレスの基を変えるか、ストレスの基を変えるのが難しいのであれば、ストレスに対する考え方・感じ方を変えるのです。状況に応じて自分に合ったコーピングを使うことがストレスを減らすためには大事です。趣味などで気分転換をしたり、お風呂にゆったり入るなど、リラックスする時間をつくってストレスを減らすのも重要なコーピングです。自分なりのコーピングの手法をたくさん用意しておきましょう。

●問題焦点コーピング(ストレスの基を変える)
ストレスの基になるものに働きかけて、それ自体を変化させて解決を図ろうとすること
(例:対人関係が原因の場合、相手とのコミュニケーションのやり方を変えてストレスを減らす)
●情動焦点コーピング(ストレスの受け止め方を変える)
ストレスの基に直接働きかけるのではなく、それに対する考え方や感じ方を変えようとすること
(例:対人関係が原因の場合、相手の言動に対する自分の考え方や感じ方を変える)

 ストレスというと「ない方がいいもの」と感じてしまいがちですが、実際には適度なストレスがあるほうが人間は力を発揮できるといわれています。ストレスが全くない状態というのは、人生では考えられないのではないでしょうか。大事なのはストレスとどのようにつきあっていくかということ。過剰なストレスは心と体を壊すことにつながりますので、上手につきあっていきたいものです。

<参考資料>
『健康管理ハンドブック』(社会保険研究所)
『今日から始める心のセルフケア』(社会保険研究所)
『セルフセラピーで快適生活』(社会保険研究所)
『健康づくりのためのいきいき休養ブック』(社会保険研究所)
『働く人のための健康管理BOOK』(社会保険研究所)

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