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認知症を予防するよい習慣・悪い習慣 ~ティーペック健康ニュース

 認知症は、少し前までは防ぐことができない病気とされてきました。そして、ひとたび発症すれば、薬やケアで症状を緩和し、進行を遅らせる手立てしかないと思われていたのです。
 しかし、近年、認知症を発症する前段階である「MCI(軽度認知障害)」が注目され、この状態で適切な予防や治療を行えば、認知機能の低下を遅らせることや正常な状態に回復する可能性があることがわかってきました。また、40代、50代のうちから生活習慣を見直し、改善することで、ある程度の予防につながることも多くの調査・研究で報告されています。
 アルツハイマー型認知症に次いで患者数が多い脳血管性認知症も、脳卒中が主な原因であるため生活習慣との関係が大きいことから、もはや認知症は早期発見・早期治療、さらには予防する時代になったといえるでしょう。認知症にならないために、生活習慣の中から危険因子を少しでも減らし、予防につながる要因を増やしていくことが大切です。

生活習慣病は認知症の大敵

 認知症の危険因子には、「加齢」「遺伝」「性差(女性に多い)」「頭部の外傷」などに加え、さらにさまざまな生活習慣病が大きくかかわっています。
 なかでも、糖尿病とその予備群、高血圧、脂質異常症などは、脳の血流に影響を与え、認知症を発症するリスクが高いといわれています。

【糖尿病】
 糖尿病になると動脈硬化が進行するため、脳血管性認知症になるリスクを高めることは早くから明らかになっていました。さらに近年、糖尿病の合併症としてアルツハイマー型認知症も発症することがわかってきました。
 脳の中にも存在するインスリンは、アミロイドβ※という悪玉たんぱく質を外にかき出す役割を担っています。糖尿病により脳のインスリンの働きが弱まることで、脳の神経細胞の中にこのアミロイドβがたまってしまうことがアルツハイマー型認知症を発症する原因とみられています。
 調査によると、糖尿病の人はそうでない人と比べ、アルツハイマー型認知症の危険度は2.1倍、脳血管性認知症の危険度は1.8倍にも及ぶことが報告されています。

※アミロイドβ

アルツハイマー型認知症の発症メカニズムはいまだ明らかになっていませんが、長年の研究によりアミロイドβというたんぱく質が関係することがわかっています。
 アミロイドβは通常は脳内の酵素により分解されていますが、認知症発症の約20年前から脳内で蓄積が始まります。やがて神経が侵され、最終的には前頭葉などの神経細胞が死滅します。その過程で認知機能が低下し、記憶障害が起こり、認知症を発症することになるのです。
 そこで、認知症を発症する前段階であるMCIの状態で、脳内にアミロイドβが蓄積されていることがわかれば早期発見につながるため、最近は「アミロイドPET検査」等、認知症の早期発見を行うための検査の開発が進められています。


【高血圧・脂質異常症】
 高血圧は動脈硬化の最大のリスクであると同時に、脳血管性認知症の危険因子になります。特に中年期の血圧のコンロトールは重要で、中年期に高血圧であった人はそうでない人と比べると、老年期に正常値に戻した場合でも、脳血管性認知症にかかる危険度が5倍以上という調査結果もあります。

認知症になりにくい生活とは

 認知症予防には、まず生活習慣病にならないこと。また、なってしまってもきちんと治療することが大切です。そしてこれらの身体的なアプローチのほかに、脳の神経ネットワークを強化して認知機能を活性化させることも重要になってきます。
 生活習慣病予防の際に提唱される「バランスのとれた食事」「適度な運動」「十分な睡眠」だけでなく、活発に人と交流し、趣味を楽しみ、積極的に社会参加するようにしましょう。

●認知症になりにくい「よい習慣」

  • 食習慣
    ・野菜・果物(ビタミンC・E、βカロチン)をよく食べる
    ・魚(DHA、EPA)をよく食べる
    ・1日1杯の赤ワインなどポリフェノールを摂取する
  • 運動習慣
    ・週3日以上の有酸素運動をする(とくにウォーキングがお勧め)
  • 睡眠習慣
    ・30分未満の昼寝
    ・起床後、太陽の光を浴びる
  • 対人接触
    ・人と積極的に交流する
    ・趣味をもつ
  • 知的行動習慣
    ・文章を書く、読む
    ・パズルやゲームをする
    ・美術館や博物館に行く


●認知症になりやすい「悪い習慣」
□ 運動不足
□ 喫煙
□ 多量飲酒
□ 食べすぎ(特に糖質や脂質の過剰摂取)
□ 偏った食事(ビタミンや魚類の不足)
□ 人づきあいがほとんどない
□ 本や新聞などを読まない

 認知症をはじめとする日本人の健康の実態を明らかにしてきた研究に、九州大学の「久山町研究」があります。1961年から50年以上の長きにわたり、福岡市に隣接する久山町の住民の協力の下で40歳以上を対象に健診や解剖検査を実施し、生活習慣や病歴、病因を追跡調査してデータを解析した疫学調査です。
 久山町の人口は約8,400人で、全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布となっており、いわば「日本の縮図」といわれています。その久山町でこの30年間で糖尿病が急増し、それに伴いアルツハイマー型認知症も増加したため調査すると、血糖値が高い人はこの病気になりやすいことが明らかになりました。
 今後、確かな認知症予防法のひとつとして、脳血管性認知症を防ぐための血圧管理と並び、血糖値のコントロールが重要な役割を果たしていくと考えられます。

<参考資料>
『認知症予防はカラダづくりから!』(公益財団法人 健康・体力づくり事業財団  制作/社会保険研究所)
「わが国における高齢者認知症の実態と対策:久山町研究」(九州大学大学院医学研究院 環境医学分野 清原裕)   ほか

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