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ティーペック健康ニュース

第120号 2002/11/10  
監修:順天堂大学医学部付属順天堂医院 総合診療科
小林 暁子

五十肩

高いところにあるものを取ろうと手を無理に伸ばした途端、それまで何ともなかった肩に激痛が走ってまったく動かすことができなくなった・・・そういう時は五十肩を疑います。 五十肩は名前の通り50歳代に多い病気ですが、40歳代や60歳代でも発病します。

なぜ五十肩がおこるのか詳しいことはよくわかっていません。加齢にともなっておこる現象で、 始めの変化は肩の関節を取り巻く腱の炎症であろうと考えられています。腱とその周囲が炎症のなごりで癒着をおこし、 すべりが悪くなるために関節の動きが悪くなって腕が動かなくなります。

五十肩は放置しておいても1年くらいで自然に治るといわれていますが、何もしないでおくと癒着が残って肩の動きが悪くなります。 痛みが強い急性期と痛みがおさまった慢性期では日常生活での過ごし方が異なりますので、 今回はそれぞれの時期に応じた治療や過ごし方についてお話ししたいと思います。
 1.痛みが強い急性
非常に痛みが強い時期で、痛み始めてから1ヶ月くらいの間です。
●安静 痛みが強い時期は無理に肩や手を動かさないようにします。
●冷やす 初めの数日は、肩を冷やして炎症を抑えます。冷やすのは、痛みの激しい時だけで、痛みが落ち着いてきたらホットパック (ゼリー状の保湿剤が袋に入ったもので、電子レンジなどで温めて使います)やカイロ・入浴などで肩を温めましょう。
●体操 急性期でも肩を固定したままだと癒着がおこるので、この時期に出来る振り子体操を行います。 振り子体操は、前かがみになって足を前後に開き、痛みのある側の手で1〜2Kgのおもり(ダンベルやアイロンなど)を持って、 前後と左右に振り子のように動かす体操です。最初は無理をしないで振幅を小さくし、10回前後行いますが、 慣れてきたらだんだん振幅を大きくして回数を増やします。体操を始める前は肩をよく温めておくようにしましょう。
●薬物療法 炎症をおさえ、激しい痛みを和らげるために消炎鎮痛薬やステロイド薬を使用します。 夜も眠れないような強い痛みの場合はステロイド薬を患部に直接注射して炎症を抑えます。 ステロイド薬の注射を使い過ぎると肩の組織が弱くなる場合があるので、ステロイド薬の局所注射は週に1回の使用で3〜4回が限度です。
 2.痛みがおさまった慢性期
急性期から1ヶ月以上経過すると、激しかった痛みが鈍い痛みに変わってきます。完全に回復するまでには五十肩の程度によりますが、半年から1年くらいかかります。
●温める 慢性期には肩を温めることが大切です。入浴やカイロ・ホットパックなどで積極的に温めましょう。 痛みがあまりないので、この時期に薬を使う必要はありません。
●体操 痛みが消えても、この時期に肩を動かさないと関節の硬さが残ってしまいます。 積極的にストレッチや五十肩体操をおこなって肩の関節をやわらかくしましょう。 体操にはいろいろなやり方がありますが、腕を上にあげていく・外にひねる・内にひねることがポイントです。 医療機関で体操の指導を受けながら、毎日根気よく続けていきましょう。少しずつ癒着がほぐれ、関節がやわらかくなって、 動かせる範囲が広がっていきます。体操はお風呂でよく温まった後に行うと効果的でしょう。
 3.五十肩の予防
五十肩は普段からあまり体を動かしていない人や、長時間同じ姿勢をとるデスクワークの人などが比較的かかりやすいといわれています。 腕と肩を普段から動かすことである程度は五十肩の発症を予防できます。毎日できるラジオ体操などの運動を続けていくといいでしょう。 お風呂にゆっくり入って肩を回したり、腕を上下する運動を行ってみましょう。

五十肩は自然に治るといわれていますが、放置しておくと、痛みはやわらいでも、肩の動きは元どおりになりません。 医師の指導に従って運動療法を積極的に行うことで早い回復が期待できます。また、眠ることもできない程の激しい痛みや 殆ど肩に力が入らない症状が数ヶ月にわたって続く場合は、別の病気の可能性もあります。放置せずに整形外科で診察を受けるようにしましょう。
◇   ◇   ◇
<参考文献>
「標準整形外科学(第6版)」 医学書院
「今日の整形外科治療指針(第2版)」 医学書院
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