健康ニュース
2004.09.10
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子宮筋腫の新しい治療法-子宮動脈塞栓術について~ティーペック健康ニュース
監修:高橋医院院長
高橋 猛
子宮筋腫は成人女性の、3~4人に1人が持っているといわれるほど多い病気で、人間ドックや検診で発見されることが多い病気の代表格です。良性の腫瘍ですが、筋腫の場所や大きさ、数などによって、過多月経や月経困難で悩まれる方も多く、不妊や流産の原因になることもあります。発症のメカニズムは不明ですが、多くの女性が筋腫の芽のようなものを持っていて、女性ホルモンの影響で筋腫が大きくなると考えられています。自覚症状がない人も多いのですが、1~2割の人は月経困難症や過多月経、貧血などの症状が強く出て治療が必要になります。従来の治療法は手術療法が中心でしたが、最近は治療の選択肢が広がり、子宮を温存することも出来るようになりました。今回は子宮筋腫の新しい治療法を紹介させていただきます。
Ⅰ.子宮筋腫の症状
子宮筋腫のおもな症状は過多月経・月経痛・腰痛・下腹部痛などです。月経血に血の塊が混じるようであれば過多月経を疑います。過多月経が原因で貧血をおこすこともあり、めまい・立ちくらみ・息切れなどの貧血症状がでます。また、日常生活に差し支えるほどの激痛を訴える人もいます。筋腫が小さい時は自覚症状が出ないことが多いのですが、筋腫が大きくなると膀胱や直腸、血管や神経などを圧迫し、頻尿や便秘・腰痛・下肢のうっ血などを起こすことがあります。
Ⅲ.子宮筋腫の治療
診察のほか超音波検査、血液検査、MRI、CT、子宮鏡検査などで診断を下します。
Ⅲ.子宮筋腫の治療
筋腫があっても症状がなければ、半年から1年ごとに超音波検査や血液検査(貧血の有無など)を行い、大きさや症状の変化を経過観察していきます。筋腫が著しく大きくなったり、症状がひどくなったりした場合は、治療を考慮します。
- 薬物療法
貧血、痛みに対して鉄剤、鎮痛剤、漢方薬などが処方されます。月経を5~6ヶ月間止めて筋腫の縮小を期待する注射や、点鼻薬、内服薬があります。 - 手術療法
以下の場合は手術療法を選択します。
- 子宮の大きさが全体で男性の握りこぶし以上で、腰痛や頻尿などの圧迫症状がある場合
- 過多月経・強い月経痛・貧血がひどい場合
- 筋腫が不妊症の原因になっている場合
- 子宮筋腫が変性を起こし、激痛や炎症を起こしている場合
手術には、子宮そのものを全部とる子宮全摘出術と筋腫の核だけをくりぬいて子宮を温存する子宮筋腫核出術がありますが、その方法には以下のようなものがあります。
- 開腹手術(腹部を切開する)
- 腹腔鏡手術(へその下あたりを小さく切開して腹腔鏡と手術用具を入れて行う手術。高度な技術を要し、大きな筋腫には向いていない)
- 膣式手術(おなかを切らずに膣の奥から子宮をとる手術。自然分娩の経験がある人が対象)
- 子宮鏡下手術(膣から内視鏡を入れて、主に子宮内膜下にできた筋腫をとる)
- 新しい治療法 ― 子宮動脈塞栓術(UAE)について
右足の大腿動脈から細く柔らかなチューブ(カテーテル)を子宮動脈まで入れて中に塞栓物質(血管を詰まらせる物質)を送り、子宮筋腫に栄養を送っている血流を止めて筋腫を小さくする方法です。子宮を温存することが出来、お腹を切らないので傷が残らず、体に与える負担は手術に比べて少ないことが特徴です。90年代に欧米で始まり、切らずに筋腫を治療する方法として日本でも取り組む施設が増えてきました。高度な造影技術を必要とするため、放射線科の医師と婦人科医の連携によって進められますが、実際の手術時間は20~30分位で局所麻酔または下半身のみの(硬膜外)麻酔で行われます。入院期間は3~4日位で従来の開腹手術の8日位に比べて、早く日常生活に戻ることが出来ます。筋腫が大きな場合には向きませんが、受けた人のほとんどに症状の改善がみられると報告されています。ただ、現在の所、この治療は保険がきかないので、自費で40~50万前後かかります。また、どこの病院でも行っている治療ではありません。造影剤にアレルギーのある方、子宮内膜症、骨盤内に感染症の疑いがある人には向きません。放射線被爆による子宮内膜や卵巣機能への影響も考えられ、対象は原則妊娠を希望しない人に限られています。また一度ふさいだ血管が再度開通したり、新しい血管が出来て、再度筋腫が大きくなったり、再発することもあります。
Ⅳ.おわりに
子宮筋腫は良性の腫瘍なので筋腫があるからといってすべての人に治療が必要というわけではありません。大きさや出来ている場所、症状や年齢、自覚症状の程度、今後の妊娠の予定などを考慮して治療法を決めていきます。月経の量が多く貧血症状がある、月経痛が強くて日常生活に支障をきたしているような場合は、我慢をしていないで早めに婦人科を受診するようにしましょう。そして今後の方針については医師とじっくり話し合って決めるようにしましょう。
<参考文献>臨床医マニュアル 医師薬出版
今日の治療方針2004 医学書院
最新メルクマニュアル医学百科 日経BP社

