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ティーペック健康ニュース
第164号 2006/7/10
ティーペック 健康ニュース 『たばこをやめよう−ニコチン代替療法について

      監修:甲子園大学 教授

 福 原 良 典

 喫煙はがん、心臓病、脳卒中だけでなく、慢性気管支炎、肺気腫などの呼吸器系の病気
、歯周病、骨粗しょう症や老化の促進、流・早産などの危険性を高めます。もちろん喫煙
者本人だけでなく、周囲の人へも健康被害は及びます。特に家族に喫煙者をもつ子供は、
胎内にいる時からニコチンの影響を受け続け、発育障害や乳幼児突然死症候群、気管支喘
息などの発症リスクを負うことになります。喫煙者の多くはこのような害を充分認識して
いるにも関わらず、何度も禁煙に失敗しています。ちなみに平成15年度の調査によると
、習慣的に喫煙している人の割合は男性で46.8%、女性で11.3%となっており、
このうち「たばこをやめたい」または「本数を減らしたい」と回答している人が男女とも
約7割にもおよびました。禁煙できないことは決して「意志が弱いから」ではなく、ニコ
チンに依存性があるためなのです。今年の4月から「ニコチン依存」が治療を必要とする
「病気」と位置づけられたことを受けて、今回はその治療を中心にお話させていただきま
す。

ニコチン依存症

体内に入ったニコチンはわずか数秒で脳に到達し、その刺激により「目が覚める」「
集中力が増す」「気持ちが落ち着く」などの快感をもたらしますが、この作用は持続
しないため喫煙を繰り返してしまいます。また、体は次第に早くニコチンを処理でき
るようになるため、より強い刺激を求めて本数が増えていきます。この結果、ニコチ
ンの血中濃度が一定量以下になると、イライラ感や集中力の低下、だるさなどの不快
な症状(※離脱症状と言います)が現れるようになり、これを緩和するために、吸わ
ずにはいられなくなるという依存状態に陥っていきます。

一方で、ニコチンの血中濃度とは関係なく、たばこを吸いたくなる心理的依存も生じ
ます。さっき吸い終えたばかりなのに、人が吸っているのを見るとまた欲しくなる、
というのがその一例です。これは長年の喫煙によってたばこが生活の中に取り入れら
れ、条件反射(習慣や癖)になっているためです。

ニコチン代替療法

ニコチン依存が強く、なかなか禁煙できない場合は、ニコチンガムやパッチなどの喫
煙以外の方法でニコチンを体内に補給し、少しずつ量を減らしてニコチンのない状態
に慣らしていく「ニコチン代替療法」が効果的です。

〈ニコチンガム〉
ガムタイプの製剤をかんで、ニコチンを口の粘膜から吸収させる方法です。ガムを噛
むという行為が口寂しさを解消し、たばこを吸いたいという心理的依存を和らげる効
果も期待できます。また効果の現れ方が比較的速いので、吸いたいという欲求を抑え
やすいのも特徴です。喫煙本数が1日20本以下の人は、4〜6個の使用から開始し
、約3ヶ月かけて徐々に個数を減らしていきます。価格は1個80円程度で、薬局で
購入できます。仕事中や睡眠中などガムを噛めない状況があることや、顎の病気や義
歯のある人は噛みにくいこと、のどの痛みや胸やけ、胃の不快感があることなどが欠
点です。ニコチンガムは、ゆっくり噛む事が基本です。普通のガムと同じ速さで噛む
と血液中のニコチン濃度が急激に上がって、頭痛や吐き気などの急性ニコチン中毒症
状が出てくることがあるからです。


〈ニコチンパッチ〉
皮膚にパッチを貼って、ニコチンを皮膚から吸収させる方法です。手軽で安定したニ
コチン濃度を得やすく、睡眠中もニコチンが補給されるので、朝の一服予防にも効果
的です。用法としては、1日1枚ずつ、8週間かけてゆっくりとニコチン量の少ない
パッチに切り替えていくのが標準的です。ニコチンパッチは手軽ですが、貼り始めた
ら、たばこは厳禁です。貼った状態でたばこを吸うと血液中のニコチン濃度が許容範
囲を超えてしまい、急性のニコチン中毒を起こすおそれがあるからです。

ニコチンパッチは今年の6月からは諸条件を満たす場合に限り(下記の※禁煙外来参
照)保険が適用されることになりました。今までは、約2ヶ月間の治療で薬剤費が2
万円程度かかっていましたが、自己負担が3割の方で6千円程度になり、診察料も含
めて約1万円程度で禁煙治療ができるようになりました。


※禁煙外来
ニコチンパッチの処方や禁煙サポートを行う禁煙外来を設置する医療機関が増えてい
ます。6月1日より禁煙治療に使用するニコチンパッチの処方が保険適応になりまし
たが、保険診療でニコチンパッチの処方が出来る医療機関は「敷地内が全て禁煙であ
ること」「禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること」など
一定の基準を満たした医療機関に限ります。また、患者側では「1日の喫煙本数×喫
煙年数=200以上」などの条件を満たす必要があります。保険診療が可能な場合で
も、12週間経過して禁煙できなければ、以後は自費診療となり、初診から1年経た
ないと再度の保険診療は受けられないという制限もありますので、詳しい事は各禁煙
外来へお問い合わせください。

 禁煙をするためには「禁煙をしよう」という強い動機を持つことと、禁煙するための工
夫やニコチンパッチなどの方法を持つこと、家族や同僚など周囲のサポートを得ることが
必要です。ニコチンガムやニコチンパッチは正しい使い方をすれば安全な方法です。なか
なか禁煙できない人は、是非活用されてみてはいかがでしょうか。

<出典場所>
厚生労働省              たばこと健康に関する情報ページ
財団法人 健康・体力づくり事業財団 健康日本21ホームページ
<参考文献>
内科学T 第八版            朝倉書店

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