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子どもの夏かぜ ~ティーペック健康ニュース

監修:救急救命東京研修所
  教授 名倉 節

 一般的に夏かぜとは、高温多湿の夏の環境を好むエンテロウイルスとアデノウイルスによる感染症を指します。手足口病、ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎、咽頭結膜熱などが代表的な病気です。エンテロは「腸管」を、アデノは「のど」を意味する言葉で、ウイルスは腸やのどで増殖した後、血液を介して標的とする場所に移動し症状を起こします。小さい子どもは毎年のように夏かぜをひくことがありますが、これはエンテロウイルス、アデノウイルスともに数十種類もの型があるので、1つの型に感染してもその免疫が他の型には通用せず感染してしまうからです。
では、それぞれの夏かぜの特徴を見てみましょう。

  1. 手足口病:手の平・足の裏・口の中に生の米粒様の発疹ができ、時には肘・膝・お尻にまで水疱がみられますが、痛みや痒みはほとんどありません。しかし口の中の発疹が破れて口内炎ができると痛みが強くなり、食事が摂りにくくなりますが1週間ほどで治ります。また発症者の約3分の1に、38度くらいの熱が1~2日ほど出ます。
  2. ヘルパンギーナ:口やのどの奥にプクッと膨らんだ赤っぽい水疱が数個から十数個でき、40度近い高熱が2日ほど出ます。水疱は約1週間で治ります。
  3. 無菌性髄膜炎:脳や脊髄を包む髄膜が、ウイルスの感染によって炎症を起こす病気で、手足口病やヘルパンギーナに合併することがあります。高熱、嘔吐、頭痛、不機嫌、ぐったりするなどの症状がみられますが、脳そのものに炎症が起きるわけではないので一般的に意識障害は起こりません。多くは1週間ほどで良くなります。しかし、脳炎の進展の面から、原因となるウイルスの決定が最も重要となります。
  4. 咽頭結膜熱:プールで感染することが多かったので、別名プール熱とも呼ばれます。赤ちゃんには少なく、幼児から小学生に多く発症します。高熱が3~5日、のどの痛みや腫れ、目の充血や目やになどの症状は1週間程度続くことが多いです。

治療について

夏かぜのウイルスは、冬のかぜのウイルスとは種類が違い、咳や鼻水の症状は少ないため咳や鼻水を抑える作用を持つ一般のかぜ薬は効きません。また予防接種や特効薬がないため、脱水に対しては点滴、発熱に対しては解熱剤を使うなど対症療法が中心です。一般的には小児科を受診しますが、目の症状が重い場合は眼科受診も必要となります。無菌性髄膜炎に関しては、脱水から衰弱を起こしやすく、また細菌性髄膜炎との鑑別も必要なため、通常は入院治療が行われます。

家庭でのケア

体力の消耗を防ぐための安静と、脱水予防のためのこまめな水分補給が重要です。口内炎が痛い時は、軟らかく口当たりの良い、また薄味で刺激の少ない食事(アイスクリーム、ゼリー、豆腐など)にしますが、栄養補給のためと無理に食べさせず、まずは水分を摂らせることを優先しましょう。発熱し暑がっているときには、エアコンなどで室温を調節し薄着にしましょう。わきの下や足の付け根を冷やすのもよいでしょう。

予防について

夏かぜの感染経路は、主に飛沫感染と接触感染(便に触れた手などから口に入ることによる感染)です。このため予防にはうがいと流水での手洗いが重要です。症状が治まった後も2~4週間は便にウイルスが出ますので、子ども本人だけではなく、家族もオムツ替え後などにまめに手洗いをする必要があります。プール前後のシャワー、うがい、洗眼も大切です。またタオルの共用は控えましょう。

学校保健法による出席停止期間について

夏かぜのウイルスは、おもな症状が治まった後も数週間排泄されますが、その頃には感染力も低下していますし、長期にわたって出席を停止することは現実的ではありません。そこで学校保健法では、手足口病とヘルパンギーナに関しては、登校停止期間を一律に定めず、全身状態が安定していれば登校可能としています。またこれらより感染力の強い咽頭結膜熱は、「主要症状が消退した後、2日を経過するまで登校停止」と規定されています。ただし医師が伝染のおそれがないと認めた時は登校可能です。

抵抗力が落ちると夏かぜをひきやすくなります。エアコンで体を冷やしすぎないことや、十分な休息、睡眠をとることが大切です。特に夏休み期間中は、生活が不規則になりがちですので気をつけましょう。

<参考文献>
感染症の診断・治療ガイドライン2004 日本医師会
今日の小児治療指針 2003年 医学書院
きょうの健康 2003年3月 NHK出版
ウイルス感染症がわかる本 2005年 成美堂出版

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