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ティーペック健康ニュース

第74号 1999/1/10  
監修:東京医科歯科大学 医動物学教室
山田 誠一

喘息発作の予防

1980年以降、若年男子のぜんそく死が増加傾向にあります。 年齢別で見ると15〜34歳の伸びが目立っています。死亡の要因は予期しない急激な悪化受診の遅れが上位を占めています。 受験や仕事の忙しさから無理を重ねるからでしょう。「発作が起こると苦しくてつらい」ということは知られていても、「命に関わる状態になることもある」ということが理解されていないことが多いようです。

厚生省の調査によると、成人のぜんそく死は年間約6000人。これは子宮がんや白血病、乳がんで亡くなる人数を上回っているのです。 それだけぜんそくは怖い病気であるということを知っておかなければなりません。 ぜんそくで命を落とさないためには、発作の予防が大切です。そのために、なぜ発作が起きるのかをしっかり理解しておく必要があります。
 喘息発作
ぜんそく発作は、気道(主に気管や気管支)の粘膜が過敏なため、健康な人なら反応しないようなわずかな刺激 (ほこり、たばこの煙、気候の変化、その他)を引き金に、気道の筋肉が痙攣して収縮し、粘膜がむくんだり 分泌物が急に増えて気道の内腔が狭くなって呼吸困難を起こすものです。

以前はこうした一過性の発作の病気とみられていましたが、 1980年代後半からおおもとの原因は気道粘膜の慢性的な炎症であることが明らかになりました。気道に慢性的な炎症が起こるのは、 刺激に対して反応する粘膜に白血球の一種である「好酸球」が集まってくるためです。好酸球は組織を破壊する強い作用があり、 粘膜を傷つけて脱落させ、さらに敏感にします。

好酸球は多くの場合、アレルギー反応の結果として集まってきますが、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)以外の刺激によっても 起こることがわかっています。例えばカゼのウィルスが刺激となり、好酸球が気道に集まってきて非アレルギー性の慢性的炎症を引き起こすケースもあります。
 発作の原因
1.
「アレルゲン」(例;ダニ、ハウスダスト、ペットのフケ、スギ花粉、そばなど多数)
原因アレルゲンが気道に入った時、大人のぜんそくでは約60%がアレルギー性のもので、小児のぜんそくでは90%以上がアレルギー性のもの だと言われています。アレルゲンは人によって異なります。
2.
気道の感染
ウィルスの感染は気道を刺激してぜんそく発作を起こしやすくなります。
3.
薬物
血圧下降薬(β庶断薬);気道を収縮させる作用があり、発作を誘発することがあります。
アスピリンなどの解熱鎮痛剤;アスピリン喘息といって重い発作を誘発することがあります。
4.
刺激性物質の吸入や喫煙
刺激性物質;粉塵、排気ガスなどで発作を起こすことがあります。
喫煙も刺激性物質を吸入することになり、発作を引き起こす誘因となります。
5.
その他
冷気(急激に気温が5℃以上下がると発作が起きやすい)、季節の変わり目、ストレス、運動、におい、 食品添加物や防腐剤なども発作の誘因となります。
 予防法
1.抗炎症治療をしっかり行う
  ぜんそくは慢性的な気道の炎症が原因ですので、この炎症を治療しない限り発作を繰り返すことになります。 また、気道が長い間炎症にさらされていると気道壁が厚く硬くなってしまいます。これを気道リモデリングと言いますがこの状態が 長く続くとどんな薬を使っても元に戻らず、絶えず息切れがするようになると言われています。

最近では発作の起きていない時から気道の炎症を抑える治療を行い、発作を未然に抑えようとする「予防的治療」が重視されています。 これには「吸入ステロイド薬」が使われます。霧状にしたステロイド薬を口から吸い込んで気道粘膜へ直接働きかけ、症状を抑えるのです。
その人の状態に応じて1日に1〜数回吸入することで、気道の炎症を抑え発作を予防します。

心配されるステロイド薬の副作用は、吸入用に特別に作られているため局所的な抗炎症作用が優れており、内服や注射で使用される ステロイドとは異なり全身投与のものに比べて格段に少ないと言われています。薬の量や回数について医師の指示を守れば、 深刻な副作用はまず心配ないでしょう。
2.アレルゲンの除去
ぜんそくの多くはアレルギー性のものですから、アレルゲンが体内に入らないようにすることも大切です(もしダニやハウスダストがアレルゲンであれば、室内を掃除してダニやハウスダストを減らすなど)。
3.規則正しい生活
規則正しい生活を心がけ、体調を崩さないようにし、精神的ストレスを発散することも発作の予防に役立ちます。
 日常生活での心構え
発作を起こさないように自己管理をし、定期的に受診することが大切です。発作を起こさないためには自分の体の状態をしっかりと 把握しておくことが必要です。 呼吸機能の検査の中でも、ピークフローメーター(最大呼気流量測定器)によるピークフロー値を毎日測定し記録することで 自分のぜんそくの傾向がよりよくわかり、客観的データとして適切な治療を行うことができるようになります。
  発作が起きた時の準備として携帯用の吸入器と薬の所持
吸入器の正しい使用法
救急治療薬の携帯
ひどい時はすぐに受診する
かかりつけの医師、医療機関の電話番号
救急の時の家族、知人の電話番号
医師から処方された薬の名前
など、忘れないようにしましょう。
◇   ◇   ◇
<参考文献>
「日本医事新報」 日本医事新報社 1999.12
「今日の治療指針」 医学書院
「毎日新聞」 1998/8/30.9/6.9/13
「今日の健康」 NHK出版
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