健康ニュース
2014.01.10
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認知症の前兆(軽度認知障害)を見逃さないで! ~ティーペック健康ニュース
厚生労働省の調査によると、全国の65歳以上の高齢者のうち認知症の人は、2010年時点で439万人、2012年時点で462万人と推定され、さらに、将来、認知症に至る可能性がある「軽度認知障害(MCI)」の人は、2010年時点で約380万(65歳以上)と推計されています。この数は今後も増加し続けることが予測され、2025年には470万人の高齢者が認知症になると推測されています。
近年、認知症になる前の「軽度認知障害」という段階で発見し、適切な対処を行うことによって、認知症の発症を防いだり、遅らせたりすることが可能なことがわかってきました。
軽度認知障害のあるすべての人が認知症になるわけではない
認知症が発症する前には、その前兆として、例えば、「通常の老化による物忘れとは明らかに異なるような物忘れがある」などといった、正常な老化とは明らかに区別でき、しかも、本人や周りの人が認識できる程度の認知障害が現れます。
このような、日常生活を送るうえで支障をきたす程度ではない認知障害を「軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)」といいます。軽度認知障害とは疾患名ではなく、その状態を総称する一種の症候群で、アルツハイマー病や脳血管性認知症などの認知症を引き起こすさまざまな疾患のごく初期の軽微な状態と捉えられることもあります。
認知症に移行する危険性が高い状態といえますが、軽度認知障害のある人すべてが認知症にかかるとは限りません。
次のような兆候がみられる場合は軽度認知障害が疑われます。
【軽度認知障害の兆候】
・本人や家族から記憶障害(物忘れなど)の訴えがある。
・年齢や教育年齢が同じ集団の平均と比較すると、相対的に記憶障害がみられる。
・目立つような日常生活活動上の問題がない。
・正常とはいえないが、認知症ではない。
認知機能を刺激して認知症の発症を予防する
軽度認知障害によって低下する認知機能は、主に「エピソード記憶」「注意分割機能」「思考力(行動管理能力)」の3つです。
軽度認知障害の段階で早期に発見し、「知的刺激を与える」「運動を行う」「生活習慣病などを適切に管理する」などの働きかけを行って、これらの認知機能を刺激し向上を図ることで、認知症の発症を遅らせたり予防したりすることができるとされています。
機 能 | 内 容 | 機能向上のための働きかけ |
---|---|---|
エピソード記憶 | 過去に体験したことを覚えて思い出す機能 | 体験を思い出す ・日記をつける ・家計簿をつける |
注意分割機能 | 同時に、いくつかの物事に対して、適切に注意を振り分けたり、注意を切り替える機能 | いくつかに同時に注意を払う ・料理を、数品、同時進行でつくる ・相手の表情や気持ちに注意を 向けながら会話をする |
思考力 (行動管理能力) | 日常生活の中での行動(複雑な判断をする、目標を設定する、計画をするなど)を管理する能力 | 計画を立てる ・献立の計画を立てる ・旅行の計画を立てる ・囲碁・将棋などのゲームをする |
これまで、軽度認知障害の判別は困難とされてきました。ティーペック株式会社では、電話による10分程度の質問を行うだけで、高い精度でこの軽度認知障害を判別できる検査「軽度認知障害スクリーニングテスト(あたまの健康チェック)」の提供を、日本で初めて開始しました。この検査を通じて、軽度認知障害を早期に発見し、適切な予防や治療が行われることで、認知症の発症の予防や、発症を遅らせることなどにつながることをめざしています。
<参考資料>
『都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応(平成25年3月)』(厚生労働省) ほか