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ティーペック健康ニュース

第136号 2004/3/12  
監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科
 小林 暁子

『口唇ヘルペス』ってどんな病気?

 原因は単純ヘルペスウイルスです
唇やその周囲に小さな水ぶくれが出来る病気“口唇ヘルペス”は、単純ヘルペスウイルスが原因で起こります。単純ヘルペスウイルスは感染力が強く、直接的な接触のほかにウイルスがついたタオルやグラスなどを介しても感染します。このウイルスの特徴は、最初に感染して免疫を獲得してその人に抗体ができても、機会があれば再感染や再発を繰り返すということです。大人にみられる口唇ヘルペスのほとんどが再発型で、年1〜2回の再発を繰り返します。
 ウイルスは体内にひそんでいて何らかのきっかけで再発します
乳幼児期の単純ヘルペスウイルス1型の初感染は、ヘルペス性口内炎などで現れることもありますが、たいていの場合は症状がでません。初感染の後、ウイルスは神経節にひそみ、何らかのきっかけで暴れだして“口唇ヘルペス”などとして再発します。風邪で熱が出た後にみられる風邪の華(熱の華ともいう)が口唇ヘルペスです。風邪以外にも疲労、紫外線、胃腸障害、外傷、ストレス、老化、薬剤の使用(ステロイド、免疫抑制剤など)などの体の抵抗力や免疫機能の低下が再発の誘因となります。
 他人との接触、自分自身の患部からも感染する可能性が
症状が出ている時期はウイルスを大量に排泄しています。この時期に患者に接触した人で、単純ヘルペスウイルスの抗体を持っていない人や、持っていても抵抗力が落ちている人は感染する率が高くなります。感染した場合、接触した日から3〜7日の潜伏期間を経て発症します。自分自身の患部に触れた場合、きちんと手洗いをしなければ、数時間は感染する可能性があります。なお、アトピー性皮膚炎の人は皮膚のバリアー機能が低下しているので、症状が重症化することがありますので注意が必要です。
 皮膚症状は2週間ほどで治ります
1. 前駆期の症状−ピリピリ、チクチク、ムズムズする
  水疱が現れるのに先立ち口唇ヘルペスのきざしがみられます。皮膚に熱感、違和感、かゆみを感じます。再発を繰り返す人は自分でわかるようです。
2. はじめに現れる症状−赤く腫れる
  皮膚の熱感、違和感、かゆみなどの自覚症状から半日程度で赤く腫れてきます。この時期は患部でのウイルスの増殖が活発です。このような早い時期に治療を始めることが大切です。
3. 2〜3日後に現れる症状−水疱ができる
  赤く腫れた上に水疱ができます。この中にはウイルスがたくさん存在します。水疱は初感染では大きく、再発を繰り返すと小さくなっていきます。口紅などが合わなくてできる水泡は唇全体にできるのに対し、口唇ヘルペスでは1ヶ所にできるのが普通です。
4. 回復期の症状−かさぶたができる
  かさぶたができて治っていきます。 体調のよしあしなどの要因で症状の程度は異なりますが、4つの段階を経て2週間ほどで治っていきます。
 早めに治療するほうが効果的
再発の予感がしたら、あるいは口唇ヘルペスの症状がでたら、早い時期に治療を始めるほうが治りも早くなります。治療にあたってはウイルスを退治する抗ウイルス薬を使うことが最も効果的です。最近では、軟膏や錠剤の抗ウイルス薬もあるので、手軽に治療できるようになりました。ただし、抗ウイルス薬はウイルスの遺伝子に働いてウイルスの増殖を抑制するもので、ウイルスを殺す作用はありません。また、神経節にひそんでいるウイルスに対しても効果はありません。したがって、症状が出ている間、特に症状の出はじめのウイルスが増えている時期が治療のよい機会なのです。
 患部に触れないように
自分自身も患部に触れて感染します。特に目に感染して発症する角膜ヘルペスは、失明する危険性がありますので注意しましょう。といっても、口唇ヘルペスのほとんどは再発型であり、本人はすでに抗体を持っているのであまり神経質になる必要はありません。抗ウイルス剤で治療していれば、口紅などのお化粧をしてもかまいません。ただし次の点には気をつけてください。
患部に触れた指で目を触らない
コンタクトレンズを唾液で濡らして装着しない
患部に触れた後や、外用薬を塗った後には手を洗う
水疱は破らない(細菌感染が加わると痕が残ることがある)

 医師の指導を受けて上手に直しましょう
症状がある時は医師に相談しましょう。また再発を繰り返す人、海やスキーに行くと必ず再発するというような人は、きざしがあったらどのような処置をすべきかについて指導を受けておくとよいでしょう。
◇   ◇   ◇
<参考文献>
今日の治療方針2003/医学書院
標準皮膚科学/医学書院
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