健康ニュース
2012.07.10
健康ニュース
正しい水分補給で酷暑を乗り切る ~ティーペック健康ニュース
座っているだけでも大汗が吹き出るほどの真夏の暑い日には、冷えたコップ1杯の麦茶などが、ほんのひとときではあるけれど、さわやかな涼感を運んでくれたりします。
その反面、欲求にまかせ水を一気にガブガブ飲んでしまったり、糖分の多い清涼飲料水などを中心に水分補給したりすると、そのあと体調を崩してしまったり、いつの間にか夏バテを引き起こしたりすることがあります。
正しい水分補給は、暑い夏を乗り切るために必要なアイテムのひとつといえます。
体重の2%の水分が失われただけで、脱水症状が始まる
ヒトの体の約50~75%は水分が占めています。この水分のうち、体重の2%が失われただけで、のどが渇くなどの脱水症状が始まります。
■体重に占める失われた水分量の割合とそれらが引き起こす主な脱水症状
2%失われると…… のどの渇き
3%失われると…… のどの強い渇き、ぼんやりする、食欲不振
4%失われると…… 皮膚の紅潮、イライラする、体温上昇、疲労困ぱい、尿量の減少と濃縮
5%失われると…… 頭痛、熱にうだる感じ
8~10%失われると…… 身体動揺、けいれん
10%以上失われると…… 失神、腎機能不全など、きわめて生命が危険な状態
水は意味もなくただ体内に貯蔵されているわけではない
水は、体内で下記のようなとても重要な働きを担っています。
- 栄養素、酸素、ホルモンなどを体中に運搬する。
- 体内の老廃物を尿または糞便として体外に排泄するのを助ける。
- 汗をかくなどして体温を調節する。
- 代謝活動によって発生した余分な熱を皮膚や呼気から蒸気の形で排出する。
ジュースやスポーツドリンクのとりすぎは、夏バテの原因にも…
何らかの原因で体内の水分量に過不足が生じた場合、ヒトの体は尿の量で体内の水分バランスを調整します。たとえば、体内の水分量が不足した場合は尿を濃縮して水の排出量を減らしますし、水分量が過剰な場合は過剰な分だけ尿の排出量を増やします。
ヒトの体は、水分が不足して調整する状態よりは、過剰な水分を排出して調整するほうが、体への負担が少ないといわれています。ですから、できるだけ不足しないよう、でもとりすぎにも注意しながら、こまめに水分補給することが大切なのです。
気温、湿度が高く大量の汗をかいたときだけでなく、スポーツをしたときやかぜなどで発熱したとき、体調を崩しておう吐や激しい下痢が続いたときなどは、ふだんよりも水分が失われています。脱水症状を起こす危険もありますから、意識していつもより多めの回数での水分補給を心がけましょう。
また、暑いときはどうしても冷たい飲み物が欲しくなります。しかし、冷たい飲み物は胃腸の働きを低下させてしまいます。腸で吸収されやすい5~15℃の温度にして補給するとよいといわれています。
なお、ジュースやスポーツドリンクには糖分が多く含まれているため、飲みすぎるとカロリーや糖分をとりすぎて、肥満の原因になったり、食欲低下による夏バテの原因になってしまいますので、注意しましょう。
何回かに分けて、のどが渇く前に、こまめに補給
水分を一度に大量に補給すると、胃の中で水分がチャプチャプと音を立てることがあります。実は、水分を吸収するのは胃ではなく腸。補給した水分がいったん胃にためられて、胃から少しずつ十二指腸、小腸、大腸へと送られて吸収されるのです。ですから、補給した水分が多すぎると、すぐには腸に送られず胃の中に大量にたまってしまいます。こういう状態は過剰な水が胃に負担をかけ、胃液を薄めて消化不良を起こしてしまいますから、注意しなければなりません。
体に必要な飲料水の量は、1日当たり約1,000~1,300mlほどです。水分を補給するときは、一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯(150~250ml)くらいの量の水分を、1日に6~8回ほどに分けて飲むようにすると、1日に必要な量の水分を無理なく補給することができます。
「のどが渇いたな」と思ったときには、すでに体内の水分は不足してしまっていますから、渇きを覚える前に補給するようにしましょう。
起床直後、入浴前後、就寝前などに、毎日水分をとる習慣をもつとよいでしょう。
- 起床直後
ヒトの体は寝ている間にも不感蒸泄(皮膚や呼吸を通して水分が蒸散すること)によって水分を失いますから、起床直後にコップ1杯の水分を補給しましょう。 - 入浴前後
入浴中に発汗し水分を失いますから、入浴の前後に水分を補給しましょう。 - 就寝前
睡眠中の水分不足を防止するためにコップ1杯の水を補給しましょう。 - スポーツ時
スポーツで大量の汗をかいた場合、水分とともにミネラルも失われてしまうため、水分とともにミネラル補給も。ミネラルの補給にはスポーツドリンクなどを利用したり、水に少量の塩を加えたりするとよいでしょう。
「スポーツや入浴のあとには、やっぱり冷えたビールでしょ!」という人を見かけますが、ビールでは水分補給にはなりません。アルコールには利尿作用があるため、飲んだビールの水分量以上の水分が尿として排泄されてしまい、かえって脱水症状を起こしかねないのです。他のアルコール類についても同様のことがいえます。スポーツや入浴など大量に汗をかいたあとは、しっかりと水分補給をしたうえで、ビールなどを楽しみましょう。
「アルコールで水分補給はできない」、このことをしっかりと肝に銘じて。
<参考資料>
『熱中症 環境保健マニュアル(平成23年5月改訂』(環境省) ほか