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ティーペック健康ニュース

第284号 2016/05/10  
発行:ティーペック株式会社

『受動喫煙を防ぐには』

 5月31日はWHO(世界保健機関)が制定した「世界禁煙デー」です。近年の日本のタバコの消費量は、税率の引き上げやTASPOの導入、広告規制の強化といった政策効果もあり減少傾向にあるものの、それでもまだ世界に比べて禁煙対策は大きく遅れをとっています。イギリスではタバコ販売店ですら店内にタバコの陳列を禁止していますし、オーストラリアではタバコのパッケージに汚れた肺の写真をはじめ、実際の健康被害の写真を大きく入れてデザインし、常にキャッチコピーで警告しているなど、諸外国ではさまざまな対策がとられています。
 そして、喫煙による健康被害のなかでも、今後特に対策が求められるのが「受動喫煙」の防止です。タバコに含まれる有害物質は、それを吸う本人だけでなく、吸わない周りの人の体内にも取り込まれ、喫煙者以上に悪影響があるとされています。タバコを吸わない人が自分の意思に関係なく喫煙者による煙を吸わされてしまう受動喫煙。その怖さを知ってタバコの害から身を守りましょう。
 喫煙者といるだけでタバコを吸った状態に
 喫煙は、吸っている本人の健康にとってよくないのはもちろんですが、周りの人の健康にも悪影響を及ぼします。非喫煙者が受動喫煙により、タバコの煙に含まれている発がん性物質や有害物質を吸い込むことにより、肺がん、副鼻腔がん、乳がんなどのがんや、循環器系の病気、心筋梗塞や狭心症で死亡する危険性が高くなることが報告されています。他にも受動喫煙から、脳卒中や喘息などのさまざまな病気のリスクが高くなることが知られています。
 さらに、妊婦やおなかの中の赤ちゃんにも影響があります。妊婦が受動喫煙にさらされると、流産や早産の危険性が高くなることや、低体重児の出産になることなどが報告されています。
 副流煙や喫煙者の呼気にも注意が必要
 喫煙者がタバコからフィルターを通して直接吸い込む主流煙よりも、特にタバコの先から立ち上る副流煙にはフィルターを通らない分、多くの有害物質が含まれています。また、喫煙者の呼気から徐々に放出される煙は、空気中に拡散して非喫煙者にも悪影響を与えてしまいます。ベランダや換気扇の下で吸ったからといっても影響は避けられません。
 受動喫煙から身を守るために
 タバコを吸わない人が受動喫煙を防ぐためには、とにかくタバコの煙が流れてこない環境に身を置くことが第一です。
全面禁煙の施設を利用する
密閉されたビルなどの場合、分煙では完璧な無煙環境をつくることは難しいといわれています。ビル全体が完全に禁煙の施設であれば安心です。
飲食は個室のある店を利用する
最近は分煙の飲食店が増えてきましたが、なかには喫煙スペースからタバコの煙が流れてくるような店があります。個室を利用することで禁煙に近い環境で過ごせます。
タバコを吸い終わった直後の人に近づかない
タバコの火を消しても、有害物質は喫煙者の口や肺に残っています。タバコを吸った人と話すときは、時間をおいて、タバコの臭いが消え、口や肺にあるタバコの煙がなくなってから話すようにしましょう。
若い人でも医療機関での禁煙治療が受けやすく!
 日本の成人喫煙率は19.3%でこの10年間で減少傾向にあります。しかし、男女ともに20〜30代の喫煙率は、40〜50代の人と同水準の高い割合のまま推移しています。こうしたことから、今年4月より健康保険の適用となる「禁煙治療を受けるための条件」が一部緩和され、若い世代でも治療が受けやすくなりました。35歳未満の人は、条件の1つである「1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数=200以上」という項目が免除されます。
 受動禁煙を減らすためには、まずタバコを吸う人が自分や周囲の人の健康被害を自覚し、禁煙することが重要です。タバコを自分だけではやめられない場合は、禁煙外来も積極的に利用しましょう。
◇   ◇   ◇
 2015年に労働安全衛生法が改正され、職場の「受動喫煙防止対策」が事業者の努力義務になりました。全国の自治体でも公共の場での受動喫煙防止の条例が検討され、一部で施行されています。労働環境や行政の面からは一歩ずつ前進していますが、近年、海外からの観光客が急増し、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日本ではあらゆる公の場で禁煙・分煙を徹底するための早急な対策が求められています。
 IOC(国際オリンピック委員会)が「たばこのない五輪」を推進していることから、2000年以降の五輪開催地では受動喫煙対策が不十分な施設に罰金刑を科すなど、厳格な法制化が国際的な流れとなっています。日本でも「おもてなしの国」らしいオリンピック・パラリンピックの開催に向け、受動喫煙で健康被害に遭わないための取り組みが、今後大きく動き出すことを期待したいものです。
<参考資料>
『生活習慣改善◎チャレンジ・シリーズ タバコ』(制作/社会保険研究所)
厚生労働省「国民栄養の現状」(平成25年国民健康・栄養調査)
ほか
原稿・社会保険研究所©
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