健康ニュース
2002.07.11
健康ニュース
心電図検査 ~ティーペック健康ニュース
監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 総合診療科
小林 暁子
健診結果の読み方をここ2回続けてきましたが、3回目は心電図について取り上げてみたいと思います。 健診結果の中でも心電図は特に結果が理解しにくく、弊社の相談にも問い合わせが多く入ってきます。
心電図とは心筋が収縮する際に微細な電流が発生する、その電気現象を心電計で記録したものです。 心電図だけでは、全ての心臓の形態や活動について確実に鑑別することは出来ません。 また、心電図の波形が正常だからといって心臓の異常を否定できるものではなく、 逆に心電図波形の異常が心臓の疾病と必ずしも結びつくものではないことを理解しておかなければなりません。
ほとんどの健康診断では、コンピュータ自動解析心電図計を使用しています。 この場合、自動診断のプログラムは異常所見を取り過ぎることはあっても、見落とすことは少ないように設定されていることを覚えておきましょう。
心電図からわかること
(1)不整脈と伝導障害
(2)心筋の虚血、傷害、壊死
(3)心房・心室の肥大や拡大
(4)心膜疾患(心筋炎、心のう液貯留)
(5)電解質異常
* 職場や学校健診では高血圧、虚血性心疾患、不整脈の検査が重要となります。
心電図記録に影響を与える因子
皮膚抵抗、呼吸、胸壁の厚さ、心臓の位置、筋肉の震え、服薬、感染症、労作、不安や恐怖、電解質の異常、他に機械自体や操作に関わる要因もあります。
- リラックスして検査を受けるようにしましょう。
- 問診では治療中の病気や服薬を申告しておきましょう。
心電図心電図に異常を認めた時の対応
- 心電図波形による診断には限界があります。病歴(服薬暦を含む)、身体所見、胸部X線写真、心エコー図、運動負荷試験、 24時間ホルター心電図、血液検査などを行い、診断を進めます。
- 健常者でも時に軽度の異常所見を示すことがあります。また、不整脈も同じで、全ての不整脈が直ちに治療が必要というわけではありません。
- 以前の心電図記録がある場合には新たな変化の有無を確認します。 新たな変化が見られない場合には、心疾患があっても病態としては安定していると考えます。
- 心室肥大の診断には偽陽性と偽陰性が多く、心エコー検査で有無や程度を確認します。
- ST-Tの異常では心筋虚血の疑いで、検査としては、運動負荷試験、心エコー検査、必要に応じて核医学検査、冠動脈造影に進みます。
- 明らかな気質的疾患がなく、自覚症状の無い期外収縮は、それ以上の検査や治療は不要なことが多いです。
*健診結果の総合判定の指示に従い、かかりつけがある場合はかかりつけへ、無い場合は内科や循環器科に結果を持参し、相談しましょう。
*心電図の結果判定にミネソタコードを用いている場合があり、これは心電図の波形異常とその程度をコード化したものです。総合判定の指示に従いましょう。
<参考文献>
「一般健診ハンドブック」 中央労働災害防止協会堂
「生体・機能検査のABC」 日本医師会院