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ティーペック健康ニュース

第82号 1999/9/10  
監修:東京医科歯科大学 医動物学教室
山田 誠一

糖尿病の新しい診断基準が変わりました

日本では40歳以上の人に約10人に1人、65歳以上では約10人に2人が「糖尿病」にかかっていると言われています。糖尿病患者は年々増加しており、 現在日本には約700万人、10年後には,1000万人を超えると予想されます。

糖尿病は、自覚症状のないままにゆっくりと進行し網膜症や腎症、 神経障害などの合併症を引き起こします。従って失明に至ることや透析を受けなければならない人も増加の一途をたどっています。

そこで、今年の5月に日本糖尿病学会は1982年に改定後17年ぶりに糖尿病の分類と診断基準を改定し発表しました。必要最小限の検査で、より早期に糖尿病を診断し合併症の進展を防ぐことが改定のねらいです。新しい診断基準では、糖尿病の基準値を今までのものよりかなり引き下げて います。これは今まで糖尿病と診断されていない人の中にも、合併症を引き起こすケースが多く見られるためです。
 新しい分類
I.1型糖尿病
膵臓にあるβ細胞が破壊されて、β細胞の数が減少する病気です。やがてインスリンが欠乏する状態になりやすくインスリンの注射が必要です (従来のインスリン依存型糖尿病にあたる)。自己免疫性、突発性があり日本では糖尿病全体の2〜3%を占めます。
II.型糖尿病
膵臓にあるβ細胞の機能はある程度保たれていますが、インスリンの分泌が低下したり、肥満などが原因でインスリンの作用に鈍感になって 発症する最も多い糖尿病です。肥満や生活習慣によるものが多く、インスリン非依存型糖尿病にあたります。
III.その他特定の機序、疾患によるもの
A.遺伝子因子として遺伝子異常による糖尿病
B.糖尿病以外の疾患や病態が伴っている糖尿病
IV.妊娠糖尿病
従来のインスリン依存型糖尿病、という名称は、糖尿病の「状態」を示し、1型糖尿病、2型糖尿病という名称は「成因」による分類を示します。
 新しい診断基準
 
I.「糖尿病型と判定する」検査結果と糖尿病の診断
  A.1〜3のいずれかに該当する場合は「糖尿病型」と判定。
  1. 随時(食事や採血の時間に関係なく)血糖値が200mg/dl以上が確認された場合
  2. 早朝空腹時血糖126mg/dl(従来は140mg/dl)以上が確認された場合
  3. 75mg糖負荷試験で2時間値200mg/dl以上が確認された場合
  B.別の日に検査して1〜3の値いずれかで「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。
  C.糖尿病に対する精密検査の糖負荷試験による判定
75g糖負荷試験における判定区分と判定基準
空腹時血糖値 糖負荷後2時間血糖値
糖尿病型 126mg/dl以上 <そしてまたは> 200mg/dl以上
糖尿病型も正常型にも属さないもの
正常型 110mg/dl <そして> 140mg/dl未満
II.血糖検査を繰り返さなくても糖尿病と診断される場合
  1. 口渇、多飲、多尿、体重減少など糖尿病の典型的な症状が見られ、さらに「糖尿病型」である場合
  2. ヘモグロビンA1cが6.5%かそれ以上あり、さらに「糖尿病型」である場合
  3. 確実な「糖尿病網膜症」がみられる場合
  4. 現在「糖尿病型」であり、かつ過去に高血糖を示した検査データがある場合
  ヘモグロビンA1c(HbA1c)。HbA1cは、1〜2ヶ月の血糖のコントロール状況を調べる指標で、4.3〜5.8%が正常範囲です。
 最後に
糖尿病と診断されても自覚症状がないために、血糖の管理を怠ってしまう患者さんが多くいらっしゃいます。7〜10年後には高血糖のため 全身の血管がいたみ合併症を引き起こし、その結果失明や腎不全、手や足などの壊疽、心筋梗塞などの大きな合併症を招いてしまいます。

早期発見のために1年に1回は血糖検査と ヘモグロビンA1cの検査を受けましょう。また糖尿病予防のために、時々自分の生活習慣を見直し、改善していくようにしましょう。
◇   ◇   ◇
<参考文献>
「糖尿病治療ガイド」 分光堂
糖尿病ライフ『さかえ』 医歯薬出版
「きょうの健康1999.3」 NHK出版
「日本医事新報」 日本医事新報社
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