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ティーペック健康ニュース
臨時号  2005/1/21
ティーペック 健康ニュース 『ノロウイルス感染症』

監修:東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫病学 教授
 藤田 紘一郎

全国の高齢者施設でおう吐や下痢を起こす感染性胃腸炎の集団発生が相次いでいます。原因
とみられる「ノロウイルス」は冬に食中毒を起こす病原体の代表格で、年間約1万人の患者
数が報告されていますが、たいていは重症化せずに治ります。今回のように多数の死亡者が
でるのは異常事態とみられていますが、ニュースを聞いて不安を感じている方が多いようで
す。そこで今回は、「ノロウイルス」の正体や家庭でできる予防法などについて紹介させて
いただきます。

ノロウイルスとは

人間の体内をすみかとして腸で増えます。排泄物とともに海に流れ込み、主に貝類に
蓄積され、それを生で食べた人が感染します。感染力は非常に強く、わずか100
程度でも感染します(感染者の便には1グラムに1億個以上含まれます)。また、生
存力も強くせっけんやエタノール消毒、85度未満の熱では活性を失いません。


★ 最近はノロウイルスの名ですっかり定着しましたが、以前はその形状から小型球
形ウイルス(SRVS)と呼ばれていました。ウイルスの中でも特に小さく、表面は
カップ状のくぼみを持ったたんぱく質で覆われています。発見されたのは今から約
年前で、アメリカのノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎患者
の便からでした。そのため土地の名前を冠して、ノーウォークウイルスと呼ばれた時
期もありました。

どのように感染するのか
経路はおもに経口感染と考えられています。

1.汚染された貝類を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合

2.感染した食品取扱者(食品を製造、調理する人)を介して、汚染した食品を食べ
  た場合

3.患者の便や吐いたものに接触し、手から口へ入った場合

感染するとどんな症状がでるのか

吐き気、おう吐、下痢、軽い発熱が主な症状です。潜伏期間は〜2日で、通常症状
が出てから1〜日で自然に治癒し、後遺症もありません。中には感染しても軽いか
ぜのような症状で終わってしまう人や全く発症しない人もいるため、感染に気づかな
いまま周囲にウイルスをまき散らしてしまうこともあります。また、症状が治まって
1〜2週間、長いときには1ヶ月程度はウイルスを排出し続けるため注意が必要で
す。

予防方法は
1.外から帰ったら必ずうがいをし、よく泡立てたせっけんで手洗いをします。せっ
  けんには直接ノロウイルスの活性を失わせる効果はありませんが、手の脂肪や汚
  れを落とすことでウイルスを手指から剥がれやすくします。感染が疑われる人と
  のタオルの共用も避けましょう。


2.カキなどの二枚貝を調理するときは、85度以上で1分以上加熱します。加熱加
  工用かきは、新鮮でも絶対に生食しないで下さい。調理器具は流水でよく洗った
  後、家庭用塩素系洗剤20ミリリットルの原液を5リットルの水で薄めたもので
  拭きましょう。


3.患者が吐いた物や便にはウイルスが大量に含まれています。乾燥すると容易に空
  中に漂い、これが口に入って感染することもあります。処理する時は、使い捨て
  のマスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、水分を含んだ
  ペーパータオルなどで静かに拭き取り、ポリ袋に密閉します。オムツの取扱いに
  も注意が必要です。便器や床、ドアノブなどは調理器具と同じ方法で消毒すると
  二次感染を防げます。

発症してしまったら
残念ながらこのウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。脱水と体力低下を
食い止めるため、十分な水分と栄養を補給することが大切です。水分が摂れないほど
吐き気やおう吐がひどい場合や、高齢者などで症状が長引く場合は、点滴が必要にな
ります。急いで受診をしてください。

流行の傾向の把握や予測は難しいとされていますが、過去年間の月別発生状況からみます
1〜2月が発生のピークとなることが多いようです。過度に恐れることはありませんが、
特に体力のない高齢者や乳幼児など、重症化しやすい人へうつさないように注意することが
必要でしょう。

<参考文献>
感染症の診断・治療ガイドライン2004 日本医師会雑誌 臨時増刊号Vol.132 No.12
小児科診療 2001 Vol.64  No.7
国立感染症研究所感染症情報センター 病原微生物検出情報(月報):IASR

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