健康ニュース
2001.02.10
健康ニュース
脳血管障害(危険因子と前触れ症状) ~ティーペック健康ニュース
監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 総合診療科
小林 暁子
脳血管障害とは、血管病変が原因で引き起こされる脳神経系の障害を総称する言葉で、一般的には脳卒中といわれています。血管が破れたり、詰まったりすることで脳の細胞に栄養や酸素が供給されなくなり、脳の機能に障害が起こる病気です。突然発作が起こり、障害が起こった場所によって半身マヒや言語障害、意識障害などの症状が現れます。
ここ数年、脳卒中で死亡する人の数は減ってきていますが患者数は着実に増えてきています。患者数が増えているのに死亡率が下がった理由には医療技術の発達や脳卒中を予防する『予防的治療』の進歩があげられます。脳血管障害を未然に防ぐには高血圧などの危険因子を減らし、前ぶれ症状に早く気づいて対処することが大切です。
種類は大きく分けて出血性脳卒中と虚血性脳卒中に分類されます
A.出血性脳卒中
脳出血(高血圧性脳内出血)
高血圧が原因で脳の血管が破れ、脳の中に出血が起きる病気です。
クモ膜下出血
脳は外側から硬膜、クモ膜、軟膜で覆われています。
脳動脈瘤の破裂や先天的な脳血管の異常による破裂で、クモ膜と軟膜の間に出血を起こす病気です。
B.虚血性脳卒中
脳の血管が狭くなったり、詰まったりして脳内の血流が悪くなり、脳に障害が起こります、これを主に脳梗塞といいます。
脳血栓症
脳の血管の一部で血液が固まり、血栓ができます。
この血栓が徐々に大きくなり、血管の内腔を著しく狭くしたり、時には血管の内腔を塞いだりして、血液の流れを途絶えてしまって起こります。症状の現れ方が比較的ゆるやかなので、大発作を起こす前に治療できるケースが多くなっています。
脳塞栓症
主に心臓でできた血栓が脳の血管まで流れてきて詰まり、血流を止めます。この発作は突然に起こります。
一過性脳虚血発作
血栓が一時的に脳の血管を塞ぐために虚血状態となり、「しびれ」などが起こるケースもあります。血栓が自然に溶けたりはがれたりするため、血流は短時間で回復し、症状も24時間以内に治ります。しかし、脳梗塞の前ぶれとなることがあるので、油断はできません。
脳卒中の危険因子
自分で管理できないもの
年齢:加齢とともに血管が老化し詰まりやすくなる。
性別:男性は女性の2倍近く脳卒中を起こしやすく、クモ膜下出血は女性に多くみられる。
季節:冬の寒い時期に脳卒中は発症しやすい。
人種:日本人は欧米人より2~3倍発症率が高い。
遺伝:血縁者で脳卒中を起こした人がいる人はいない人より発症率が高い。
自分で管理できるもの 『疾患』
高血圧:高血圧性脳出血だけではなく脳梗塞の原因になります。
高脂血症
糖尿病:動脈硬化を促進し脳梗塞の要因となります。
心臓疾患:心臓弁膜症や不整脈があると脳塞栓の大きな要因となります。
血液の異常:脱水状態や多血症になると血栓ができやすくなります。
自分で管理できるもの 『生活習慣』
肥 満:脳卒中の直接的な原因ではありませんが、高脂血症や高血圧を引き起こしやすく間接的な危険因子となります。
飲 酒:大量の飲酒は脳卒中の要因となります。
(日本酒1合程度であれば問題ないといわれています。
タバコ:特に男性にとって脳梗塞の危険因子となります。
ストレス:血圧を上げ動脈硬化を促進させます。
※脳卒中を防ぐためには生活習慣を改善して危険因子をできるだけ減らしましょう。
脳卒中の前触れ症状
脳卒中は大発作が起これば死に結びつき一命を取り留めても後遺症を残しやすい病気です。発作を未然に防ぐには前ぶれ症状に気づいて対処することが大切です。
A.脳出血
大発作は突然に起こることが多く、明らかな前ぶれ症状はありません。脳出血の原因である「高血圧」が前ぶれ症状ともいえます。特に収縮期血圧が180㎜Hg以上の重症の高血圧になると、男性では脳出血の発症率が急増します。脳梗塞の発症率もかなり高くなります。女性の場合は脳出血の発症率は低いのですが、脳梗塞がかなり発症します。血圧のコントロールに十分注意しましょう。
B.クモ膜下出血
前ぶれ症状はほとんどありませんが、これまでに経験したことのない「突然の激しい頭痛」があったらすぐに受診をしましょう。血縁者に発作を起こした人がいる場合は自分にも可能性のあることを自覚して脳の検査などを受けておくことが大切です。
C.脳梗塞
前ぶれとして一時的に脳卒中の軽い発作を起こすことがあります。「一過性脳虚血発作」
①半身の脱力
急に右、または左半身の力が抜けてしまい自分では気づかないうちに、手の持っているものを落としてしまったりします。
②半身のしびれ
同じ側の手足が急にしびれたようになります。
③言語障害
言葉が出てこなっかたり、舌が回らずにうまく話せない、話の意味がわからない、といったことが起こります。
④視野障害
片方の目が見えなくなる、視野の一部が欠ける等の症状があります。
⑤めまい
立っていられない、フラフラするというような症状があります。
天井がグルグル回るような回転性のめまいは耳鼻科的な疾患から起きることが多いのですが、脳梗塞の場合にこのような症状を呈することもあります。
これらの症状は一時的なもので、5~10分程度で治まることがありますが、いずれ大発作が起きる危険があることを知らせる重要なサインです。もし「普段と違う」「何か変だ」と思ったら神経内科や脳神経外科で精密検査を受けましょう。
一過性脳虚血発作とわかった時には、予防的治療やライフスタイルの改善などで脳梗塞を起こさないようしっかり予防していきましょう。
<参考文献>
「標準脳神経外科学」 医学書院

