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ティーペック健康ニュース
第153号 2005/8/10
ティーペック 健康ニュース 熱中症

監修:救急救命東京研修所
  教授 名 倉  節
 毎年、暑い時期になると熱中症による事故が何件も発生します。熱中症は熱に中る(あ
たる)という意味で、暑熱環境で発生する障害の総称です。強い日差しの下だけではなく
、高温の室内や激しい運動・肉体労働によって体内に熱がたくさん産生された時にも起こ
ります。

熱中症の分類

熱失神:
 暑さによって皮膚の血管が広がるために血圧が低下し、脳の血流が減少して失神(
 数秒間)やめまいが起こります。顔面蒼白になり冷や汗が出ます。体温の上昇はあ
 りません。「日射病」と呼ばれることもあります。高温環境下での作業中、あるい
 は作業後に起こります。
熱けいれん:
 大量に汗をかいた時に水だけしか補給しないと、血液の塩分濃度が低下し、手足や
 腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。血圧や体温は正常で、意識障害
 もありません。

熱疲労:
 大量の発汗により脱水、塩分喪失を起こし、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き
 気等が起こります。血圧は低下し、脈拍は速くなります。体温は38〜40度に上
 昇します。

熱射病:
 体温の上昇(41度以上)によって中枢神経が障害され、意識状態が低下します。
 高度な脱水のために汗も出なくなり、体温の調節ができません。皮膚は乾燥し、紅
 潮します。様々な臓器がダメージを受け、死亡することもあります。

熱中症を起こしやすい環境・起こしやすい人

高温:
 気温や室温が30度を超えると熱中症の危険度が高くなりますが、運動時や作業時
 は30度以下でも注意が必要です。また、涼しい日が続いて急に暑くなった時は、
 身体が暑さに慣れていないため、熱中症を起こしやすくなります。

多湿:
 湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温調節が難しくなります。風がない時も身体の
 回りに熱がこもりやすく、危険です。

高齢者、幼小児、慢性疾患患者、風邪、睡眠不足や疲労などで体調の悪い人、飲酒
 高齢者は暑さに対する感覚や「のどが渇いた」という感覚が鈍くなっているので、
 脱水が進むまで気づかないことがあります。子供の身体は水分の含有率は高いので
 すが、身体が小さいので水分の絶対量が少なく、新陳代謝が活発で発汗も多いため
 に脱水を起こしやすくなります。大人でも体調が悪い時は体温を調節する機能が低
 下します。また、アルコールの摂取は脱水の原因になるので注意が必要です。

炎天下でエアコンをつけずに車を駐車した場合、30分で車内の温度は60度に達
 します。エアコンをつけていても40分で50度になりますので、「少しの間だか
 ら」と買い物中に子供を車内で待たせる等は絶対にやめましょう。

熱中症を予防するには
衣類の工夫:
 熱を放散し汗が蒸発しやすいように、通気性・吸湿性の良い衣類を着るようにしま
 す。また、日光を反射する白っぽい色の服や、日差しを遮る帽子・日傘を用いるの
 も良いでしょう。

水分と塩分の補給:
 「のどが渇いた」と感じた時点で、既に脱水を起こしかけているので、渇きを感じ
 る前に意識して水分をとるようにします。三度の食事がしっかりとれていれば、通
 常の日常生活での水分補給は水やお茶でかまいませんが、スポーツ等でたくさん汗
 をかく時は、汗で失われた塩分の補給と、体内での水分の吸収を良くするために0
 .1〜0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を含む飲み物(スポーツドリンク等)
 が良いでしょう。0.1〜0.2%の食塩は、ナトリウム量に換算すると100m
 l中40〜80mgになります。夏のレジャーで外出する時は、昼食時に飲み物と
 ともに塩気のあるおかずを食べる等、工夫しましょう。

休憩・休息:
 以前は「運動中に水分をとると疲れやすい」「根性をつける」等と言って炎天下休
 憩せずに何時間もトレーニングを続けるということがありましたが、このようなこ
 とは絶対にやめましょう。運動時や肉体労働時は15〜30分おきに水分補給のた
 めの休憩が必要です。

日照条件によっては室内でも40度を超えることがあります。窓を開けて風を通し
 たり、扇風機やエアコンを利用したりして室温を調節しましょう。

熱中症かなと思ったら

めまい、頭痛、気分が悪い等の症状が出たら、早めに涼しい場所で休み、十分に水
 分をとります。

熱けいれんを起こしたら、涼しい場所に移動し塩分を含む水分をとります。水と一
 緒に塩をなめる、塩気のある食べ物とお茶等でもかまいません。

高熱があり意識がはっきりしていなかったら、すぐに受診が必要です。車で運ぶ間
 や救急車を待つ間も身体を冷やし続けます。首や腋の下、足の付け根等、太い血管
 が通っている部位を冷やすと効果的です。屋外で冷やすものがない場合は、身体に
 水をかけ、あおいで風を当て、気化熱で冷やすようにします。既に体温調節ができ
 ない状態なので、急いで冷やさないとどんどん体温が上がり、身体の細胞が壊れて
 しまいます。気道に入る恐れがあるので、意識がはっきりしていない場合は水を飲
 ませてはいけません。

 熱中症による事故はほとんどが防げるものなので、正しい知識を身につけ、熱中症を防
ぎましょう。

<参考文献>
新臨床内科学             医学書院
今日の治療指針2005       医学書院

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