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ティーペック健康ニュース

第231号 2012/2/10  
発行:ティーペック株式会社

『日本人に急増中、大腸がん』

 以前は欧米人に多いとされていた大腸がんですが、近年、日本人の大腸がんの罹患率は急速に増加し続けており、「がんの統計2005」(財団法人がん研究振興財団)によると、2020年には、男女合わせた日本人のがん罹患者数および罹患率は、胃がん、肺がんを抜いて1位になると予測されています。
 40歳代後半から増加し始める罹患率
 大腸とは、盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸を経て肛門に至るまでの約2mの消化器官をさします。大腸がんは、この大腸の粘膜に発生するがんで、がんが発生した部位によって結腸がんや直腸がんなどにさらに細かく分類されます。日本人の場合、大腸がん全体の60〜70%がS状結腸と直腸に発生しています。
 大腸がんは、男女ともに40歳代後半から罹患率が増加し始め、60〜70歳代がピークとなります。
 食習慣や生活習慣の影響が大きい大腸がん―その予防方法は?
 日本において大腸がんの罹患者数が急増した原因としては、動物性たんぱく質や動物性脂肪の摂取量の増加、野菜類などの食物繊維や穀類の摂取量の低下、飲酒量の増加などの食習慣の変化、および身体活動量の低下、肥満、喫煙などの生活習慣の変化が考えられています。このようなことから大腸がんの予防方法としては、
豚肉や牛肉などの動物性たんぱく質の摂取量を少なめにする。
ラード、バター、肉の脂身などの動物性脂肪の摂取量を少なめにする。
ハム、ソーセージなどの加工肉はできるだけ控える。
食物繊維の多い食物を多く摂取する。
適度な運動をする。
肥満に注意する。
禁煙する。
飲酒はできるだけ控える。
 などが挙げられます。
 また、潰瘍性大腸炎が慢性化している人や大腸ポリープができやすい人は、大腸がんにかかりやすいといわれていますので注意が必要です。
 早期発見できれば完治の可能性が高くなる
 大腸の粘膜に発生したがんは、始めは粘膜にとどまっていますが、進行するにつれてしだいに大腸の内壁にまで深く侵入し、やがて大腸の壁を突き破り、リンパ節や肝臓、肺などの他の臓器に転移します。ほとんどの大腸がんは進行の速度が比較的遅いため、がんが粘膜にとどまっている早期のうちに発見し、適切な治療ができれば完治する確率が非常に高いがんとされています。
 大腸がんは、初期にはまったく自覚症状がありません。がんの位置によって現れる症状は多少異なりますが、ある程度進行して初めて、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、原因不明の体重減少などの症状が現れます。このような、ふだんと違う症状が現れたら、すぐに消化器科、胃腸科、肛門科などの医療機関を受診しましょう。特に、血便の症状は痔などと勘違いして見逃してしまいがちなため、自己判断は避けましょう。
 早期発見に有効な便潜血検査
 大腸がんの早期発見には便潜血検査が最も有効とされています。便潜血検査とは、大便の一部を採取し、便の中に血液が混じっていないかどうかを調べる検査で、簡便なわりに発見率が高いといわれています。
 便潜血検査により陽性反応が現れた場合、がんの有無、がんの位置や深さ、広がりをさらに詳しく調べるために精密検査を行います。精密検査には、お尻から直腸内に指を入れて異常の有無を指の感触で直接確認する「直腸指診」、お尻からバリウムと空気を注入してX線写真を撮って検査する「注腸造影検査」、内視鏡をお尻から挿入して直腸から盲腸まで大腸全体を詳細に調べる「大腸内視鏡検査」、ほかに、「腫瘍マーカー(血液検査)」「超音波検査」「CT、MRI検査」「PET検査」などがあります。
 自覚症状が出てからでは完治の可能性も低下してしまいます。できるだけ早期に発見するために、40歳を過ぎたら、1年に1回は必ず大腸がん検診(便潜血検査)を受けるようにしましょう。
 いまは肛門温存術が主流に
 大腸がんの治療方法としては、内視鏡的治療、手術治療(外科療法)、腹腔鏡手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)があります。がんの進行具合や発生部位などによってそれぞれ選択が異なります。
内視鏡的治療
 内視鏡的治療は、早期の大腸がんにおいてのみ有効な治療法です。検査にも使われる内視鏡を用いて、大腸の内側からがんを切り取ります。開腹しないため体への負担が少なくて済みます。
手術治療(外科療法)
 大腸がんは、開腹手術による治療が基本とされています。直接、病変部を確認し、がんのある腸管とリンパ節を切除します。がんが周囲の臓器に及んでいる場合はそれらの臓器も一緒に切除します。
 結腸がんの手術の場合、切除する結腸の量が多くても、術後、日常生活に支障が出ることはほとんどありません。
 直腸がんの手術の場合、がんの位置や進行の程度に応じて、自律神経温存術、肛門括約筋温存術、局所切除、人工肛門などさまざまな手術法があります。以前は、6〜7割の直腸がんで肛門切除による人工肛門を造設する手術が行われていましたが、最近はできるだけ肛門を残す肛門温存術が広く行われるようになり、いまでは人工肛門になる人はかなり少なくなっています。しかし、がんが肛門に近い位置にある場合や切除不能の場合は、やむを得ず人工肛門が必要となることがあります。また、術後の生活などさまざまな観点から人工肛門を選択したほうがよい場合なども考えられますから、医師等とメリット、デメリットについて納得するまでしっかりと検討するのがよいでしょう。
 手術の後遺症については、結腸がんの場合は比較的少ないのですが、直腸がんの場合は排尿機能や排便機能、性機能などに障害が生じることがあります。
腹腔鏡手術
 開腹せずに、炭酸ガスで腹部を膨らませて腹部に数ヵ所の小さな穴を開け、そこから小型カメラや腹腔鏡などの器具を入れて行う手術です。
放射線治療
 主に直腸がんの治療に用いられ、手術前後の補助療法、手術できない場合の症状の緩和や延命を目的に行われます。
 放射線治療は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼします。下痢、皮膚炎、吐き気、おう吐、食欲低下などの副作用があります。
抗がん剤治療(化学療法)
 大腸がんの場合の抗がん剤治療は、主に、手術後のがんの再発を予防するための補助的治療として、もしくは、手術が困難な場合の延命および生活の質の向上を目的として行われます。
 抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすため、脱毛、口内炎、下痢、吐き気などのさまざまな副作用があります。
◇   ◇   ◇
 初期には自覚症状がまったくない大腸がんは、その兆候を自分の力で感じ取ることは、残念ながら不可能といえます。検査や診断の技術が格段に進歩した今日においては、検診を最大限に利用することが、最も賢明な健康管理術といえるかもしれませんね。
 しつこいようですが、最後にもう一度。ご自分のために、そしてご家族のために、40歳を過ぎたら、ぜひ1年に1回は大腸がん検診(便潜血検査)を!
『がんの統計2005』(財団法人がん研究振興財団)
『各種がん103 大腸がん―受診から診断、治療、経過観察への流れ』(編集・発行/国立がんセンターがん対策情報センター)
『大腸がん』(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス) ほか
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