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ティーペック健康ニュース

第222号 2011/05/10  
発行:ティーペック株式会社

『暑い季節の虫刺され−その対策は』

 「虫刺されは夏の風物詩」「払っても払ってもしつこく寄ってくる蚊の執念には辟易。しかも、刺されてかけば、痛しかゆし」などとのんびり語っていられる季節ではなくなってきました。夏場はもちろん、梅雨入り前から悩まされ始める「虫刺され」。その予防と対策を講じる時期の到来です。
 蚊以外のさまざまな虫についても、対策のための予備知識を身に付けておきましょう。
 ハチ、ブヨ、毛虫…虫刺されに気をつけたいのはカ(蚊)だけではない
カ(蚊)
 カは、ふだんは花や果実の蜜など糖分を含む液体をえさにしています。産卵期を迎えたメスだけが、卵を育てるためのたんぱく源として哺乳類や鳥類などの動物の血液を吸血します。
 痒みの原因は、カが動物を刺したときに出す唾液にあります。この唾液には、刺した瞬間に痛みを感じさせないような麻酔作用をもつ成分や血が空気に触れて固まるのを防ぐ作用をもつ成分などが含まれており、これらの成分に対するアレルギー反応によって痒みや腫れ、発赤が引き起こされるのです。
 アレルギー反応には、刺された直後から現れる即時型反応と、刺された日の1〜2日以降に現れる遅延型反応があります。症状や反応の速さは、年齢、刺された回数、唾液成分の濃度などに影響されるため、個人差があります。刺された回数の少ない乳幼児は遅延型反応が、加齢とともに刺された回数が増えるため即時型反応が主となります。
 カに刺されないための予防の第一歩は、まずカの発生を防ぐこと。家の周りや庭などに置いてある空き缶やプランターの水受けなどに溜まる水はすぐに除去したり、雨水桝には防水ネットを張ったりなど、カが産卵する場所、孵化(ふか)する場所を減らしましょう。
 また、窓に網戸を取り付けたり、網戸には虫よけスプレーを噴射したりして、カの室内への侵入を防ぎましょう。寝室に、最近見直されている蚊帳を吊るすのもよいでしょう。
 カは、二酸化炭素や汗とともに分泌されるL乳酸という物質や、体温の高い人、黒い色に寄ってく習性があるといわれています。スポーツなどで汗をかいたり体温が高くなったりしている人、お酒を飲んだとき、汗をかいたときは特に注意しましょう。
ハチ(蜂)
 ハチのなかでも特に気をつけたいのは「スズメバチ」「アシナガバチ」「ミツバチ」の3種類です。
 ハチはみずから人を襲うことはありません。巣や自分を守るために巣に近づくものを威嚇する目的で刺すのです。ですから、ハチの巣を見つけたら静かに速やかにその場を離れましょう。万が一、刺されてしまったときは、ほかのハチが集団で襲いかかる可能性があります。それ以上刺されないよう、できるだけ素早くその場を離れましょう。
 ハチに刺された瞬間は、カとは違いとても激しく痛みます。針が残っていたら毛抜きやガムテープなどに付着させて速やかに針を抜き、毒を絞り出し(口で毒を吸ったりは決してしないこと)、表面に残った毒をせっけんでよく洗い、水で洗い流し、刺された部分を冷やします。赤く腫れ始めたら抗ヒスタミン剤やステロイド剤の入っている塗り薬を塗りましょう。スズメバチなどの大きなハチに刺されたときは、すぐに医療機関を受診すること。
 また、過去にハチに1度刺されたことのある人が再び刺されると、急性のアレルギー反応が起こることがあります。これを「アナフィラキシーショック」といい、じんましん、全身のむくみ、息苦しさ、血圧低下などの全身症状が起こり、最悪の場合は死に至ることもあります。このようなショック症状がみられる場合は救急車を呼ぶなどの対処が必要です。
 ハチは、花模様の服や黒いものに寄ってくるといわれています。野山に出かける際は、淡い色の服装や白っぽい帽子をかぶるとよいでしょう。また、化粧品の香料や香水、整髪料などのにおいに寄ってきやすいので、それらの使用は避けるようにします。
ブユ(蚋)
 ブユはブヨともいわれ、高原や山の渓谷沿いに生息して、主に朝と夕に活動します。刺された瞬間は、ちくっとした痛みがある程度ですが、半日ほど経ってから刺されたところが赤く腫れ、しだいに激しい痒みが生じます。痛みや痒みは1週間ほど続き、人によっては1ヵ月近く長引く場合もあります。
 ブユに刺されたら、早めにステロイド剤などの痒み止めを塗りましょう。症状がひどい場合は、早めに医療機関で治療を受けましょう。
アブ(虻)
