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乳がん~ティーペック健康ニュース

監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院
  小林 暁子

現在、日本では、約30人に1人の割合で乳がんと診断される女性がいます。死亡率も年々増加し、30代~60代の女性では、死亡原因の第1位を占めるようになりました。そこで今回は、乳がんから身を守るために必要な基礎知識についてお話したいと思います。

早期発見が鍵

乳がんは乳腺に発生する悪性の腫瘍です。放っておくと、がん細胞は増殖を繰り返して大きくなり、周りの組織に広がっていきます。そして、リンパ管や血管を通って全身に転移し、命を奪う怖い病気です。ほかの多くのがんが、5年再発がなければ完治したとみなされるのに対し、乳がんは5年を過ぎても再発や転移の可能性があるため、10年を目安に注意深く観察を続けなければなりません。家庭や職場で働き盛りの40歳代の患者数が多いことを考えると、この10年は大きな負担になることでしょう。ただ、希望のもてることに、早期に発見できれば、90%以上の割合で完全に治すことができます。
早期発見のためには次の3つが大切です。

  • 月に1回の自己検診をする
  • 年に1回の乳がん検診を受ける
  • 40歳を過ぎたらマンモグラフィー(乳房のレントゲン検査)を受ける

症状

早期乳がんはほとんどの場合痛みを感じません。しかし、次のような変化がないか注意することで発見を早めることができます。

  • しこり:乳房やわきの下にありませんか。固いものだけでなく、柔らかいものもあります。大きさや痛みの有無も様々です。
  • 異常な分泌物:乳頭から血液の混じったような分泌物は出ませんか。特に、片側の乳頭だけから出る場合は要注意です。
  • 皮膚の色や感触の変化:ひきつれやくぼみはないですか。がんが内側から皮膚を引っ張るために現れる症状です。また、乳頭が赤くただれてはいませんか。

自己検診


20歳を過ぎたら、月1回の自己検診を習慣にしましょう。生理のある人は、乳房の緊張のない月経終了後1週間くらいの間に、閉経後の人は、覚えやすい日を選んで行いましょう。上記の症状の項を参考に、まず、鏡の前に立って乳房全体を観察します。次に、石けんやパウダーを付けて、乳房の上で指を滑らせます。引っ張ったりつまんだりせず、皮膚の下にしこりがないか探しましょう。最後に、わきの下にしこりがないか、乳頭から異常な分泌物がないかを調べて終わります。

医師による検診


日本以上に乳がんの発症率の高い欧米で、1995年頃から死亡率が減少しています。乳がんへの関心度が非常に高くなっており、「マンモグラフィー検診」の受診率が70%にも及ぶことが理由の一つと考えられています。一方、日本では、受診率は成人女性の約1割というのが現状です。医師は目で見たり(視診)、手で触れたり(触診)して診察しますが、より早期に発見するためにマンモグラフィーや超音波検査といった画像検査を受けることも大切です。マンモグラフィーは乳房を挟み込んで、エックス線で撮影します。自覚症状のない段階の微小ながんの発見に有用であり、視触診と比較して発見率は約10倍と言われています。しかし、乳腺組織の発達した30~40歳代のひとのがんを発見しづらいという欠点もあります。この欠点を補う超音波検査は、乳房に超音波発信機を当てるだけで、乳腺の発達具合に関係なく乳房内の様子を診ることができます。乳がん検診へのマンモグラフィー導入は進んできたものの、まだ行われていないところもあります。また、超音波検査は通常の乳がん検診ではあまり行われていません。そういう場合は、個人で受けることを考えてもよいでしょう。

治療

 自己検診や乳がん検診で異常がみつかったら、「乳腺外科」を受診してください。治療法には「手術療法」、「放射線療法」、「薬物療法」があります。

  • 手術療法:乳房全体を切除する従来の方法と、がんとその周囲2~3cmまでとリンパ節を切除し、乳房は残す「温存療法」があります。近年、がんの直径が3cm以下で、リンパ節転移のないひとの場合には乳房全体を切除しなくても、再発率や生存率に大きな差がないことがわかってきました。そのため、患者さんにとってもより負担の少ない「温存療法」が行われる割合が増えてきています。さらに、わきの下にしこりが触れない人で、がんが直径2~3cm未満の場合には、リンパ節を残せるかどうかを調べる検査をおこなうこともあります。
  • 放射線療法:「温存療法」後、残した乳房に放射線を照射することで、再発を防ぎます。通常、乳房を全て切除した場合には放射線療法は行いませんが、リンパ節転移が多いなど、進行度が高い時などには手術と併用されることがあります。
  • 薬物療法:乳がんは、薬の効果が現れやすいがんです。使用されるのはホルモン剤、抗がん剤、分子標的薬で、これらは単独で使われることもあれば併用されることもあります。がんの特性に合わせて薬を選び、患者さんにより負担の少ない、効果的な治療をしようという考えが進んできています。治療は手術の方法一つをとっても、各医療施設によって考え方に違いがあります。主治医や担当の看護師にわからないことはなんでも質問して、納得のいく治療を選択していきましょう。

<参考文献>
乳癌の臨床        篠原出版
平成15年度人口動態統計 厚生労働省大臣官房統計情報部
乳がんカウンセリング   南江堂
医学大辞典        医学書院

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