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重症急性呼吸器症候群(SARS) ~ティーペック健康ニュース

監修:東京医科歯科大学大学院 教授
国際環境寄生虫病学
藤田 紘一郎

今年に入ってから突然、アジアを中心に被害が広まった重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)。この新たに登場した謎の感染症は世界中の人々にウイルス感染症の恐ろしさを再認識させました。一応、ベトナムでは制圧宣言が出されましたが、中国ではまだ感染者が増えており、感染拡大の脅威はおさまっていません。

SARSとはどのような病気なのでしょうか?今回はこのSARSについて、厚生労働省や国立感染症研究所の発表をもとに、現在までにわかっていることをQ&A形式でまとめてみました。

Q:SARSの症状はどういうものですか?

A: SARSの主な症状は、38℃以上の高熱、痰を伴わない咳、息切れと呼吸困難です。その他にも頭痛・筋肉のこわばり・食欲不振・全身倦怠感・意識混濁・発疹・下痢などの症状がみられることもあり、胸部レントゲン写真では、すりガラス状の肺炎の影が認められます。ただ、この様な症状はインフルエンザのような他の感染症でもみられるため、判別がつきにくいので注意が必要です。

症状が出ても8~9割の人は特別な治療を受けずに1週間ほどで回復しています。症状が出た人のうち死亡したのは5~6%前後で、高齢者や糖尿病・心臓病など他の病気を持っていると重症化しやすくなるようです。

Q:SARSの原因ウィルスはわかっているのですか?

A: WHO(世界保健機構)は4月16日に原因をコロナウイルスの新種と断定、SARSウイルスと命名されました。コロナウイルスには様々な種類があり、この中の数種類が冬などに鼻風邪などの軽い風邪を起こします。SARSウイルスは、このコロナウイルスが突然変異し、毒性が強くなったものと現在は考えられています。通常、ウイルスは高温・多湿に弱いのですが、今回の新型ウイルスは乾燥や多湿にも強いようです。日光などの紫外線には弱いとされています。

Q:感染経路はどのようなものですか?

A: 感染経路は、現在わかっている範囲では、感染した人の飛沫、体液を通じて感染すると考えられています。現在発症している殆どの人は患者と接触した家族か医療従事者であり、したがって感染した人と密接な接触をしなければうつらないであろうと考えられています。

Q:治療法はあるのでしょうか?

A: 様々な薬が試みられていますが、現在のところ有効な治療法は報告されていません。抗生物質も無効と考えられ、呼吸管理などの対症療法が中心となります。

Q:予防法はあるのでしょうか?

A: WHO(世界保健機構)は現在、感染の中心地とされる中国の山西省・広東省・北京・香港・カナダのトロントへの渡航自粛を求める勧告(渡航延期勧告)を出しています。勧告に強制力はありませんが、これらの地域には、緊急の用事がない限り行かないほうがいいでしょう。日本ではまだSARS患者の発生報告はされていませんが、国立感染症研究所は、もし疑いのある患者が確認された場合は、コロナウイルスの仲間はアルコールに弱いため、家庭、職場、共同住宅の共用部分をアルコールや家庭用の漂白剤で充分に拭く様に呼びかけています。その場合は使い捨てのゴム手袋などを用い、素手では触らないようにします。

また、SARSの予防にはN95というマスクやバイオマスクなどの特殊なマスクが有効です。SARSに限らず、感染症の予防には、普段から手洗い・うがいに努め、バランスのよい食事を心がけて体力を良好な状態に保っておく事が大切でしょう。

Q:SARSの流行地域から帰国しました。どうすればいいでしょうか?

A: SARSの潜伏期間は3日~10日間です。香港や北京などの流行地域から帰国して10日以内に38℃以上の発熱や咳、息切れ、呼吸困難感などの症状がある場合は、人との接触をできるだけ控え、感染症対策がとれる医療機関に受診する必要があります。診察を受ける場合はあらかじめ病院へ連絡をとり、病院側が他の患者と接触をさけるための準備ができるようにしておきます。

病院では胸部のX線検査や血液検査・インフルエンザなどの検査が行われ、X線写真で肺炎が確認されれば入院して、もっと詳しい検査を受けます。肺炎が確認されなければ入院の必要はなく、回復まで自宅で過ごすことが求められます。マイコプラズマなど他の病原体による肺炎の可能性が否定されれば、血液や痰などの検体が国立感染症研究所へ送られ、SARSウイルスの検査をされます。

SARS
の可能性があるケースは都道府県から厚生労働省へ報告され、もしSARSと確定されれば、医療費は入院時までさかのぼって公費負担となります。

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