健康ニュース
2012.06.10
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プラークコントロールで歯周病予防 ~ティーペック健康ニュース
現代人が歯を失う原因の第1位は歯周病です。また、平成17年歯科疾患実態調査(厚生労働省調べ)によると、歯周病にかかっている人は20歳以上の約8割に上ります。
歯周病は、かなり症状が悪化するまで自覚症状がほとんどありません。痛みや腫れなどの自覚症状が出るのは、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け、膿が出たり歯がグラグラしたりなどの末期の症状になってからといわれています。このように本人がほとんど気づかないうちに進行するため、別名サイレント・ディジーズ(Silent Disease静かなる疾患)と呼ばれています。
歯周病は正しくプラークコントロールができれば予防できる病気です。いつまでも健康な歯を保つために歯周病の予防を心がけましょう。
歯周病菌は酸素のない場所で増殖しやすい
歯周病の原因は、歯の表面や歯と歯肉の間の溝などに付着しているプラーク(歯垢)、および、そのプラークが石灰化して固くなった歯石です。プラークとは、口の中に生息する500~600種類もの細菌がネバネバした物質をつくり出し、その中で細菌どうしが何層もの層をつくって強固にくっつきあい、歯の表面に付着したものです。なかでも歯周病菌は酸素を嫌う嫌気性ですから、歯と歯肉の間の溝のような酸素のない場所が絶好の増殖ポイントです。
このプラークの中で生息する歯周病菌が歯肉に炎症を起こし、歯周病を引き起こすのです。歯周病が進行すると、徐々に歯肉の内部にまで炎症が広がり、周りの組織を破壊し、歯槽骨まで溶かし、やがて歯が抜けてしまいます。
歯周病を予防するために最も重要なことはプラークをためないこと、増やさないことです。プラークは、ブラッシングが不十分だったり、砂糖を過剰に摂取し続けたりしたときにつくられますから、毎日、正しく歯磨き(ブラッシング)をしましょう。
ブラッシングのポイントは磨き残しがないこと
ブラッシングは、歯ブラシの先が歯に直角に当たるように縦、横、斜めなどに向きを変えながら、小刻みに細かく動かして、1本1本ていねいに磨きます。その際、歯ブラシは軽く持ち、毛先が開かないくらいの軽い力加減で行ってください。くれぐれも力を入れて「ゴシゴシ」と磨かないように注意しましょう。細かいところまで毛先が届かなくなるためプラークがどんどんたまってしまいます。
プラークは粘着性が高いため、どんなに強くうがいをしても、また、歯の表面を2~3回程度歯ブラシでこすっても落とすことはできません。1ヵ所につき20~30回はしっかりと磨きましょう。ブラッシングだけでは磨ききれない部分には、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使用するとよいでしょう。
ブラッシングのタイミングですが、できれば毎食後に磨くのがベストです。特に、就寝中は唾液の分泌量が減り、歯周病菌が増殖しやすくなりますから、夕食後のブラッシングは、夕食直後ではなく就寝直前に磨くと効果的です。また、1日のうち必ず1回は、時間をかけて、すみずみのプラークを取り除くよう、ていねいに磨く時間を設けましょう。その1回を就寝前のブラッシングにすればより効果的です。
歯と歯肉の間の溝が深く、その奥にまでプラークがたまっている場合や、歯石ができてしまっている場合、また、歯並びが悪くブラッシングでは除去しにくいところにプラークがある場合は、歯科医院で歯科衛生士による専門的な除去が必要です。また、本人はていねいに磨いているつもりでも、磨き方の癖などで磨き残しがあり、プラークが取りきれず歯石ができてしまう可能性もありますから、定期的に歯科衛生士によるチェックやメンテナンスを受けると安心です。
歯周病になりやすいのはこんな人
歯周病を予防するためには、プラークコントロールのほかに、歯周病になりやすい要因を知ることも大切です。
【歯周病のリスク要因】
- 喫煙習慣がある
ニコチンが血管を収縮させ、歯肉や歯周組織の血流が悪くなり酸素不足や栄養不足が生じるため、細菌に対する抵抗力が低下し、歯周病菌が繁殖しやすく、また、悪化もしやすい。 - 肥満である
脂肪細胞から歯周病を悪化させる物質が分泌されるためといわれている。 - 歯並びが悪い
ブラッシングでの磨き残しができやすいため。 - 間食が多い
歯周病菌の栄養分となる食べかすなどが常に口の中にある状態で、歯周病菌が繁殖しやすいため。 - 疲労やストレスが多い
疲労やストレスによって免疫力や抵抗力が低下し、歯肉の炎症が起こりやすくなるため。 - 妊娠している
ホルモンバランスが崩れることから、歯肉の炎症が起こりやすくなるため。 - 閉経している
閉経後は、女性ホルモンの減少により歯肉の炎症が起こりやすくなるといわれている。 - 骨粗しょう症である
更年期で女性ホルモンが減少するために骨がスカスカになり発症するといわれる骨粗しょう症にかかっている人は、同じく骨が破壊される歯周病にも注意する必要があるといわれている。
「朝起きたとき、口の中が苦くネバネバしている」「口臭が気になる」「歯が長くなったような気がする」「歯と歯の間に隙間ができてきた」「固い物がかみにくい」「歯を磨いたときに出血する」「歯肉が赤く腫れてブヨブヨしている」「グラグラしている歯がある」などにひとつでも思い当たることがある場合は歯周病の可能性が考えられます。ほうっておかず歯科医に相談しましょう。
<参考資料>
『平成17年歯科疾患実態調査』(厚生労働省) ほか