 アブは、ふだんは牛や豚、馬などを吸血するのですが、それらの動物がいないとき人間がねらわれます。アブは、刺すのではなく、皮膚を切り裂くように咬んで吸血するので、咬まれた瞬間は激しい痛みがあります。皮膚が赤く腫れ、強い痒みが現われ、患部から出血することもあります。もし血が出ているようならば血を絞り出して水で洗い流し、その後、水や冷湿布などで冷やしてください。腫れがひどい場合は医療機関を受診しましょう。
毛虫
 すべての毛虫が毒をもっているわけではありません。最も気をつけたいのが「チャドクガ」という毛虫の幼虫による虫刺されです。チャドクガの幼虫は、ツバキやサザンカの葉の裏に群がって生息しています。この幼虫の体を覆う産毛のような「毒針毛(どくしんもう)」が皮膚に刺さると小さな発疹が現れ、痒くなります。毒針毛は触らなくても近づいただけで皮膚に刺さることがあるため、近づかないことがいちばんの予防となります。毒針毛が風に飛ばされて洗濯物に付着してしまうこともありますから、毛虫が多く発生する季節は、洗濯物などにも注意が必要です。
 万が一、皮膚に刺さった場合は、手などでこすってしまうとかえって毒針毛を皮膚に押し込んでしまうことになりかねません。テープなどでやさしく取り除き、流水でていねいに洗い流しましょう。腫れが引かない場合や痛みが強くなるような場合は医療機関を受診しましょう。
ムカデ(百足)
 ムカデは肉食のため、咬むことはありますが吸血はしません。咬まれると激痛が走り、しびれて赤く腫れます。特に、オオムカデ目は毒を持っており、ハチに刺されたときと同じように、繰り返し咬まれるとアナフィラキシーショックを引き起こすことがありますから注意が必要です。
 ムカデに咬まれたら、毒の拡散を減らすために咬まれたところを圧迫し、氷や冷湿布で冷やし、抗ヒスタミン剤やステロイド剤を含む軟膏などを塗ります。1度目よりも2度目のほうがショック症状が大きくなりますので、すぐに医療機関を受診するようにします。
 虫刺されを防ぐポイントは?
 虫刺されを完全に防ぐことはできませんが、最小限に抑えることは可能です。
服装
 長そで、長ズボン、靴下、帽子、手袋などを着用して、できるだけ肌の露出を避けましょう。首まわりもタオルなどを巻いて予防しましょう。また、カやハチなどは黒などの濃い色に寄っていく習性がありますから、薄い色の服装がよいでしょう。
虫よけ剤
 やむを得ず薄着になるときは、虫よけ剤(シート、スプレーなど)を塗りましょう。虫よけ剤の効果は2〜4時間ほどで、汗などで流れてしまいますから、こまめに塗り直しましょう。
ハーブを使って虫予防
 ヨーロッパなどでよく見かける窓辺を飾るゼラニウムという花は、もともと虫よけのために植えられていたといわれています。ゼラニウムのなかでも特にカがいやがる香りを発するのが、日本で「カレンソウ」または「蚊よけ草」いわれているもの。カがきらうにおいでも人間にはさわやかな香りですから心配はいりません。
 虫よけ効果があるハーブはほかにも、ラベンダー、レモンバーム、ローズマリー、ペパーミント、ティートゥリー、レモングラスなど。アウトドアで活動するときなどは、アロマオイルを洋服などにつけて利用するのもよいでしょう。
殺虫剤
 電気を使うもの、吊るすもの、置くだけのもの、網戸にスプレーして虫の侵入を防ぐものなどさまざまなものがあります。用途に合わせて選びましょう。
 「虫刺されにはアンモニア」は間違い
 ちなみに、「虫刺されにはアンモニア」という俗説がありますが、これは効果がないばかりでなく、かえって悪化させてしまうことにもなりかねません。虫刺されにアンモニアを使用することは絶対に避けてください。
 また、痒くてもがまんしてかかないようにします。痒さに任せてかきむしると、皮膚から細菌が入って化膿してしまったり皮膚炎などを引き起こして治りが遅くなってしまいます。特に、子どもはとびひ(伝染性膿痂疹)などを引き起こしてしまいがちですので、つめを短めに切ったり、かくのを防ぐための絆(ばん)創(そう)膏(こう)や痒み止めパッチなどを利用したりするとよいでしょう。
 化膿、皮膚炎などが起こった場合は、早めに医療機関を受診します。
◇   ◇   ◇
 夏は、旅行やキャンプ、釣りや登山など、行楽に出かける機会や野外で過ごす時間が増える季節です。当然、カやハチ、アブ、ブユ、毛虫などに刺される可能性も激増します。せっかくの楽しい夏の思い出が、虫に刺された瞬間にがっかりな思い出に変わってしまわないよう、なんといってもまずは予防。長そで、長ズボン、帽子に虫よけ剤、刺されたときのための塗り薬など準備万端整えて。
 緑差す野山を歩き、きらめく水と戯れ、夜空高く咲く花火を浴衣で楽しむ――。一生に一度しか巡ってこないそれぞれの夏を、思う存分お楽しみください。
原稿・社会保険研究所©
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