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エコノミークラス症候群 ~ティーペック健康ニュース

監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 総合診療科
小林 暁子

最近、「エコノミークラス症候群」という言葉をよく耳にします。これは飛行機のエコノミークラスに乗る人だけでなく、ビジネスクラスでもファーストクラスでも、 また、バスや電車の旅行などでも起こることがあります。「旅行者血栓症」や「ロングフライト症候群」などと呼ばれることもありますが、 医学的には、「深部静脈血栓症」、血栓が肺に運ばれ、肺の血管が詰った場合は「肺塞栓症」といいます。

この病気は長時間、同じ姿勢で座ったままでいると、脚の静脈の血が流れにくくなり、膝の裏あたりの静脈に「血栓」(血の塊)ができる事があり、 それによって起こります。血栓が肺まで流れると、血管が詰って、「胸の痛み」や「息苦しさ」などを感じます。 多くは、到着間際の機内や到着した空港で発症しますが、フライト後2週間以内に、旅行先や、帰宅後に自宅で起こることもあり、 最悪の場合呼吸困難に陥って死亡する事もあります。 今回はこのエコノミークラス症候群の原因と予防法について説明します。

1.原因

血栓ができるのは「長時間の足の運動不足」と「乾燥」が原因と考えられます。

  • 「長時間の足の運動不足」・・血液は、筋肉の収縮運動で足から心臓に戻ります。長時間、足を動かさないままでいると、血液の流れが滞って、血液の塊ができやすくなります。
  • 「乾燥」・・・機内の湿度は5~15%とたいへん低く、砂漠より乾燥した状態です。この湿度では普通、1時間に80ccの水分が 体から失われます。このような状態で水分を補給しないと、血液が濃くなって血栓ができやすくなります。
2.エコノミークラス症候群になりやすい要因
  • 中高年>>>過去の統計を見ると50歳以上の人に多く発症しています。
  • 肥 満>>>脂肪が血管を圧迫して、血流が悪くなり血栓ができやすい。
  • 以前大きな手術を受けた人>>>血管に傷がついている場合があります。
  • 搭乗時間が8時間以上のフライトの場合
3.予防法
  • 水分補給
    ・1時間ごとにコップ半分ほどの水やイオン飲料、ジュースを補給する。
    ・アルコールやコーヒーは、利尿作用があり脱水の原因となるので飲み過ぎないように注意する。
  • 足の運動
    ・1~2時間毎に席を立って少し離れたトイレへ行く。
    ・スペースを見つけ、軽く足の屈伸運動をする。
    ・座席では、かかとの上下運動を1時間に3~5分程度行う。
    ・時々足を伸ばし、血行が悪くなるので足は組まないようにする。
  • その他
    ・ゆったりとした伸縮性のある衣服を着る。(ウエストなどを締め付けない。)
    ・睡眠薬は使用しない。
    ・長いフライトの前後は禁煙をする。

エコノミー症候群になりやすい要因を持っている方は、なるべく座席を通路側にとり、 席を立ちやすくすることも大切です。病気がある人は、医師と相談して適切なアドバイスを受けて出かけると良いでしょう。旅行後に気分が悪くなった時は病院を受診しましょう。

<参考文献>
「旅行医学・海外渡航者の健康管理と診療」

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