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日中の強い眠気は過眠症かも ~ティーペック健康ニュース

 過眠症とは、過眠の症状がみられる睡眠障害の総称です。夜更かしなどで夜間の睡眠時間が不足しているわけではないのに、日中、社会生活に支障をきたすような猛烈な眠気を生じたり、または実際に眠ってしまうようなことが毎日、少なくとも1ヵ月以上続く状態をいいます。
 過眠の症状がみられる主な病気は、「ナルコレプシー」「睡眠時無呼吸症候群」「特発性過眠症」「反復性過眠症」などがあります。なかでもナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群は患者数が多く、また、本人も気づいていない潜在的な患者も大勢いると考えられています。
 日中の耐え難い眠気や居眠りが1ヵ月以上続くような場合は、過眠症の可能性が考えられます。できるだけ早期に専門の医療機関を受診することをお勧めします。

日中、耐えられないほどの強い眠気が頻繁に現れる「ナルコレプシー」

 「ナルコレプシー」は、夜間にしっかり眠っているにもかかわらず、日中に、耐えられないほどの強い眠気や居眠りが突然しかも頻繁に現れる「睡眠発作」を主な症状とする睡眠障害です。睡眠発作は毎日のように起こり、しかも、通常では考えられないような状況、たとえば、食事、会話、重要な会議や商談などの最中に眠ってしまいます。居眠りは10~20分と短く、すっきりと目覚めることができますが、数時間後にはまた強い眠気に襲われます。
 睡眠発作のほかのナルコレプシーの特徴的な症状としては、大笑いしたり、感激したり、びっくりしたり、などの急激な感情の高まりが誘因となって、ひざや腰や首、あるいは全身の筋肉が突然緩んで力が入らなくなる「情動脱力発作」、寝入りばなや目が覚めたときに体を動かそうとしても動かすことができない「金縛り」の状態になる「睡眠麻痺」、入眠時に現実と錯覚してしまうほどの鮮明な夢を見る「入眠時幻覚」などがあります。これらの症状の出方の強さや程度には個人差があり、すべての症状が現れるわけではありません。
 思春期から青年期にかけて発症することが多く、14~16歳に発症のピークがあります。ナルコレプシーの症状は何年間にもわたって慢性的に継続しますが、年月を経るに従ってやや改善する傾向があります。
 原因はまだはっきりとは解明されてはいませんが、近年ナルコレプシーの患者は、脳の視床下部から分泌されるオレキシンという神経伝達物質が極端に欠乏している場合が多いことがわかってきました。
 もし、ナルコレプシーを疑うような症状がみられる場合は、できるだけ早めに精神神経科、神経内科などの専門医を受診しましょう。

大きないびきをかく人は「睡眠時無呼吸症候群」の可能性が

 睡眠時無呼吸症候群とは、夜間の睡眠中に、呼吸が一時的に停止する状態や呼吸する力が低下する低呼吸の状態を何度も繰り返すことをいいます。睡眠が妨げられ熟睡することができないため眠りが浅くなり、日中に強い眠気があるほかに、朝起きたときに頭痛がする、頭がいつも重い、集中力が続かない、夜間のトイレの回数が増えるなどの症状が現れます。
 睡眠時無呼吸症候群は、舌の付け根や軟口蓋といわれる部分が落ち込んで上気道がふさがれたり、「肥満」のために首の周りや気道、舌についたぜい肉が気道を狭くしてしまうことなどで起こります。また、肥満ではなくても「あごが小さい」「あごが後退している」「首が短い」「扁桃腺や舌が大きいために気道が狭い」「アレルギー性鼻炎などで鼻が悪い」「加齢のために気道を広げておく筋肉が衰える」なども睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因となります。睡眠中に、気道が狭くなったり、ふさがれてしまうことによって発生する大きないびきを伴うのが最大の特徴です。
 呼吸の一時停止や低呼吸によって血液や脳の酸素不足が続くため、血圧が上昇し、循環器障害や高血圧症、心不全や心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞などの脳卒中のリスクが高くなります。
 習慣的に大きないびきをかく場合や気になる症状がある場合は、一度、呼吸器内科や耳鼻科、いびき外来などを受診し検査を受けておくとよいでしょう。

過眠の症状がみられるその他の主な病気とその症状
  • 特発性過眠症
     ほぼ毎日、日中の眠気と居眠りが現れる病気です。夜間の睡眠時間が少なくとも10時間以上あるうえに日中に眠気が生じるタイプと、夜間の睡眠時間が6時間から10時間以内の正常範囲で日中に眠気が生じるタイプがあります。昼間の居眠りが1時間以上続くことが多く、目覚めたときに頭がぼんやりした状態が持続するのが特徴です。頭痛や立ちくらみなどの自律神経症状を伴うことが多くあります。25歳以下で発症することが多い病気です。
  • 反復性過眠症
     強い眠気を示す状態が昼夜を問わず数日から数週間持続し、自然に回復してまったく症状がなくなるが、その後、また不定期に繰り返し症状が出現する病気です。非常にまれな病気で、青年期に発症することが多く、男性に発症する割合が高いといわれています。
  • むずむず脚症候群
     じっとしていたり横になって安静にしているときなどに、主にふくらはぎなどの下肢の部分が「むずむずする」「かゆい」「アリなどの虫がはっているよう」などの不快な感覚が現れ、じっとしているのがつらくなる病気です。夕方から夜間にかけて現れやすいため、熟睡することが難しくなり、慢性的に睡眠が不足する状態となり、日中に強い眠気が生じます。
  • 周期性四肢運動障害
     夜間、睡眠中に手や足が自分の意思とは無関係に繰り返しピクピクというような不随意運動が起こる病気です。何度も目が覚めてしまい、熟睡できないため不眠となり、日中の眠気が起こりやすくなります。加齢とともに発症頻度が高まります。
  • 概日リズム睡眠障害
     約25時間の体内時計の周期を外界の24時間周期にうまく合わせることができなくなることによって生じる睡眠障害の総称です。交代勤務睡眠障害、睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、非24時間睡眠覚醒症候群などがあります。
  • うつ病
     うつ病の場合、入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などのうつ病の症状が原因で起こる睡眠不足によって日中の過度な眠気を引き起こすことがあります。また、冬季に発症する季節性うつ病(冬季うつ病)は特に日中に強い眠気が生じやすいといわれています。

 日中、仕事や会議の最中に眠気を催したり、不覚にも眠ってしまった経験はだれしもあるもの。その眠気の原因は、たいてい「前の晩に夜更かしをした」とか「連日睡眠不足が続いた」などではないでしょうか。
 ところが、夜しっかり睡眠をとっているつもりなのに、日中に耐え難い眠気がある過眠症は、まだまだ認知度が低く、周囲から「意欲がみられない」「気が緩んでいる」「緊張感が足りない」などと誤解されてしまいがちです。本人も、病気のことを知らないために、さまざまな悩みや問題を抱えてしまう可能性や大きな事故につながる危険性が考えられます。
 ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などの過眠症が、本人はもちろんのこと他の人にも広く認知されること、正しい理解が深まっていくことが必要とされています。

<参考資料>
『快眠マネジメント』(監修/グッドスリープ・クリニック院長 医学博士 斎藤恒博、
管理栄養士 横浜創英短期大学教授 則岡孝子、制作/社会保険研究所) ほか

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