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ティーペック健康ニュース

第200号 2009/07/10  
監修:救急救命東京研修所
教授 名倉 節

『夏バテの予防』

 皆さんは、夏になるとなんとなく体調が悪くなると感じたことはありませんか。食欲がなくなったり、疲れやすくなったり、はたまた夜眠れなくなったり・・・。このような夏バテを予防するには、身体が暑さに慣れていない梅雨の時期から注意することが大切です。今回はこの夏バテについてお話しましょう。
  夏バテとは
夏に起こりやすい疾患として「熱中症」があります。この熱中症は、日差しの強い屋外での運動や作業、または暑い日の室内などで急激に発症します。@熱射病A熱疲労B熱痙攣の3つに分けられ、めまいや頭痛、吐き気、倦怠感、意識障害などの症状を起こします。
それに対し、「夏バテ」というのは1つの病名ではありません。夏に起こる食欲不振・倦怠感・無気力・不眠・めまいなどの様々な症状を総じてあらわした症候群のことで、夏の気温や湿度といった、様々な不快要因が日々積み重なることによって起こるものです。
 原因
夏バテが起こるにはいくつかの原因があります。
1. 消化機能の低下や栄養不足
  暑さは食欲不振の原因となりますが、それに加えて暑くなるとついつい冷たい飲み物をたくさん飲んでしまいがちです。それにより胃腸の温度が下がったり、胃液が薄まってしまったりすることで消化機能が低下します。消化機能が低下すると、下痢を起こしたり、栄養の吸収を妨げたりすることによって、身体が栄養不足の状態となります。
2. 水分不足(脱水)
  夏は汗を多くかくため、知らず知らずに体内からたくさんの水分が失われてしまいます。そして、気づかぬうちに脱水状態を引き起こすことがあります。脱水による循環血液量の低下は、心臓などに負担が加わり、身体の動きを鈍くさせます。
3. 自律神経の異常
  自律神経とは、身体の多くの機能を調節している大切な神経です。このバランスが崩れると、様々な不快症状をひき起こしてしまいます。
夏に自律神経のバランスが崩れやすい原因として、気温の影響があります。自律神経は体温調節機能にも影響していますが、冷房の効いた室内と暑い屋外の行き来といった激しい気温の変化を繰り返すことで、自律神経が乱れてバランスを崩してしまう原因ともなります。
 対処法
夏バテを起こしている身体は、今まで述べたような様々な原因で慢性的な疲労状態を起こしていると言えます。それを改善するために、以下のことを注意しましょう。
1. 食事
  不快症状を改善するには、体力をつけることが大切です。量は少なくても栄養効果の高い食べ物を食べるよう心がけましょう。食欲がない時には、食欲を刺激するために香辛料や香りの強い野菜を食べることもお勧めです。
たんぱく質が多い食品
  肉類(豚→牛→鶏の順)、魚類(かつお・まぐろ・さばなど)、大豆、チーズ、卵など
ビタミン、ミネラルが多い食品
  緑黄色野菜(にんじん・トマト・ほうれんそうなど)、果物、豆類、海藻類、貝類など
2. 水分補給
  発汗は、水分だけでなく身体に必要な電解質も失ってしまいます。そのため、水分補給には水だけでなく、糖や塩分が含まれたスポーツ飲料などがよいでしょう。また、涼しい室内では身体を冷やしすぎないよう温かい飲み物を飲むことをお勧めします。
3. 環境
  激しい気温差は自律神経の異常を引き起こします。冷房は27℃以上を保ち、外気温との差を5℃くらいまでにしましょう。オフィスや公共の場といった調節が難しい場所では、はおるものを持参したり、冷風に直接あたらないようにしたりするとよいでしょう。また、寝る時は冷房をつけっぱなしにしないことも大切です。
4. 睡眠
  睡眠は疲労の回復に大変重要なものですが、日本の夏は高温多湿で寝苦しいものです。冷房の除湿機能を使用したり、扇風機を上に向けたりして室内の空気に流れを作るなど、工夫するとよいでしょう。また、氷枕などで頭部を冷やすことも心地良い睡眠に効果的です。
5. 入浴
  夏はシャワーだけで済ませてしまう方も多いと思いますが、入浴による温熱効果は、疲労物質の除去や疲労改善物質の増加が期待できると言われています。40℃前後のお湯にゆっくり浸かり、身体を温めるとよいでしょう。お湯を腰の辺りまで張った半身浴も、疲労回復に効果的です。
6. 運動
  汗をかくことは体温調節に必要なことです。早朝や夕方といった涼しい時間のウォーキングやストレッチは血行を良くし新陳代謝を活発にします。それによって汗をかきやすい体質にすることが期待できます。
 終わりに
 夏バテは、夏が終わった後にも慢性疲労として様々な体調不良の原因となる場合があります。日常生活の対処法で、疲れを残さず快適な夏を過ごしましょう。
◇   ◇   ◇
<参考文献>
疲労の科学(講談社)
生理学〜人体の構造と機能(医学芸術社)
今日の診断指針(医学書院)
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